試用期間中に辞めた経歴は、履歴書に書くべきか
試用期間中に辞めた経歴は、履歴書に書くべきか
書き方は、入社と退社の2行だけです。
入社してすぐ辞めた会社を次の履歴書に書くのは、正直かなり気が重いですよね。
「試用期間は職歴に入らない」と聞いて、迷っている人もいるかもしれません。
ただ、私は書いておくほうが安全だと考えています。
試用期間も、雇用契約を結んで働いていた期間であることに変わりはないからです。
それに、書くのは入社と退社の2行だけです。
面接で一言で答えられるよう準備しておけば、それ以上に引きずる経歴にはなりにくいはずです。
むしろ書かずに済ませたほうが、あとで説明する場面はずっと重くなるのではないでしょうか。
今回は、書かなかったときに何が起きうるのかと、短く書くときの形を見ていこうと思います。
「試用期間は職歴に入らない」という話の出どころ
この話が広まっているのは、試用期間が「本採用の前の期間」と呼ばれることと関係がありそうです。
本採用の前なのだから正式な職歴ではない、と受け取られやすいのでしょう。
たしかに、そう聞こえますよね。
でも試用期間も、会社と雇用契約を結び、給与を受け取って働いていた期間です。
労働基準法で試用期間に特別な扱いが置かれているのは、主に会社の側が辞めさせるときの解雇予告の部分です。
しかも、14日以内に限った話です。
働いた側の経歴から外してよい、という決まりはありません。
「職歴に入らないから書かなくていい」というのは、根拠のない噂だと思っておいたほうがよさそうです。
書かずに済ませた場合に起きうること
書かない選択がなぜ危ういのかは、次の会社の入社手続きを考えてみると見えてきます。
試用期間中でも、社会保険や雇用保険には入社の時点から加入していることが多いので、次の会社での入社手続きや提出書類から、前の勤め先が分かることがあります。
同じ年に前の会社から給与を受け取っていれば、年末調整のために、その会社の源泉徴収票の提出を求められることもあるでしょう。
もちろん、必ずではありません。
ただ、分かるかどうかを気にしながら新しい職場に入るのは、それだけでかなり落ち着かないですよね。
問題はもうひとつあります。
それは、分かったときのタイミングです。
面接の段階なら、短期離職の説明は長くても1分ほどで終わります。
ところが、内定後や入社後に経歴の不一致が見つかると、話は「なぜ辞めたのか」から「なぜ書かなかったのか」に変わってしまうんです。
書かなかった理由は、どう説明しても「隠した」と受け取られやすく、短期離職そのものより、ずっと説明しにくいはずです。
不一致の内容によっては、内定や雇用の扱いに関わる問題として受け止められることもありえます。
● 入社手続きで分かる ── 保険の加入記録や提出書類から、前の勤め先が分かることがあります。
● 年末調整で分かる ── 同じ年に給与を受け取っていれば、前の会社の源泉徴収票を求められる場合があります。
● 質問が重くなる ── 「なぜ辞めたのか」ではなく「なぜ書かなかったのか」を問われることになります。
履歴書の職歴欄への書き方
書き方は、ほかの職歴と同じです。
入社した年月と会社名を1行、退職した年月を1行で書けば足ります。
自己都合で辞めたなら、退職の行は「一身上の都合により退職」とするのが一般的です。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| 令和○年 | 4 | 株式会社○○ 入社(営業部に配属) |
| 令和○年 | 6 | 一身上の都合により退職 |
| 以上 |
在籍が短いからといって、試用期間だったことや在籍した月数を書き添える必要はありません。
理由の詳しい説明を職歴欄に書き込むと、かえって短期離職が目立ってしまうので、避けたほうが無難です。
会社の都合で辞めた場合は、「会社都合により退職」と書く形もあります。
どちらにあたるかは、退職のときに受け取った書類で確かめておくと安心です。
履歴書全体の書き方は履歴書の書き方完全ガイドにまとめてあります。
ハローワークも履歴書・職務経歴書の書き方を案内しているので、迷ったらそちらも見てみてください。
● 入社と退社の年月 ── 記憶に頼らず、雇用契約書や給与明細の日付で確かめておくと確実です。
● 退職の区分 ── 自己都合か会社都合かで、退職の行の書き方が変わります。
● 雇用形態 ── 正社員以外で入社していた場合は、入社の行に雇用形態を添えておくと誤解がありません。

履歴書に書いておけば、面接ではほぼ確実にその会社について聞かれるでしょう。
長く説明しなくて大丈夫です。
たとえば、こんなふうに事実を一言伝えれば十分です。
「入社前に聞いていた業務と配属後の業務が大きく違い、早い段階で判断しました。」
続けて「今回は配属後の業務内容まで確認したうえで応募しています」と、次で何を確かめたかを添えてみてください。
書類には短く書いて、面接では一言で済ませるのが、いちばん負担の少ない形だと思います。
職務経歴書で短い在籍をどう扱うか
