女性が働きやすい会社の見分け方|求人票と面接で見るべきポイント
女性が働きやすい会社の見分け方|求人票と面接で見るべきポイント
制度が使われているかは、面接で確かめられます。
求人票の「女性活躍中」「産休・育休取得実績あり」という一文を見て、少しほっとしたことはないでしょうか。
気持ちは分かります。
ただ、こうした言葉は、会社を選ぶ材料としてはあまり役に立たないと私は考えています。
書くのにお金も審査もかかりませんし、実態と合っているかを確かめる仕組みもないので、極端な話、育休を取った人が何年も前に1人いただけの会社でも、同じ一文を載せられてしまうからです。
働きやすい会社かどうかは、制度が「あるか」より、配属される部署で「使われているか」で見分けるのが確実です。
そして、それを確かめられる接点は、求人票と面接の2つしかありません。
今回は、その2つをどう使えばいいかを順番に見ていきましょう。
「女性活躍中」が判断材料にならない理由
定義がないんです。
女性社員が1人でもいれば書けてしまいますし、実際に働きやすいかどうかとは関係なく載せられます。
「アットホームな職場」も同じです。
こうした言葉は書き手の感想で、あとから確かめられる情報ではないんですね。
求人票を読むときは、形容詞はぜんぶ飛ばして、数字と制度の名前だけを拾うくらいでちょうどいいと思います。
見るべきなのは、あとで確かめられる形で書かれている情報です。
たとえば「産休・育休取得実績あり」だけでは確かめようがありませんが、「直近3年で育休取得5名、復帰5名」と書かれていれば、面接でその内訳を聞くことができます。
具体的に書いてある会社は、少なくともその数字を把握しています。
把握していない会社は、そもそも具体的には書けません。

求人票で拾う3つの数字
求人票の中で、働きやすさとつながりやすいのは次の3つです。
どれも「女性が」とは書かれていないので、意識して探さないと見落としがちです。
| 見るところ | なぜ効くのか |
|---|---|
| 平均勤続年数 | 長く働ける環境かどうかが出ます。極端に短い場合、離職が多い可能性があります |
| 募集背景(増員か欠員補充か) | 欠員補充が続いている部署は、辞める理由がある可能性があります |
| 残業時間の書き方 | 「月平均◯時間」と数字がある会社は把握しています。「あり」「応相談」だけの会社は、把握していないか書きたくないかのどちらかです |
ただし例外もあります。
平均勤続年数は、会社の設立年に左右されるんです。
創業して数年の会社なら短くて当たり前なので、そこは差し引いて読みましょう。
求人票に出ていない数字は、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースで公表されていることがあります。
応募する前に、社名で一度検索してみるといいですよ。
育児短時間勤務も在宅勤務も、規程に書いてあるだけなら費用はかかりません。
問題は、自分の配属先で前例があるかどうかです。
制度が整った大きな会社に入ったのに、配属先では誰も使っておらず申請しづらかった、という状況は現実に起こります。
確かめるべきは会社全体の制度ではなく、配属予定の部署での運用実績です。
面接で聞くべきことと、その聞き方
面接は評価される場ですが、こちらが会社を確かめる場でもあります。
聞き方さえ工夫すれば、印象を悪くせずに実態を引き出せるはずです。
「ありますか」ではなく「直近で使った方はいますか」
制度の有無を聞いても、たいてい「あります」で終わってしまいます。
知りたいのは有無より実際に使われているかどうかなので、聞き方のほうを変えてみてください。
「配属予定の部署で、直近1年ほどで時短勤務を利用された方はいらっしゃいますか」と聞けば、答えはぐっと具体的になります。
ここで言葉に詰まったり、会社全体の話にすり替わったりするなら、その部署には前例がないと考えたほうが現実的でしょう。
「働きやすいですか」ではなく「1日の流れを教えてください」
