入社1年目で辞める理由を、面接でどう説明するか|前向きな理由がなくても伝え方はある

入社1年目で辞める理由を、面接でどう説明するか|前向きな理由がなくても伝え方はある

話す順番を変えるだけで、伝わり方は変わります。

入社1年目で転職活動を始めると、面接ではまず間違いなく「前の会社は、なぜ辞めたんですか?」と聞かれますよね。
とはいえ、正直に話せる理由は「仕事が想像と違った」「上司と合わなかった」「残業がきつかった」くらい…という人も多いのではないでしょうか。

そうなると、つい前向きな言葉で飾りたくなるかもしれません。
その気持ち、よく分かります。

でも、飾らなくていい、というのが私の考えです。
面接官が知りたいのは、辞めた理由が立派かどうかより、次の会社で同じことが起きないかどうかのはずです。
理由を「さらなる成長のため」のように塗り替えると、二つ三つ深掘りされただけで話が続かなくなりがちです。
話が嘘っぽく聞こえてしまうのは、たいていこのパターンではないでしょうか。

理由の中身はそのままでも、話す順番を少し変えるだけで、受け取られ方はずいぶん変わってきます。
ここからは、そんな「後ろ向きな退職理由」の伝え方を、理由の型ごとに例を挙げていきますね。

面接官が短期離職で確かめていること

1年以内に辞めた人を採るとき、採用する側がいちばん気にするのは、おそらく「また辞めてしまわないか」でしょう。
採用にも育成にも時間と費用がかかるので、早く辞められると、それがそのまま会社の損失になるからです。

つまり「なぜ辞めたのですか」は、あなたを責めるための質問ではないはずです。

同じことが繰り返されないかを確かめる質問だと思えば、何を答えればいいのかも見えてきます。
見られているのは、だいたい次の3つではないでしょうか。

■ 退職理由の質問で見られている3つ
● 原因の置き場所 ── 辞めた原因を、すべて会社や他人のせいにしていないか。
● 自分で確かめたこと ── 次の会社を選ぶときに、同じずれが起きないよう何を確かめたか。
● この会社とのつながり ── 確かめた結果として、なぜこの会社を選んだのかが一本の話になっているか。

3つ目まで話がつながると、面接官の見方もかなり変わってくるはずです。
「すぐ辞めた人」だったのが、「一度ずれを経験して、会社の選び方を変えた人」に見えてくるからだと思います。

ここが、入社1年目の転職のいちばんの勝負どころでしょう。

退職理由以外の質問は、転職面接でよくある質問と回答のポイントを参考に、答え全体の向きをそろえておくと安心です。

面接で退職理由を説明する

理由の型ごとの伝え方

骨組みはどの理由でも同じです。
「事実」「そこから分かったこと」「次の会社で確かめたこと」の3段で話します。
ただ、2段目と3段目に何を入れるかは、理由の種類によってかなり変わってきます。
入社1年目の退職理由としてよく挙がる4つの型で、それぞれの段に入る中身を表にしてみました。

理由の型事実として伝えることそこから分かったこと次で確かめたこと
仕事内容が想像と違った配属後の業務が、入社前の説明とどう違ったか自分が長く続けられる仕事の条件配属後1年目の業務内容を、面接で具体的に聞いた
人間関係指導役がいない、相談の窓口がないなど、仕組みとして話せる部分自分が力を出しやすい職場の形配属先の人数や、誰から教わるのかを確認した
残業・勤務時間残業がどの程度で、どれくらいの期間続いたか働き方として譲れない線平均だけでなく、繁忙期にどこまで増えるかを確認した
待遇・評価給与や評価の仕組みで、入社後に分かった事実自分が何で評価されたいか評価制度や昇給の基準を、選考の段階で確かめた

仕事内容のずれが理由のとき

4つの中では、いちばん話しやすい型かもしれません。
事実は、短く具体的に伝えれば十分です。
たとえば、こんな形です。

「事務職として入社しましたが、配属後の業務の大半が電話での新規開拓でした。」

どうでしょう?
前の会社への文句は入っていませんが、何がずれていたのかはちゃんと伝わりますよね。

続けて、そこから分かったことを一言つなげます。
たとえば「その経験から、仕組みを整えて周りを支える仕事のほうが、自分は長く続けられると分かりました」という形です。
最後に「今回は面接で、入社1年目の業務内容まで確認したうえで応募しています」と添えてみてください。
この一言で、同じずれはもう起きにくいと伝わりやすくなるはずです。

人間関係が理由のとき

人間関係の話は、そのまま伝えると「この人はどこへ行っても合わないのでは」と思われてしまうかもしれません。
なので、特定の誰かの話にはせず、仕組みの問題として話せる部分だけを取り出すのがコツです。
たとえば「配属先に教育の担当者がおらず、質問できる相手がいない状態が続きました」という伝え方です。
これなら、誰かへの不満というより、職場の事実として聞いてもらえるでしょう。

上司と合わなかったのが本音でも、面接でそこを詳しく話す必要はないと思います。

3段目は、配属先の人数や、入社後に誰から教わるのかを面接で確かめた、という形でつなげるのがおすすめです。

残業や待遇が理由のとき

残業や待遇の話は、条件だけを口にすると「楽をしたいだけなのかな」と受け取られかねません。
そこで効いてくるのが、程度と期間を具体的に伝えることです。
たとえば、こんな具合です。

