借入前に知っておきたい返済シミュレーションの考え方

借入前に知っておきたい返済シミュレーションの考え方

いくら借りられるかではなく、いつ返し終えるかから決めます。無理のない金額を自分で割り出すための手順です。

返済シミュレーションというと、借りたい金額を入力して毎月の返済額を出すもの、という使い方をされがちです。
ただ、その順番だと、出てきた金額を見て「これなら払えそう」と感じるかどうかで判断することになり、いつ返し終わるのかが視界から外れてしまうんです。
順序を逆にして、いつ返し終えたいかを先に決め、そこから毎月の返済額と借りていい金額を割り出すほうが、判断できる材料はずっと多く残るはずですよ。
逆算といっても、やることは掛け算と引き算だけです。

返済シミュレーションで確かめること

確かめるのは、毎月いくら払うかという一点ではありません。
次の3つがそろって初めて、その借入が自分にとってどういうものかが見えてきます。

  1. 毎月いくら払うのか ── 家計への負担がどのくらいになるか。
  2. 何回で終わるのか ── その負担が、どのくらいの期間続くか。
  3. 総額でいくら払うのか ── 元金に対して、利息がどれだけ上乗せされるか。

このうち多くの人が見るのは1つ目だけで、2つ目と3つ目は見落とされがちです。
ただ、毎月の負担が軽く見える計画ほど期間は長くなって、総額のほうは膨らんでいくんです。
3つを並べて初めて、その借入が妥当かどうかを自分で判断できるようになると思います。
返せる額そのものが出せていないなら、日本貸金業協会の家計やりくりチェックで先に収支を出しておくと早いです。

終わる時期から逆算する手順

  1. 返し終える時期を決める ── 何か月後かを数えます。生活の予定に合わせると決めやすくなります。
  2. 毎月返せる額を出す ── 手取りから固定費と生活費を引き、残った額の半分までにとどめます。
  3. 掛け算する ── 毎月の額に月数を掛けたものが、支払総額の上限です。
  4. 利息の分を差し引く ── 総額の1割前後を利息として見込みます。期間が長ければ、もっと多く見込みます。
  5. 残った額が、借りていい元金 ── 必要な額がこれを超えるなら、金額か期間のどちらかを見直します。
▶ 毎月2万円・18か月で計算した場合
● 支払総額の上限 ── 20,000円 × 18か月 = 360,000円
● 利息の見込みを差し引くと ── およそ32万円前後が元金の目安
必要な額が50万円であれば、この計画では届きません。期間を延ばすか、借入以外の方法を探すかの判断に移る段階です。

返し終える時期の決め方

漠然と「早めに返す」では計画になりませんし、逆に何年でもいいと考えると、利息の総額が膨らみます。
決めるときは、生活の予定に合わせるのが現実的です。
子どもの入学、車検、契約の更新、引っ越しなど、まとまった出費が来る時期の前に返し終える、という決め方をすると、期間が自然に短くなります。
返済の期間が短いほど利息の総額は小さくなるので、家計にとっても悪くない決め方だと思います。
そして、時期さえ決まっていれば、途中で進み具合を確認できますよ。
決まっていない計画では、遅れているのかどうかすら判断できません。

借入前に知っておきたい返済シミュレーションの考え方

必要な額に届かないときの順番

逆算した結果、必要な額に足りない、ということもあるでしょう。
このとき多くの人は期間を延ばして帳尻を合わせようとしますが、期間を延ばせば利息の総額は増えます。
延ばす前に、必要な額そのものを下げられないかを確認してください。
支払いを分けてもらう、期日を延ばしてもらう、一部を後回しにするといった交渉ができれば、借りる金額が減ります。
借入額を減らすほうが、期間を延ばすより確実に効くんです。
それでも足りないのであれば、その時点で期間の延長を検討してください。
順番としては、金額の見直しが先です。

返済方式による進み方の違い

方式毎月の返済額注意する点
残高スライド方式残高が減ると下がる返済のペースも遅くなるため、額を下げない工夫が要る
定額方式一定終わる時期を読みやすい
元金定額方式当初は多く、徐々に減る序盤の負担は大きいが、総額は抑えやすい

名称や取り扱いは契約先によって異なりますが、押さえておきたいのは、方式によって終わる時期が変わるという点です。
とくに残高スライド方式の場合、残高が減るにつれて最低返済額も下がるため、返済のペースそのものが落ちていきます。
対策は単純で、最低返済額が下がってもこれまでと同じ金額を払い続けることです。
差額はそのまま元金に充てられるので、終わる時期が前倒しになります。
追加の負担なしにできる工夫としては、これがいちばん効くと思います。

