おまとめローンとは|複数の借入を一本化する考え方
おまとめローンとは|複数の借入を一本化する考え方
毎月の返済額が下がることと、返す総額が減ることは、別の話です。総額が減るときと増えるときは、条件がはっきり分かれます。
おまとめローンとは、複数の借入を新しい契約1本にまとめ、そのお金で既存の借入をまとめて返してしまう仕組みのことです。
確実に手に入るのは、返済先が1つになることと、期日の管理が楽になることの2つです。
一方で、支払う総額が減るかどうかは条件しだいで、減らないどころか増えてしまうこともあるんです。
毎月の返済額が下がると楽になった実感があるので、総額のほうが増えていても気づきにくくなります。
一本化で確実に得られるもの、得られないもの
| 項目 | 一本化で | 理由 |
|---|---|---|
| 返済先の数 | 確実に減る | 契約が1つになる |
| 管理の手間 | 確実に減る | 期日と金額が1つになる |
| 返済の遅れの起きにくさ | 改善しやすい | 期日の管理漏れが減る |
| 毎月の返済額 | 下がることが多い | 期間が延びるため |
| 支払総額 | 減るとはかぎらない | 金利と期間の組み合わせ次第 |
確実に得られるのは上の3つで、これは金額の話ではなく管理の話です。
返済先が3つあれば期日も3つあって、そのどれか1つを忘れれば記録に残ってしまいますよね。
1つにまとまれば、その種類の事故はかなり起きにくくなります。
この価値は決して小さくないと思います。
一方、いちばん下の行だけは条件次第なので、ここを確認せずに申し込むと、期待していたものが手に入りません。
総額が増えることがある理由
毎月の返済額が下がる仕組みそのものは単純で、返済の期間が延びるからです。
同じ金額でも、より長い期間で返せば毎月の負担は軽くなります。
ところが利息は、残高に対して期間の分だけ発生していきます。
期間が延びれば、その分だけ利息の総額も増えるわけです。
つまり金利が下がったとしても、期間の延び方がそれを上回れば、総額は増えます。
たとえば毎月3万円ずつ返していた合計60万円の借入を、毎月2万円で返す形にまとめたとします。
毎月の負担は1万円軽くなりますが、返し終えるまでの月数のほうはおよそ1.5倍に延びますよね。
金利が同じなら、利息を負担する期間もそのぶん長くなるという計算です。
ここが一本化でいちばん誤解されているところだと思います。
なお、総額が増えると分かったうえで毎月の負担を下げたい、という選び方もあります。
それが分かって選ぶのであれば、判断として成り立ちますよ。
● いまの支払総額 ── 各契約の残高と年率と毎月の返済額から、あと何回でいくら払うかを出す
● 一本化後の支払総額 ── 提示された金利と期間から、総額を出す
この2つを並べて減っていなければ、手に入るのは管理の楽さだけです。

まとめる前に書き出す5項目
2つの数字を出すには、いまの借入を全部紙に書き出すところから始まります。
書く項目は、次の5つです。
- どこから借りているか
- 残高はいくらか
- 実質年率は何%か
- 毎月いくら返しているか
- あと何回で終わる見込みか
書き出せば、合計の残高、毎月の返済総額、そして支払総額の見込みという3つの数字が出ます。
この3つが比較の基準になるので、基準がないまま提示された条件を見ても、有利かどうかは判断できません。
そして、この作業をしている途中で気づくこともあります。
年率の高い1件だけを先に返してしまえば、一本化しなくても負担が下がる場合があるんです。
一本化は手段のひとつであって、唯一の方法ではないんですね。
一本化が効きやすい条件
- いまの借入の年率が高い ── 下げ幅が大きければ、期間が延びても総額が減る可能性があります。
- 期間を延ばさずに組める ── 毎月の返済額を下げずに一本化できるなら、総額は確実に減ります。
- 返済の遅れが起きている ── 期日が1つになることで、遅延損害金と記録の悪化を止められます。
- 借入をこれ以上増やさないと決められる ── ここが最大の条件です。
実際にいちばん重要なのは、最後の1つだと思います。
一本化すると、まとめた元の契約に枠だけが残ることがあって、枠が残っていればまた借りられてしまいます。
そのうえ毎月の返済額が下がったことで生まれた余裕が、そのまま新しい借入の余地に見えてくるんです。
この流れに入ってしまうと、一本化する前より残高が増えます。
一本化の失敗の多くは、金利の計算ではなく、ここで起きています。
金利と一緒に変わる返済方式
一本化を検討するとき、金利の比較には時間をかけても、返済方式まで確認する方はあまり多くありません。
ただ、方式が変われば終わる時期のほうも変わってきます。
たとえばいまの契約が残高スライド方式で一本化後が定額方式なら、終わる時期は読みやすくなります。
逆に一本化後が残高スライド方式だと、残高が減るにつれて返済額も下がるので、進みが遅くなってしまうんです。
確認しておきたいのは、毎月の返済額がどう決まるのか、繰り上げ返済はできて手数料はかかるのか、そして遅延損害金の利率はいくらか、という3点でしょう。