「月の残業が○時間を超える状態が半年続き、改善の見込みも示されませんでした。」

ここまで具体的なら、考えたうえでの判断だったと伝わるはずです。
次の会社では残業の平均だけでなく、繁忙期にどこまで増えるのかまで確かめた、と添えておけば十分でしょう。

待遇の不満も同じです。
評価や昇給の基準を選考の段階で確かめた、という一段があるかどうかで、受け取られ方はずいぶん変わってきますよ。

そのまま口にすると不利になる言い方

組み立てが合っていても、言い回しひとつで面接官の受け取り方が逆になってしまうことがあり、入社1年目の退職理由では次の4つが特に出やすいので、話す前に一度見直してみてください。

■ 避けたい言い方
● 前の会社の悪口になる ── 「上司がひどかった」「会社の体質が古い」は、事実だとしても聞き手には他人のせいに聞こえます。
● 前向きな言葉に置き換えすぎる ── 「さらなる成長のため」だけでは、なぜ1年で辞めたのかという問いに答えていません。
● 謝りすぎる ── 「辛抱が足りませんでした」と自分を下げ続けると、次も続かないのではという不安をかえって強めます。
● 次の会社の話が出てこない ── 辞めた理由で話が終わると、この会社とのつながりが抜け落ちます。

特に注意したいのは2つ目です。

成長したい、挑戦したいという気持ち自体はもちろん悪いものではありませんが、入社1年目の退職理由としてこれだけを出すと、まず深掘りされるでしょう。
「では、なぜ前の会社では成長できなかったのですか」と返ってくるはずです。
そこで本当の理由をあとから出すと、最初の答えは取り繕いだったように見えてしまいますよね。
最初から事実を短く伝えておくほうが、結局は話がずっと楽になりますよ。

4つ目の「次の会社の話が出てこない」形も、意外と多いのではないでしょうか。
辞めた理由をどれだけ丁寧に説明できても、それだけでは過去の話のまま終わってしまいます。
面接官が本当に聞きたいのは、その経験を踏まえて、なぜいまこの会社を受けているのか、のはずです。

退職理由の最後の一文には、応募先で確かめたことを入れてみてください。
それだけで、退職理由がそのまま志望動機への橋渡しになってくれます。

入社1年目で辞めるかどうかを考える

「3年は続けるべき」という言葉の扱い方

入社1年目で転職を考え始めると、周りから「最低でも3年は続けたほうがいい」と言われることもありますよね。
この言葉にも、仕事の全体像が見えるまでには時間がかかる、という一定の理屈はあります。

ただ、3年という年数に、法律や制度上の決まりがあるわけではありません。
面接官も、続けた年数だけで合否を決めているわけではなく、見ているのは、辞めるという判断に筋が通っているかどうかのはずです。

とはいえ、例外もあります。

何が合わないのかを自分でも言葉にできないなら、もう少しいまの職場で確かめてみる価値はありそうです。
理由を言葉にできないまま転職すると、次の会社でも同じ違和感にぶつかって、また説明のつかない退職を重ねることになりかねません。

まだ辞めるかどうかで迷っている段階の人もいると思います。
それなら、仕事を辞めたくなる瞬間あるある10選で、自分の違和感がどの種類かを先に見ておくと整理しやすいはずです。

面接で「3年は続けようと思わなかったのですか」と聞かれることもあります。
焦らなくて大丈夫です。
続けた場合に何が変わる見込みだったかを考えたうえで判断した、と伝えればOKです。

よくある質問

■ 退職理由は、正直に全部話したほうがいいですか

全部でなくても構いません。
事実と違うことを話す必要はありませんが、すべてを詳しく話す必要もないと思います。
面接で伝えるのは、事実の一言と、分かったこと、次で確かめたことの3段で十分です。

■ まだ在職中で、退職理由が固まっていません

まずは紙に書き出してみましょう。
いまの職場で何が合わないのかを、具体的な場面ごとに挙げていくのがおすすめです。
その中に、次の会社選びで確かめられるものが見つかれば、それがそのまま退職理由の骨組みになります。

■ 試用期間中に辞めた場合も、同じ考え方でいいですか

はい、同じ考え方で問題ないと思います。
履歴書にその会社を書くべきかどうかは、試用期間中に辞めた経歴は、履歴書に書くべきかで、書き方と合わせて説明しています。

■ 退職理由と志望動機は、別々に用意したほうがいいですか

つなげておくのがおすすめです。
別々に作ると、話がつながらずに矛盾が出やすくなります。
退職理由の3段目の「次で確かめたこと」を、そのまま志望動機の入口にしておくと、話が一本につながりますよ。

■ 短期離職が2回目の場合はどうなりますか

ハードルは少し上がりそうです。
2回目になると、面接官の「また辞めないか」という心配は、どうしても強くなるでしょう。
1回目と2回目で、会社の選び方をどう変えたのかを、より具体的に伝える必要がありそうです。
今回はなぜ違うと言えるのか、その根拠まで話せると安心です。

まとめ

入社1年目の退職理由で問われているのは、辞めた理由が立派かどうかより、次で同じことが起きないと言えるかどうかだと思います。

理由が後ろ向きでも、飾る必要はありません。

事実、分かったこと、次で確かめたことの順に話せば、短期離職もちゃんと説明のつく経歴になります。
前の会社の悪口にも、自分を責める言葉にも寄せすぎないことだけ、気をつけておけば十分だと思います。

3段ができたら、一度声に出して話してみてください。
深掘りされても崩れないかを確かめておくと安心です。
練習の機会が見つからないときは、ハローワークの面接セミナーなどの就職活動の支援も使えます。

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