ふわっとした質問には、ふわっとした答えしか返ってきません。
「配属予定の部署の方の、繁忙期の1日の流れを教えてください」と聞くと、始業と終業の実際の時刻が見えてきます。
コツは繁忙期です。
あえて忙しい時期を指定して聞いてみてください。
落ち着いている時期の話だけでは、いちばん知りたい場面が見えないままになってしまいます。
現場の社員と話す機会を求めてよい
採用担当者は採用のプロですが、配属先の毎日まで知っているとは限りません。
「可能であれば、配属予定の部署の方と少しお話しさせていただけませんか」とお願いするのは、失礼にはあたりません。
応じてもらえるかどうか自体も、一つの判断材料になります。
断られた場合は、理由を聞いておくと状況が読めてきます。
口コミサイトの使いどころ
口コミは偏ります。
辞めた人が書く場になりやすいからです。
どうしても不満に寄った内容が多くなりますし、同じ会社でも部署によって環境がまったく違う、という問題もあります。
なので、星の数を眺めるより、書かれている「具体的な出来事」だけを拾ってみてください。
「上司が高圧的」は書いた人の感想ですが、「産休から復帰した人が3年で全員辞めた」は出来事の記述です。
後者だけを集めて、面接で確かめる材料にする、という使い方なら意味があると思います。
人によって違う「働きやすさ」の中身
ここは大前提です。
残業がないことを一番にする人もいれば、多少忙しくても任される範囲が広いほうがいい、という人もいます。
子どもがいるかどうかや、その時期によっても、優先順位は変わってくるでしょう。
つまり、ほかの人が「働きやすい」と言った会社が、自分にとってもそうだとは限りません。
自分の条件に順位をつけておかないと、どれだけ情報を集めても決められないんです。
順位をつけるときは、譲れない条件を2つまでに絞ってみてください。
3つ以上になると、条件を満たす会社がほとんど残らず、結局どこで妥協するかもあいまいになりがちで、気づけば「なんとなく良さそう」という印象だけで選んでしまうことにもなりかねません。
2つに絞れないうちは、まだ自分の希望が言葉になりきっていない段階なのかもしれません。
求人票に出ていたら、いったん止まったほうがいいサイン
反対に、書かれていること自体が「ちょっと待って」のサインになっている場合もあります。
次の3つに当てはまる求人は、応募しないほうがいいという意味ではなく、面接で必ず確かめておきたい求人です。
- 職務内容が薄く、意欲や人柄の話ばかり書かれている/何をする仕事なのかが決まっていないか、書くと応募が減る内容である可能性があります
- 給与の幅が極端に広い/「月給25万円〜60万円」のような表記は、上限がごく一部の人にしか適用されないことがあります。中央値を面接で聞いておきましょう
- 同じ求人が長期間ずっと掲載されている/採用に至っていないか、入っても続かない可能性があります。募集開始の時期を聞くと分かります
どれも、それ自体が悪いわけではありません。
成長の途中で仕事の中身がまだ固まっていない会社も、実力次第で給与の幅が広い会社も、実際にあります。
ただ、確かめないまま入ると、そこがそのまま入社後のギャップになります。
求人票は「疑うため」ではなく「何を聞くかを決めるため」に読む、と考えると、読み方が少し変わってくるはずです。
入社後に効いてくるのは、制度より評価のされ方
働きやすさの話は制度に集まりがちですが、長い目で見ると、毎日の働き方や将来の給料にじわじわと効いてくるのは、評価の仕組みのほうではないでしょうか。
とくに、時短勤務や在宅勤務を使ったときに評価がどう扱われるか、です。
制度としては使えるのに、使うと評価が伸びなくなるなら、制度はあるのに誰も使わない、という状態が生まれてしまいます。
ここは求人票には書かれない部分なので、面接で聞くしかありません。
「時短勤務の方の評価は、フルタイムの方と同じ基準で行われますか」と聞けば、少なくとも会社としての考え方は分かります。
