姿勢改善が美容と健康に与える影響

姿勢改善が美容と健康に与える影響

続かないのは、意志が弱いからではありません。

姿勢を良くしようと思っても、気づけばまた猫背に戻っている、という人は多いのではないでしょうか。

まず変わるのは見え方です。
同じ服を着ていても写真の写り方が違ってくるのは、体の形そのものというより、服の落ち方や体の輪郭の見え方が変わるからだと考えられます。
もう一つ、見た目より先に動くのが体感で、夕方の疲れ方や、長く座ったあとの立ち上がりやすさに出てきます。

一方で、姿勢を直せば体型そのものが変わる、という話ではありません。
そこは分けて考えておきましょう。

見た目に起きる変化の正体

姿勢が見た目の印象に関わることは、多くの人が経験から知っていると思います。
ただ、それが何の変化なのかは、あまり整理されていません。

変わっているのは、輪郭の見え方と、服が落ちる位置です。
体の量が減ったわけでも、体のつくりが変わったわけでもありません。
ここを分けておかないと、期待と結果がずれてしまいます。
とはいえ、見え方が変わるだけでも、実は十分に大きな話でしょう。
お金がかからず、今日から始められて、写真に写る自分が変わるわけですからね。

変化は鏡ではなく体感で先に出る

先に出るのは体感です。
夕方の疲れ方や、長く座ったあとの立ち上がりやすさといった、体の感覚のほうが先に動きます。

鏡で確かめようとすると、この変化を見落としてしまいがちです。
鏡に映るのは一瞬の形で、1日の合計ではないからです。
確かめるなら、時間帯を決めて、体の感覚で比べるほうが向いていると思います。
たとえば、金曜の夕方に感じる重さを、1か月前と比べてみてください。
きっちりした比較にはなりませんが、鏡よりは実際に近い目安になりますよ。

体の感覚を見ていると、環境を直した効果と、動く回数を増やした効果の区別もつきやすくなります。
環境を直した効果は翌日から出ることがありますが、動く回数の効果は習慣になってから出てきます。
出てくる速さが違うので、一つずつ順番に取り入れていくと、それぞれの手応えが分かれて見えてくるはずです。

続かない理由は目標の立て方

姿勢を良くしようと決めた人の多くが、数日で元に戻ってしまいます。
意志が弱いからではなく、目標の立て方に無理があるのだと私は思います。

正しい姿勢を意識して保ち続けるのは、集中が必要な作業を1日中続けるのと同じことですし、そもそも人の体は、同じ形をずっと保つようにはできていないのではないでしょうか。
背筋を伸ばす、顎を引く、骨盤を立てる、といった指示はどれも間違いではないのですが、すべて一瞬の指示なんです。
その形になれても、5分後には戻っています。

一方で、同じ姿勢を続ける負担は時間に比例して積み重なっていくので、完璧な形で3時間座り続けるより、そこそこの形で30分ごとに動くほうが、体にとっては現実的でしょう。
こう置き換えると、やることが一気に具体的になります。

▶ 目標の置き換え
● 変更前:正しい姿勢を保つ ── 判定できない/続かない
● 変更後:同じ姿勢の時間を30分以内にする ── 判定できる/続く
タイマーでも、飲み物を遠くに置くことでも構いません。
席を立つ理由を、あらかじめ生活の中に埋め込んでおくのがコツです。
姿勢改善が美容と健康に与える影響

意識より先に環境を直す

崩れるのには理由があるんです。
画面が低いから首が前に出る、椅子が高いから足が浮く、机が高いから肩が上がる、といった具合です。
これを意識で打ち消そうとするのは、坂道を登り続けるようなものでしょう。

環境を先に直せば、意識しなくても崩れにくくなります。
見るのは、次の3か所だけです。

  • 画面の高さ ── 見下ろす角度が大きいほど、首は前に出ます。台を挟むだけで変わります。
  • 椅子の高さ ── 足の裏が床につかないなら高すぎます。足台で代用できます。
  • 机との距離 ── 遠いと前のめりになります。近づけるだけで解決することがあります。

この3か所は、一度直せば毎日効き続けます。
意識と違って、疲れている日でも働いてくれるんです。
そこが、意識より環境を先にする理由ですね。
姿勢を支える筋肉は、ふだんの活動量で決まってくるので、厚生労働省が示している活動量の基準もあわせて見ておくと、的が絞りやすくなります。

立ち姿勢は左右差から崩れる

座り姿勢の話はよく見かけますが、立っているときの崩れ方は少し違います。
立ち姿勢で起きやすいのは、前後ではなく、左右の偏りです。

片足に体重を乗せて休む、荷物をいつも同じ側の肩にかける、待つ間に無意識で同じ足に寄る、といったことは、どれも1回ずつは小さなことですが、毎日繰り返されています。

入れ替えればOKです。
荷物を持つ側をわざと変える、片足重心に気づいたら反対に移す、というだけなら、正しい立ち方を覚える必要もありませんよね。
入れ替えるだけなので、疲れているときでもできます。
鞄そのものを見直す手もあります。
片側にかけるタイプを、両肩で背負えるものに替えると、毎日持つものほど違いが大きく出てくるはずです。