複数の借入がある場合

すでに他の借入がある場合、新しく借りる分だけを計算しても意味がありません。
見るのは合計です。
すべての契約の毎月の返済額を足し、そこに新しい借入の返済額を加えたうえで、手取りの月収に対する割合を出してください。
この割合に法律で定められた基準はありませんが、目安として、手取りの2割を超えたあたりから生活の余裕は目に見えて減ります。
3割に近づくと、想定外の出費が来たときに新たな借入が必要になりやすく、その借入がさらに返済額を押し上げます。
割合が高いと感じたなら、新しく借りる前に、いまある契約の整理を先に検討してください。
年率の高いものから返していくだけでも、毎月の負担は変わってきますよ。

ボーナス返済を計画に入れない理由

ボーナス返済を組み込むと毎月の返済額を下げられるので、見かけ上はたしかに楽です。
それでも勧めないのは、支給額が確定していないからです。
業績によって変わりますし、支給されない年もあり得ますし、制度そのものが変わることもあります。
確定していないものを計画に組み込んでしまうと、そこが崩れたときに計画全体が倒れてしまうんです。
代わりに、ボーナスは計画に入れず、支給されたらそのときに繰り上げ返済へ回す形にしてください。
こうしておけば、支給されなくても計画は維持できますし、支給されれば前倒しになります。

シミュレーターの使い方と限界

各社が返済シミュレーションを公開していますが、使い方には少しコツがあるんです。
ツールは入力した条件で計算するだけなので、借入額を入れて毎月の返済額を出すという使い方をすると、この記事で書いてきた逆算になりません。
返済額と期間のほうを固定して、借入額を変えながら試してください。
毎月2万円・18か月という条件を固定したまま、借入額を30万、35万、40万と動かしてみて、条件に収まる最大の金額が、その計画で借りていい額になります。
また、ツールが示すのは概算です。
実際の利息は日割りで計算され、入金のタイミングによっても変わるため、契約前には契約先が提示する数字で確認してください。

借りる前に紙に書いておく3つ

▶ 手続きに進む前に確定させる
いくら借りるか ── 提示された限度額ではなく、逆算で出した必要額。
毎月いくら返すか ── 最低返済額ではなく、自分で決めた額。
いつ返し終えるか ── 月ではなく日付で決める。

この3つが書けない状態であれば、まだ申し込む段階にはありません。
書いてみると、必要額が思っていたより小さかったり、逆に返済に回せる金額では届かなかったりすることがはっきりします。
どちらの場合も、申し込む前に分かったほうが打てる手は多いでしょう。
そして書いたものは捨てずに残しておいて、3か月ごとに残高と見比べてください。
計画どおりに進んでいるかどうかは、そのときの残高を見れば分かります。

計画が崩れそうなとき

  1. 遅れる前に連絡する ── 遅れてから連絡するより、事前に相談したほうが対応の選択肢が多く残ります。
  2. 新しい借入で埋めない ── 返済のための借入が始まると、残高は増え続けます。
  3. 全体を書き出す ── どこから、いくら、年率何%で、毎月いくら返しているか。
  4. 公的な窓口に相談する ── 消費生活センター(消費者ホットライン188)、法テラス、日本貸金業協会の相談窓口、日本クレジットカウンセリング協会などがあります。

2つ目に一度でも入りそうだと感じたら、そこが相談する時点です。
相談は、行き詰まってからする手続きではありません。
早い段階であれば、返済条件の見直しを含めて選べる手が多く残っていますし、いずれの窓口も相談そのものに費用はかかりません。
連絡したからといって、その場で何かを決めさせられるわけでもないので、そこは心配しなくていいと思います。

よくある質問

■ シミュレーションと実際の返済額は一致しますか

一致しないことのほうが、じつは多いんです。
実際の利息は日割りで計算され、返済日や入金のタイミングによって変わるためです。
計画は概算として使い、正確な数字は契約先が用意しているシミュレーションで確認してください。
ずれが出るのは計算方法の違いによるもので、どちらかが間違っているわけではありません。

■ 期間はどのくらいに設定するのが妥当ですか

一律の基準はありませんが、その期間のあいだ、いまの収入が続く見込みがあるかどうかが目安になります。
見込みが立たないほど長い期間を設定すると、計画として成り立ちません。
返せる範囲で、できるだけ短くというのが原則です。

■ 計画どおりに進んでいるか、どう確認しますか

3か月ごとに残高を見て、計画で想定していた残高と比べてください。
ずれていれば、返済額を増やすか期間を見直すかの判断が、その時点でできますよね。
年に一度しか確認しないと、気づいたときには修正が難しくなっています。
確認そのものは数分で終わるので、給与の振込日など、決まった日に紐づけておくと忘れません。

まとめ

返済の計画は、借入額からではなく、返し終える時期から逆に引いてください。
時期を決め、毎月返せる額を出し、掛け算して、利息の分を差し引く。
そこで出た額が、自分にとって借りていい元金です。
必要な額に届かないときは、期間を延ばす前に必要な額そのものを下げられないかを検討してください。
ボーナスは計画に入れず、支給されたら繰り上げ返済に回す形にしておくと、どちらに転んでも計画が崩れません。

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