答えがあいまいなら、制度が使われている実績とあわせて判断材料にするといいでしょう。
昇給や昇格の仕組みも同じです。
年に何回、どんな基準で見直されるのかを聞いておけば、数年先のイメージがつかみやすくなります。
ここを聞かないまま入ると、あとから「思っていたのと違う」と感じる原因になりがちです。
内定後だからこそ確認できること
選考中は聞きにくいことも、内定が出たあとなら聞けます。
内定後は会社側も辞退されたくないので、丁寧に答えてもらえることが多いはずです。
労働条件通知書は必ず受け取って、次の5点を確かめておきましょう。
- 就業場所と業務内容が、面接で聞いていた内容と一致しているか
- 所定労働時間と、時間外労働の有無
- 固定残業代が含まれている場合は、その時間数と、超えた分が別途支払われる旨が書かれているか
- 賃金の締め日と支払日
- 試用期間の有無と、その間の条件
このあたりは、口頭での説明と食い違うことがある部分です。
食い違いを見つけたら、その場で伝えて構いません。
入社したあとで交渉するより、入る前に確かめておくほうがはるかに簡単ですよ。
自分の希望に順位をつける段階から相談したいなら、こちらの記事で紹介しているサービスも参考になります。
見るべき単位は会社ではなく部署
最後に、前提をひとつ足しておきます。
働きやすさを決めるのは、会社の制度より、配属先の部署のほうです。
同じ会社でも、部署が違えば残業時間も雰囲気も上司も変わりますし、制度が整った会社に入っても、配属先に前例がなければ使いにくい、という話は先ほど書いたとおりです。
だからこそ、面接で使う主語は「御社では」より「配属予定の部署では」がおすすめです。
主語を変えるだけで、返ってくる情報の具体性がまるで違ってきます。
選考の段階で、配属先が決まっていないこともあります。
その場合は、「配属先はいつごろ決まりますか」「候補になる部署はいくつありますか」と聞いてみてください。
決まっていないこと自体は問題ではありませんが、決まる時期を知らないまま入社を決めると、あとから確かめる機会がなくなってしまいます。
よくある質問
■ こういう質問をすると、印象が悪くなりませんか
聞き方が具体的なほど、むしろ「準備してきた人」だと受け取られるはずです。
待遇のことだけを並べて聞くと印象は変わるかもしれませんが、仕事の実態や部署の運用を尋ねるのは自然な質問でしょう。
もしそれを嫌がる会社なら、入ったあとも同じような対応をされる可能性があります。
■ 配属先はまだ決まっていない、と言われました
よくあることです。
候補になる部署の数と、決まる時期を聞いておきましょう。
そのうえで、候補の中でいちばん忙しい部署の働き方を聞いておくと、いちばん厳しい場合の見当がつきます。
■ 女性の管理職比率は見たほうがいいですか
参考にはなりますが、それだけで判断するには粗い数字です。
業種によって女性社員の数そのものがまるで違いますし、比率が高くても配属先に前例がなければあまり意味がありません。
数字を見たうえで、配属予定の部署ではどうかを面接で確かめる、という順番がいいと思います。
■ 入ってみたら思っていたのと違った場合は
まずは、何が違ったのかを具体的に書き出してみてください。
部署の運用の問題なら異動で解決することもありますし、会社の方針そのものなら話は別です。
そこを分けないまま次を探すと、同じ理由でまた迷うことになりかねません。
まとめ
「女性活躍中」という言葉だけでは、判断材料になりません。
求人票では、平均勤続年数、募集背景、残業時間の書き方といった、確かめられる情報を拾います。
面接では、制度の有無より、配属予定の部署で実際に使われているかを聞きましょう。
「ありますか」を「直近で使った方はいますか」に変えるだけで、返ってくる答えの中身はかなり変わるはずです。
そして、働きやすさの基準は人によって違います。
譲れない条件を2つに絞ってから探し始めると、決めるのがずいぶん楽になりますよ。


