家計管理・借入計画の立て方の基本

家計管理・借入計画の立て方の基本

家計簿を毎日つける必要はありません。直近3か月分の明細を見返すだけで、借入の計画に必要な準備は終わります。

家計管理と聞くと家計簿を思い浮かべる方が多いのですが、借入の計画を立てるうえで必要なのは、毎月いくらまでなら確実に返済に回せるかという1つの数字だけです。
この数字さえ出てしまえば、借りていい金額も、返し終わる時期も自動的に決まってきます。
逆にこの数字がないまま借入を検討するのは、地図を持たずに歩き出すようなものでしょう。
作業そのものは直近3か月分の明細を見返すだけなので、1時間ほどで終わりますよ。

出すのは1つの数字だけ

▶ この記事のゴール
毎月、確実に返済に回せる金額
これを1つの数字にします。
家計簿を毎日つける必要はありません。
必要なのは、直近3か月分の記録を見返すことだけです。

3か月にしているのは、1か月だけだと特殊な月に当たってしまう可能性があるからです。
かといって半年、1年とさかのぼると作業が重くなって、たいてい途中でやめてしまうんですよね。
見返すのは給与明細と銀行口座の入出金、それからクレジットカードの明細で、この3つがあれば大半は把握できます。
レシートを集める必要はありませんし、家計簿アプリを新しく入れる必要もありません。

4つの手順

  1. 手取り収入を確定する ── 直近3か月で、いちばん少なかった月の手取り額を採用します。
  2. 固定費を書き出す ── 家賃、通信費、保険、電気・ガス・水道、サブスクリプション、既存の返済。口座とカードの明細から拾えます。
  3. 変動費を見積もる ── 食費、日用品、交通費、交際費。3か月の平均ではなく、いちばん多かった月を採用します。
  4. 残りの半分を、返済に回せる額とする ── 全額ではありません。半分です。

1つ目と3つ目で、あえて自分に不利な数字を採用しているのに気づかれたと思います。
収入は少なめに、支出は多めに見積もるという形ですね。
これは悲観的に構えているわけではなく、計画を崩さないためなんです。
都合の良い数字で立てた計画はたいていどこかで崩れますし、崩れたときには新しい借入で埋めることになってしまいます。
手を動かして出したい方には、日本貸金業協会の家計やりくりチェックという入力式の道具があります。

残りの半分しか使わない理由

収入から支出を引いて残った額は、全部を返済に充てたくなるところだと思います。
そのほうが早く終わるので、計算のうえでは合理的ですよね。
それでも半分にとどめてほしいのは、想定外の出費が必ず来るからです。
冠婚葬祭、医療費、家電の故障、子どもの行事といったものは、返済の期間が長くなるほど確実に発生します。
余裕をゼロにしていると、そのたびに新しい借入が必要になってしまいます。
返済のために借りるという流れがいったん始まると、残高のほうは増え続けるんです。
半分を残しておけば、想定外の出費は自力で吸収できます。
計画としては遅く見えても、こちらのほうが確実に終わりますよ。

家計管理・借入計画の立て方の基本

固定費から見直すべき理由

支出を減らそうとするとき、まず変動費から手をつける方が多いのですが、これはあまり続きません。
食費を削る、外食をやめるといった方法は効果こそありますが、我慢が必要なので、疲れている時期にまず崩れます。
固定費はその点が逆で、一度手続きをすれば、その後は何もしなくても毎月効き続けてくれます。
我慢がいらないぶん、生活の満足度も下がらないんです。

  • 通信費 ── プランが使い方に合っているか。何年も見直していないなら、まずここです。
  • 保険 ── 加入した当時と、家族構成や必要な保障は同じか。
  • サブスクリプション ── 使っていないものが残っていないか。明細を見れば分かります。
  • 住居費 ── 効果は最も大きいですが、動くコストも大きいので優先度は状況次第です。

この見直しは、一度やってしまえば1年は効きます。
食費を毎月5,000円削るのと通信費を5,000円下げるのは、家計に残る金額としては同じです。
違うのは、それを続けるために必要な労力のほうでしょう。

続けるためにやらなくていいこと

■ 家計管理で、やらなくていいこと
レシートを毎日記録する ── 続きません。口座とカードの明細で十分です。
費目を細かく分類する ── 分類の精度は、判断の精度に直結しません。
収入の多い月を基準にする ── いちばん少なかった月で立ててください。
変動費の節約から始める ── 我慢を必要とするものは、後回しでかまいません。

口座を3つに分ける

家計管理が続かない最大の理由は、毎回そのつど判断が必要になることだと思います。
この支出はいいのか、今月は使いすぎではないか、と考えること自体が負担ですし、判断が要るものは疲れているときに崩れます。
そこで、判断そのものを仕組みのほうへ置き換えてしまいます。

口座入れるもの役割
支払い用家賃、通信費、保険、返済など固定費の引き落とし分給与が入ったら、まずここへ移す
生活用食費、日用品、交際費などここにある分だけで暮らす
緊急用取り分けた分普段は触らない