職務経歴書は履歴書と違って決まった書式がないぶん、短い在籍をどこまで書くか迷うかもしれません。
基本は、ほかの会社と同じ並びで、在籍期間と会社名、担当した業務を簡潔に書く形です。
数か月の在籍なら、成果がなくて当然ですよね。
研修で学んだことや、配属先で担当した範囲を、事実として1〜2行書けば十分でしょう。
無理に量を増やすと、短い在籍を飾ろうとしているように見えてしまうかもしれません。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 在籍期間 | 令和○年4月〜令和○年6月(入社と退社の年月をそのまま) |
| 会社名・事業内容 | 株式会社○○/事業の内容を一言で |
| 担当した業務 | 新人研修を受けたのち、営業部で既存の取引先からの問い合わせ対応を担当 |
| 身につけたこと | 研修で学んだ基本や、担当業務で使った知識を事実として1行 |
表のように、成果の欄は無理に作らず、担当した範囲と身につけたことだけを書けばOKです。
在籍の短さは期間の行で伝わるので、言い訳を書き添える必要もありません。
前職のほうが長いなら、そちらを厚めに書いてかまいません。
新卒で入った会社を試用期間中に辞めて、職歴がその1社だけという場合は、職務経歴書より履歴書の自己PR欄を厚くするほうが伝わりやすいのではないでしょうか。
職務経歴書のほうは、事実どおり短くまとめれば、それ以上の工夫はいらないはずです。
試用期間中の退職手続き
まだ辞めていないなら、手続きの面も確かめておきましょう。
試用期間中だからといって、明日から来なくていい、と気軽に辞められるわけではありません。
厚生労働省の退職に関する解説には、期間の定めのない労働契約で働く人の退職についての説明があります。
それによると、退職は原則として2週間前までに申し入れることとされています。
正社員として入社した人の試用期間は、この期間の定めのない契約の中に置かれていることが多いので、同じ原則が当てはまると考えておくのが安全でしょう。
一方、契約社員のように契約期間が決まっている場合は、期間の途中で辞めるのに、やむを得ない事由が必要とされているので扱いが変わります。
自分の契約がどちらにあたるかは、入社時に受け取った労働条件の書面で確かめられます。
ただし、例外もあります。
同じ解説によると、働き始めたときに、実際の労働条件が約束と違っていた場合は、即時に退職できるとされています。
求人や面接で聞いた条件と実際の条件がかけ離れていたことが辞める理由なら、この部分も一度読んでおく価値はありそうです。
退職の伝え方や引き継ぎの進め方は退職の伝え方・円満退職のマナーとタイミングにまとめてあります。
試用期間中でも、考え方はほとんど変わりません。

よくある質問
■ 1か月未満で辞めた場合も書くべきですか
書いておくほうが安全です。
在籍の長さで書く・書かないが変わる決まりはありません。
在籍が短いほど、面接で説明する内容も短く済むはずです。
■ 面接で聞かれたら、どう答えればいいですか
事実を一言で伝えて、そこから分かったことと、次の会社選びで確かめたことにつなげるのが基本です。
理由の型ごとの組み立て方は、入社1年目で辞める理由を、面接でどう説明するかで詳しく説明しています。
■ 書かずに応募してしまいました
早めに伝えるのがおすすめです。
内定を承諾する前に、自分から応募書類の訂正を申し出るといいと思います。
あとから見つかるより、自分で伝えたほうが、受け止められ方はずっと穏やかなはずです。
■ 短期離職が続いていて、書くと職歴欄が埋まってしまいます
それでも原則は同じです。
1社ずつ書いておくのが安全です。
職歴欄の行数を減らすより、なぜ続いたのか、次は何を変えたのかを一言で伝えられるようにしておくほうが、結果として効いてくると思います。
■ 職歴欄に書くと、書類選考で落ちやすくなりませんか
不安になりますよね。
たしかに、短い在籍を気にする会社はあると思います。
それでも、書かずに書類を通したあとで分かるほうが、ずっと不利になりかねません。
書いたうえで、志望動機に「次の会社選びで何を確かめたか」を入れておくほうが、選考全体では有利に働くはずです。
■ 試用期間中なら、退職の申し出は口頭だけで足りますか
就業規則しだいです。
申し出の形は会社の就業規則で決められていることが多いので、まずはそちらを確かめてください。
言った言わないの行き違いを避けるためにも、退職日を書いた書面やメールを残しておくと安心です。
まとめ
試用期間中に辞めた会社も、履歴書には入社と退社の2行で書いておくのが安全だと思います。
書かずに済ませると、入社手続きなどで分かったときに「なぜ書かなかったのか」という、短期離職よりずっと重い説明が残ってしまいます。
書類には短く書いて、面接では事実と次で確かめたことを一言で伝えれば十分です。
まだ辞めていないなら、退職は原則として2週間前までに申し入れる、という点も押さえておいてください。
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