スマートフォンは持ち方より時間

画面を見るときに首が前に出るのは、姿勢というより距離の問題です。
目と画面の距離を保とうとすると、腕を上げるか、首を前に出すかのどちらかになります。
腕は疲れるので、多くの人は首のほうを選んでしまうんです。

「目線の高さまで上げましょう」とよく書かれていますが、長くは続きませんよね。
現実的なのは、続けて見る時間を区切ることだと思います。
動画を1本見終えたら一度置く、くらいの区切りで構いません。
持ち方を完璧にして1時間見るより、そこそこの持ち方で15分ずつ4回に分けるほうが、体は楽なはずです。

30分ごとに立てない仕事の場合

ここまでの話は、席を立てることが前提です。
でも、会議中や接客中、運転中のように、立てない場面もありますよね。

座り方を変えましょう。
目的は同じ姿勢を続けないことなので、姿勢が変われば、立たなくても構いません。

  • 座面の使い方を変える ── 深く座っていたなら浅く、浅く座っていたなら深く。
  • 背もたれの使い方を変える ── もたれていたなら離す、離していたならもたれる。
  • 足の位置を変える ── 組んでいたら外す、そろえていたら片方を少し前へ。

どれも目立ちません。
完璧な座り方を探すより、こうした小さな変化を繰り返すほうが、実際の生活にはなじみます。
ただ、立てるタイミングが来たら、そのときは立ってみてください。
座り方の工夫は、あくまで代わりですからね。

一日の中に動く理由を埋め込む

  1. 飲み物を、手が届かない場所に置く
  2. ゴミ箱を、席から離れた場所に置く
  3. 通話は立って行う
  4. 昼食は席で食べない
  5. 一時間に一度、窓の外を見る(目のためにもなります)

どれも、姿勢を意識しなくていいものばかりです。
意識しないまま、立ち上がる回数が増えること自体が目的だからです。

意志に頼る計画は、忙しい日にいちばん先に崩れます。
環境に埋め込んだ計画は、忙しい日でも残ります。
姿勢を長く整えていくコツは、根性より仕組みづくりだと思います。

続かない直し方

■ 最初にやる必要はありません
● 常に背筋を伸ばそうとする ── 続きません。続かない目標は、失敗の記憶だけを残します。
● 矯正グッズを最初に買う ── 環境を直す前に道具を足しても、原因は残ります。使うなら環境を直したあとです。
● 筋トレから始める ── 悪くはありませんが、開始のハードルが高く、続かないことが多い選択です。まず動く回数からです。
● 正しい姿勢を写真で確認し続ける ── 確認そのものが目的化しがちです。

姿勢を支える器具の中には、医療機器として扱われるものと、そうでないものがあります。
そうでないものに、体の状態を変える働きを期待するのは、少し筋が違うでしょう。
買うなら、あくまで補助として考えておくのがおすすめです。

すでに痛みやしびれがある場合は、姿勢の工夫より先に、整形外科などで相談してください。
その状態で自己判断のままストレッチを始めると、かえって悪くなることがあります。

よくある質問

■ 姿勢矯正グッズは効果がありますか

補助としてならアリです。
ただ、環境が崩れたままで道具だけを足すと、外した瞬間に戻ってしまいます。
順番としては、画面と椅子の高さを直してから考えてみてください。
体の状態を変えることをうたう器具については、医療機器として承認されているかどうかを確かめておく必要があります。

■ ストレッチはいつやるのがいいですか

続けられる時間なら、いつでも大丈夫です。
大事なのは時間帯より、同じ姿勢が続いたあとに入れることのほうでしょう。
長く座ったあとや、長く立ったあとに、体勢を変えることに意味があります。

■ 効果が出るまでどのくらいかかりますか

環境を直した分は、直した翌日から体の感覚に出ることがあります。
動く回数を増やした効果は、習慣になってからでないと分かりません。
1か月ほど続けてから、金曜の夕方の疲れ方で比べてみるのがおすすめです。

■ 子どもの姿勢も同じ考え方でよいですか

環境を先に整える、という考え方は同じです。
机と椅子の高さが体に合っているか、画面との距離が近すぎないかを見てみてください。
ただ、成長期の体には一人ひとりの事情があるので、気になることがあれば、学校の健診や医療機関で相談しておくと安心です。

まとめ

姿勢を直して変わるのは、体型そのものより、見え方と体の感覚のほうです。

そのうえで目標を、正しい形を保つことから、同じ姿勢の時間を短くすることに置き換えてみてください。
置き換えると、できたかどうかを判断できる目標になります。
意識より環境を先に直すことも大事で、画面の高さ、椅子の高さ、机との距離の3つは、一度直せば毎日効き続けます。
痛みやしびれがある場合は、医療機関への相談が先です。

姿勢を続けるのは、根性より仕組みです。
立ち上がる理由をあらかじめ生活に置いておけば、意識しなくても、動く回数は自然と増えていきますよ。

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