給与が入った日に支払い用と緊急用へ先に移してしまい、残ったものが生活用になります。
この形にすると、生活用の残高を見るだけで使いすぎかどうかが分かるので、記録も分類も要らなくなるんです。
そのうえ、固定費が引き落とされる口座に生活費が混ざっていないため、残高不足による引き落としの失敗も起きにくくなります。
引き落としの失敗は信用情報に記録が残る原因のひとつですから、口座を分けるだけでこれを構造的に防げるのは、けっこう大きいと思います。

収入が月によって変わる場合

給与が固定でない場合、いま書いた方法はそのままでは使えないので、少し調整します。
まず直近1年でいちばん少なかった月の手取りを基準にして、その金額で支払い用と生活用の配分を決めてください。
そして基準を超えた分は、全額を緊急用へ入れてしまいます。
肝心なのは、多かった月に生活水準を上げないという一点です。
収入が変動する仕事では、良い月の水準を基準にしてしまうと、悪い月には必ず不足しますよね。
その不足を借入で埋めると、今度はその返済が翌月以降の固定費として乗ってきます。
変動する収入で借入を組むなら、少ない月の手取りで返済額を決めておいてください。
窮屈な決め方に見えるかもしれませんが、変動が大きいほど余裕は必要になります。

緊急用のお金を返済とは別に持つ

返済を進めながら同時に少額でも貯めておくというやり方は、一見すると非効率に映ります。
貯めるくらいなら返済に回したほうが利息の分だけ得になるからで、計算としてはそのとおりです。
それでも緊急用のお金を勧めるのは、それがないと想定外の出費のたびに借入が必要になってしまうからなんです。
借入が増えれば利息も増えるので、緊急用のお金は将来の借入を防ぐための費用だと考えたほうが、実態には近いでしょう。
金額の目安は、生活費の1か月分から始めれば十分です。
一度にためる必要はありませんし、毎月わずかでも構いません。
大事なのは金額よりも、それが返済用の口座ときちんと分かれているという点ですよ。

見直しは年に2回

家計の見直しを毎月やろうとすると、まず続きません。
年に2回と決めてしまって、たとえば4月と10月に、次の作業をまとめて片づけます。

  1. 固定費の一覧を更新する ── 増えたもの、使っていないものを確認します。
  2. 借入の残高を書き出す ── 半年前と比べて減っているかを見ます。
  3. 緊急用の残高を確認する ── 目標の1か月分に近づいているか。
  4. 返済に回せる金額を計算し直す ── 収入や固定費が変わっていれば、数字も変わります。

所要時間は1時間ほどなので、年に2時間で家計の方向性を確認できるなら、負担としては軽いほうだと思います。
そして、この2回は予定として先にカレンダーへ入れておいてください。
思い立ったときにやろうとすると、忙しい時期にそのまま流れてしまいます。
家計管理で挫折する原因の多くは、方法ではなく頻度のほうにあるんです。
毎日やろうとして続かなくなり、そのままやめてしまうという流れが、いちばん多いパターンでしょう。
年に2回なら、たいていの方は続けられますよ。

家計の見直しで届かない段階

ここまでの手順は、これから借りる場合か、いまの返済が計画どおりに進んでいる場合を前提にしています。
すでに返済が滞っているのであれば、家計の見直しで対応できる段階を超えている可能性があります。
消費生活センター(消費者ホットライン188)、法テラス、日本貸金業協会の相談窓口、日本クレジットカウンセリング協会などが利用でき、いずれも相談そのものに費用はかかりません。
どこも、行き詰まってから連絡する場所ではないんです。
早い段階のほうが、返済条件の見直しを含めて選べる手は多く残っています。

よくある質問

■ 家計簿がどうしても続きません

続けなくて構いません。
ここで必要なのは、直近3か月の記録を一度だけ見返すことで、口座とカードの明細があれば大半は把握できます。
現金の使用が多いなら、支払いをカードや電子マネーへ寄せておくと、記録のほうが自動的に残りますよ。

■ 3か月分を見返す時間が取れない場合はどうしますか

固定費だけを先に書き出してください。
固定費は毎月ほぼ同じ額なので、1か月分の明細でも精度はほとんど落ちません。
変動費の見積もりは後回しにしても、返済に回せる額のおおよその上限は見えてきます。

■ 貯蓄がまったくない状態で借入を検討していいですか

避けるべきだと一律に言うことはできませんが、返済に回せる金額のほうを先に確定させてください。
その数字が出ないまま借りてしまうと、返済の途中で想定外の出費に対応できなくなります。

■ 家族と一緒に管理する場合のコツはありますか

口座を分ける方式は、家族で運用する場合にもそのまま使えます。
支払い用の口座を共有して生活用をそれぞれ持つという形にすると、細かい確認がかなり減るはずです。
そのうえで、年に2回の見直しだけは一緒に行ってください。
日常の支出について毎回話し合うより、負担は小さく済むと思います。

まとめ

家計管理の目的は、返済に回せる金額を1つの数字にすることだけに絞ってしまって構いません。
手取り収入はいちばん少なかった月、変動費はいちばん多かった月を採用して、残った額の半分を返済に回します。
半分にとどめるのは、想定外の出費を自力で吸収するためです。
支出を見直すなら固定費からで、こちらは一度の手続きでその後ずっと効き続けます。
口座を3つに分けてしまえば、日々の判断そのものが要らなくなりますよ。
見直しは年に2回、日付を決めてカレンダーに入れておいてください。

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