いずれも金利と同じ場所に書かれているので、金利の数字だけを見て次のページに進まないでください。
勧められたときの確認事項
一本化は、こちらから探す場合だけでなく、勧められる形で話が来ることもあります。
そのときに確認したいのは、次の4つです。
- 相手は誰か ── 貸金業者であれば登録番号があります。金融庁の登録貸金業者情報検索で確認できます。
- 提示されているのは総額か、毎月の額か ── 毎月の額だけが示されている場合、総額を必ず尋ねてください。
- 期間は何か月か ── 期間が示されていなければ、総額は計算できません。
- 手数料や保証料はかかるか ── 金利以外の費用の有無を確認します。
とくに1つ目は、面倒でも必ず確認してください。
借金を減らせる、まとめれば楽になる、といった勧誘の中には、正規の業者でないものが混ざっています。
少しでも不審に感じたら契約せず、消費生活センターや警察に相談してください。
そして急かされている場合は、それ自体が危険な兆候だと思ってください。
すでに遅れている場合の選択肢
返済が遅れている状態で一本化を考える方は少なくありません。
ただ、遅れが記録に残っている状態では、新しい契約の審査のほうが通りにくくなってしまいます。
つまり、いちばん一本化したい状況で、いちばん組みにくいという構造になっているんです。
ここで審査の通りやすさをうたう相手を探し始めるのが、いちばん危ない流れでしょう。
そうではなく、順番を変えてみてください。
一本化を探す前に、公的な相談窓口へ状況を伝えて、いまの状況に対してどういう選択肢があるのかを確認します。
選択肢には、返済条件の見直しや法的な手続きも含まれます。
どれを選ぶかは自分で決めることになりますが、選択肢を知らないまま一本化だけを探すと、条件の悪い契約に行き着きます。
消費生活センター(消費者ホットライン188)、法テラス、日本貸金業協会の相談窓口、日本クレジットカウンセリング協会などがあり、いずれも相談そのものに費用はかかりません。
一本化した後に決めること
- 元の契約をどうするか ── 解約するのか、枠を残すのか。残すなら、その理由を自分で説明できるようにしてください。
- 返済額を下げないこと ── 毎月の返済額が下がったなら、その差額を繰り上げ返済に回します。
- 次に確認する日を決める ── 3か月後に残高を見て、減っているかを確認します。
この3つを決めずに一本化すると、半年後には元の状態に戻っていることがあります。
一本化というのは、状況を整理して立て直すための時間を作る手続きです。
その時間に何をするかを決めていなければ、時間だけが過ぎていってしまいます。
逆に3か月後の残高が減っていれば、その時点で一本化は機能していると判断できますよ。
一本化で判断を誤りやすいところ
● 毎月の返済額だけを比べる ── 支払総額を必ず並べてください。
● まとめた元の契約の枠を残したままにする ── 解約するかどうかを、その場で決めてください。
● 返済額が下がった分を、生活費の余裕として使う ── 繰り上げ返済に回すほうが、結果として早く終わります。
● 一本化を「解決」だと考える ── 一本化は整理であって、金額が消える手続きではありません。
よくある質問
■ おまとめローンで借金は減りますか
減りません。
借入をまとめる手続きであって、元金そのものが減るものではないんです。
条件によっては支払総額が減る場合もありますが、それは利息の話であって、元金の話ではありません。
■ まとめると必ず金利は下がりますか
下がるとはかぎりません。
提示される条件は審査の結果によって決まりますし、金利が下がっても期間が延びれば支払総額は増えることがあります。
■ まとめる以外の方法はありますか
年率の高い契約から順に返していく方法があります。
この場合、新たな契約をせずに負担を下げられるので、条件によってはこちらのほうが速いこともありますよ。
返済が困難な場合は、公的な窓口に相談してください。
■ 一本化しても総量規制の対象になりますか
貸金業者による一本化は、顧客に一方的に有利となる借換えとして例外にあたる場合があり、年収の3分の1を超えていても組めることがあります。
この例外の範囲は法律で決まっていて、日本貸金業協会の解説に整理されています。
ただし該当するかどうかは契約先の判断によりますし、銀行のカードローンはそもそも制度の対象外です。
仕組みそのものは、総量規制とはのほうで扱っています。
まとめ
一本化で確実に得られるのは、返済先の数が減ることと、管理が楽になることの2つです。
支払総額が減るかどうかは金利と期間の組み合わせによりますし、毎月の返済額が下がるのは、多くの場合、期間が延びるからです。
ですから申し込む前に、いまの支払総額と一本化後の支払総額を必ず並べてください。
そして、まとめた元の契約の枠をどうするかを、その場で決めてしまってください。
一本化の失敗の多くは、金利ではなく、残った枠のほうで起きています。
一本化は状況を整理して立て直すための時間を作る手続きなので、その時間に何をするかを決めていなければ、時間だけが過ぎていくんです。


