腸活の基本|腸内環境を整える食生活のポイント
腸活の基本|腸内環境を整える食生活のポイント
何から手をつけるか、どのくらいで判断するか、そしてどこまでを期待していいのかを順に整理しました。
腸活で最初に思い浮かぶのは、たいていヨーグルトや発酵食品だと思います。
ただ、食生活のなかで足りなくなりやすいのは、菌そのものより菌の餌のほうなんです。
ですから最初の一手として置きたいのは、食物繊維を増やすことのほうでしょう。
菌と餌という2つの系統に分けて考えると、自分に足りていないほうが見えてきます。
情報の多い分野なので、まず全部やろうとしないほうが続きます。
ただし、その前に確かめておいてほしい変化があります。
食生活の見直しより先に、相談したほうがいい変化
次のような場合は、食事の工夫で様子を見ずに消化器内科で相談してください。
- 便に血が混じる、黒っぽい便が続く
- 強い腹痛や発熱をともなう
- 体重が意図せず減っている
- 便通の様子が数週間にわたって明らかに変わった
- 下痢と便秘を繰り返す状態が長く続いている
お通じの変化は日常的なものがほとんどですが、そうでない場合もあります。
とくに血が混じるときや、これまでと違う状態が続くときは、自己判断で粘らないほうが安全でしょう。
ここから先は、上に当てはまらない場合の食生活の話として読んでいただければと思います。
「腸活」という言葉が指しているもの
腸のなかには、たくさんの細菌が住みついています。
その顔ぶれや割合は人によって違っていて、食べているものや年齢、生活の様子によっても変わってきます。
腸活と呼ばれているのは、この住人たちが働きやすい状態を、日々の食事から用意していく取り組みです。
よく善玉菌・悪玉菌という分け方が使われますが、あれは分かりやすくするための整理でしょう。
実際には、どれかをゼロにすれば良くなるという単純な話ではありません。
目指しているのは全滅させることではなく、偏りを減らして多様さを保つことなんです。
そう考えると、毎日同じものだけを食べ続ける方法があまり噛み合わないことも見えてきます。
菌そのものと、菌の餌という2系統
この記事でいちばん伝えたいのが、この分け方です。
腸活として紹介される食品は、この2つのどちらかに収まっているんです。
そして多くの方が手を付けているのは、上の系統だけなんです。
| 系統 | 入れているもの | 代表的な食品 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 菌そのもの | 外から菌を届ける | ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、ぬか漬け | 届いた菌はそのまま住み着くわけではないので、続けて入れる前提になります |
| 菌の餌 | もともといる菌に働いてもらう | 食物繊維、オリゴ糖を含む食品 | 住人が増えたり働いたりする材料。不足しやすいのはこちらです |
外から入れた菌の多くは、腸のなかに定住はしないと考えられています。
だからこそ、発酵食品は毎日少しずつ続ける形が向いているわけです。
一方で餌のほうは、すでに住んでいる菌に直接働きかける材料なんです。
畑にたとえるなら、菌を入れるのは苗を植えること、餌を入れるのは土を耕すことに近いでしょう。
苗だけ植えて土を放っておけば、思ったようには育ちません。

ヨーグルトだけでは進みにくい理由
ヨーグルトを毎朝食べているのに変化がない、という話はよく聞きます。
理由のひとつは、いま書いた「餌がない」状態のまま菌だけ足していることでしょう。
もうひとつは、合う合わないが人によってはっきり分かれる点です。
商品ごとに入っている菌は違いますし、その菌と自分の腸の相性も一律ではありません。
ですから、変えたら2週間ほどは同じものを続けて、様子を見比べてみてください。
数日で判断して次々と乗り換えると、何が効いたのか分からないまま終わってしまいます。
このとき、ヨーグルトに果物やきなこを足しておくと、餌のほうも同時に入れられます。
食物繊維は2種類ある
餌の中心になるのが食物繊維です。
ここには性質の違う2つがあって、片方だけを増やすとかえって不調を感じることがあります。
| 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | |
|---|---|---|
| 性質 | 水に溶けてとろみのある状態になる | 水を含んでふくらむ |
| 主な働き | 菌の餌になりやすく、便をやわらかく保つ | かさを増やして腸を動かすきっかけを作る |
| 多い食品 | 海藻、もち麦、オクラ、里芋、果物 | 豆類、きのこ、根菜、穀類の外側 |
| 偏ると | かさが足りずリズムが作りにくい | 状態によっては張りが強く出ることがある |
健康のために野菜を増やしたのに苦しくなった、という経験はないでしょうか。
そういうときは不溶性のほうに寄っていることが多いので、水溶性を足すと落ち着く場合があります。
そして意外に見落とされるのが水分です。
ふくらむタイプの繊維は水を必要とするので、水分が足りないと逆に動きにくくなってしまいます。
● 白米にもち麦を混ぜる ── 炊き方を変えるだけなので、いちばん続きやすい手です。
● 味噌汁に海藻を入れる ── 乾燥わかめなら、鍋に放り込むだけで足せます。
● 納豆を1パック ── 菌と餌の両方を持っている、めずらしい食品です。
● 間食をナッツや果物に替える ── 増やすより置き換えるほうが無理がありません。
● 水を意識して飲む ── 繊維を増やした日は、いつもより多めを心がけてください。
一度に全部そろえる必要はありません。
このなかから1つか2つ選んで、しばらく続けてみるところからで十分でしょう。
食物繊維が腸内の菌にどう効くのかは、厚生労働省の食物繊維の必要性と健康が押さえやすいと思います。
どのくらいで判断するか
腸活で挫折しやすいのは、判断が早すぎるときです。
食べているものが変わってから、腸のなかの様子が動くまでには時間がかかります。
目安としては、2週間から4週間ほど見てから振り返るくらいが現実的でしょう。
そしてもうひとつ大事なのが、いちどに1つだけ変えるという進め方です。
ヨーグルトとサプリともち麦と運動を同時に始めると、効いたものが分からなくなってしまいます。
振り返るときは、お通じの回数と形、そしてお腹の張り具合をメモしておくと比べやすくなります。
体重や肌の調子をここに混ぜると、判断がぼやけてしまうので分けておきましょう。
食事以外で効いてくること
食べるものだけを整えても、動きのほうが止まっていれば結果は出にくいはずです。
生活側で効くのは、だいたい次の4つでしょう。
- 朝に食べる ── 胃に何か入ることが、腸が動くきっかけになります
- トイレを我慢しない ── 我慢の習慣がつくと、合図そのものが弱くなっていきます
- 体を動かす ── 激しい運動でなくても、歩く時間があるだけで違ってきます
- 睡眠と生活のリズム ── 昼夜が乱れている時期は、お通じも乱れやすくなります
朝食を抜いている方は、まずここから試してみる価値があると思います。
量は多くなくてよいので、胃に何かを入れて一日を始めるという形にしてみてください。
睡眠の側から手をつけるなら睡眠の質を上げる生活習慣の基本 が参考になります。
期待していい範囲、置いておく話
最後に線を引いておきます。
腸活は食生活の工夫なので、できることには範囲があります。
| この記事で扱っていること | 扱っていないこと |
|---|---|
| お通じのリズムやお腹の張り方の変化 | 特定の病気の治療や改善 |
| 食事の内容が結果的に整うこと | 体重を落とすための方法 |
| 続けやすい形の作り方 | 特定の商品や菌の効果 |
| 相談したほうがよい変化の目安 | サプリメントによる代替 |
右の列は、食生活の工夫で語れる範囲を超えています。
とくに体重や病気に関わる話は、期待の置き場所として適していません。
そのぶん、左の列は毎日の食事で確かめられることなので、こちらに集中したほうが手応えを感じやすいでしょう。
そして不調が続くようであれば、腸活を強めるより受診を選んでください。
食材の選び方に迷ったら
ここまで食物繊維や発酵食品の話をしてきましたが、食事全体の組み立てはまた別の話です。
たんぱく質や脂質の取り方まで含めて見直したい方は、そちらの記事に譲ります。
栄養の考え方は美容と食事|栄養バランスの基礎知識 にまとめました。
よくある質問
どのくらい続ければ様子が分かりますか
2週間から4週間を目安にしてみてください。
数日では判断が難しいですし、変えたものが多いほど原因も見えにくくなってしまいます。
焦って次を足すより、ひとつを続けて振り返るほうが結果的に早いと思います。
ヨーグルトを食べれば腸活になりますか
菌を入れるという意味では、たしかにひとつの手です。
ただ本文で書いたとおり、餌になる食物繊維が不足したままだと進みにくくなります。
果物やきなこを足す、もち麦を主食に混ぜるといった形で、両方そろえてみてください。
サプリメントで代用できますか
手軽さという点では選択肢になるでしょう。
ただ、食品から取る場合と違って、ほかの栄養素が一緒に入ってくることはありません。
食事を置き換えるものではなく、足りない日を補うものと考えておくほうが無理がないはずです。
食物繊維はどんな食品に多いですか
水溶性なら海藻やもち麦、オクラ、里芋、果物あたりが取り入れやすいところです。
不溶性は豆類、きのこ、根菜、穀類の外側に多く含まれています。
どちらか一方に寄らないよう、主食と汁物の両方から足していくと組み立てやすくなります。
発酵食品は毎日食べたほうがいいですか
外から入れた菌は住み着き続けるわけではないので、続けて入れる形が向いています。
とはいえ量を増やす必要はなく、味噌汁や納豆のように習慣にできるもので構いません。
塩分の多い食品もあるので、そこだけは全体の量を見ておきましょう。
お通じの不調が続くときはどうしますか
期間が長い場合や、これまでと明らかに様子が違う場合は受診を選んでください。
市販の下剤を常用している状態も、いちど相談したほうがいい場面です。
食生活の工夫は、そのうえで並行して続けていけば十分でしょう。
まとめ
腸活は、菌を足す取り組みだと思われがちです。
ただ、実際に足りていないのは餌のほうであることが多く、そこが最初の一手だと思います。
そして判断には2週間から4週間かかるので、変えるのはひとつずつにしてください。
持ち帰るなら、この3つで足ります。
主食にもち麦を混ぜること、汁物に海藻を足すこと、そして水を意識して飲むこと。
商品を探すのは、この3つを2週間続けたあとでも遅くはありません。


