美容と食事|栄養バランスの基礎知識

美容と食事|栄養バランスの基礎知識

栄養素の名前を覚える必要はありません。昨日の食事を思い出して数えるところから、外食が続く週の割り切り方までを扱います。

美容のための食事でまず見てほしいのは、主食・主菜・副菜という3つの枠が埋まっているかどうかです。
昨日一日を思い出して、3食で9枠あるうちいくつ埋まっていたかを数えると、それだけで足りないものの見当がつきます。
「肌にいい食べ物」を1つ足すより、何年も空いたままの枠を1つ埋めるほうが、差としては分かりやすく出るんです。
ですから何を足すかを考える前に、どこが空いているかを見るところから始めましょう。

食事に期待できる範囲

食事を変えれば肌が変わる、という言い方をこの記事はしません。
食べたものが体を作っているのは事実ですが、そこから見た目の変化までのあいだには、睡眠や季節、年齢、体調、日々のスキンケアといった要素がいくつも挟まっています。
食事はそのうちの1つで、しかも効き方が遅い部類なんです。
それでも書く価値があるのは、土台だからでしょう。
土台が欠けている状態では、上に何を積んでも安定しません。
ただし、土台を整えたからといって、上に積んだものが不要になるわけでもないんですよね。
食事は、他をやらなくていい理由にはならない。
その前提で読んでいただけると、期待のかけ方を間違えずに済むと思います。
なお、通院中の方や食事の制限を受けている方は、一般向けの記事より医師や管理栄養士の指示が優先です。

3つの枠で数える

栄養素の名前で考えると覚えることが多くなって、まず続きません。
ですから枠で考えてください。
枠は次の3つだけです。

該当するもの空きやすい人
主食ごはん、パン、麺糖質を減らしている人
主菜肉、魚、卵、大豆製品朝食を抜く人、麺類で済ませる人
副菜野菜、きのこ、海藻外食・中食が続く人

昨日の食事を思い出して、3つの枠がいくつ埋まっていたかを数えてみてください。
一日3食で9枠あるうち、いくつ埋まったかという数え方です。
これだけで、自分に足りていないものの見当がついてしまいます。
そして多くの場合、空いているのは副菜の枠で、次に空きやすいのが朝の主菜でしょう。
なお、1食に主菜が2つあっても、埋まるのは主菜の枠1つと数えてください。
同じ枠を重ねたところで、空いている枠のほうは空いたままですからね。
枠ごとに何をどれだけという話は、厚生労働省の栄養・食生活に一通りそろっています。

美容と食事

副菜の枠を埋める方法

副菜が空きやすいのは、単純に手間がかかるからです。
洗う、切る、加熱する、洗い物が増えるという4つのどこかで止まってしまいますよね。
だから対策のほうも、手間を減らす方向で考えます。

  • 冷凍野菜を常備する ── 洗う・切るの工程が消えます。
  • カット野菜を否定しない ── 手間を理由に食べないより、買って食べるほうが枠は埋まります。
  • 汁物に入れる ── 一品増やすのではなく、いま作っているものに足すだけにします。
  • コンビニでは、パンではなく総菜を1つ足す ── 同じ金額なら、埋まる枠が増えるほうを選びます。

完璧な自炊を目指すと、忙しい週に全部が崩れます。
崩れない設計にしておくほうが、結局は長く続くんです。

足さなくていいもの

■ 先に手を出す必要はありません
スーパーフードを買い足す ── 枠が空いたままなら、上に足しても埋まりません。値段のわりに変化が見えにくい選択です。
糖質を完全に抜く ── 極端な制限は続かず、反動も出ます。主食の枠を空けると、他の枠まで崩れやすくなります。
サプリメントで全部を埋めようとする ── 補うためのものであって、食事の代わりとして設計されたものではありません。
「◯◯が美容にいい」の情報を集め続ける ── 集めている時間で、副菜を一品足せます。

朝の主菜を埋める手

副菜の次に空きやすいのが、朝の主菜です。
パンとコーヒーだけ、おにぎりだけ、あるいは何も食べないという方は多いと思います。
この枠が空いていると昼まで持たずに間食が入り、そこで一日の設計が崩れてしまうんです。
埋め方は、調理の手間が少ないものから選んでください。

  • ゆで卵をまとめて作っておく ── 数日分を一度に用意でき、朝の作業がゼロになります。
  • 納豆や豆腐を常備する ── 開けるだけで枠が埋まります。
  • 飲むタイプの乳製品を置いておく ── 食欲がない朝でも入れやすい選択肢です。
  • 前夜の主菜を少し残す ── 新しく作る必要がありません。

ここで大事なのは、朝に何を食べるべきかを厳密に決めないことだと思います。
決めれば決めるほど、そのとおりにできない日が失敗になってしまいますからね。
枠が埋まればよい、という緩さで運用してください。
そしてどうしても朝が難しい場合は、昼で主菜を厚くするという調整でも構いません。
一日の中で帳尻が合っていれば、時間帯にこだわる必要はないんです。

体重の話と混ぜない理由

食事の記事を読んでいると、いつのまにか減量の話に変わっていることがありますよね。
この2つは目的が違っていて、減量は摂取量を減らす方向に働きますが、枠を埋めるのは不足を減らす方向の作業です。
同時に進めようとすると、たいていは減量のほうが優先されて、枠は空いたままになります。
ですから順番を決めてしまってください。
枠を埋める設計を1か月続けて、それが定着してから量の調整を検討する、という順です。
逆にすると、極端な制限で枠が崩れて続かなくなります。
それに、体重が減れば見た目の悩みが解決するとはかぎりません。
関係する場面もありますが直結する話ではないので、混ぜたまま進めないほうが判断しやすくなるでしょう。
なお、減量そのものについて医師の指導を受けている方は、そちらが優先です。

情報を評価する基準を1つ

食と美容の情報は、次から次に出てきます。
すべてを検証するのは無理なので、判断の基準を1つだけ持っておくと楽になりますよ。
その情報が枠の話をしているのか、それとも上に足す話をしているのか、という基準です。
枠の話をしているなら検討する価値があります。
上に足す話なら、いまの自分に空いた枠がない場合にかぎって検討すればよく、たいていは後回しで構いません。
それから、特定の食品について「これを食べれば」という形で語られているものには、慎重になってください。
健康の保持増進の効果について、著しく事実に相違する表示や人を誤認させる表示をすることは、健康増進法で禁じられています。
そしてこれは、広告主にかぎった話ではないんです。
誰が書いていても、断定的な効果の表現が出てきたら、そこで一度立ち止まってください。

外食が続くときの割り切り方

状況選び方考え方
定食が選べる定食を選ぶ3枠が一度に埋まる、いちばん早い手
麺類しかない具の多いものを選ぶ主菜と副菜の枠を少しでも拾う
コンビニおにぎり+総菜+汁物パン2つより枠が埋まる
会食が続く週翌日の朝で調整するその日ではなく、数日単位で見る

一食ごとに完璧を目指してしまうと、外食の多い週は全部が失敗になります。
ですから数日単位で見てください。
昨日埋まらなかった枠を、今日の朝に埋める。
この程度の粗さのほうが、結果として長く続きます。

水分と間食の扱い

水をどれだけ飲むべきかという議論には、はっきりした一つの答えがありません。
活動量も季節も、食事から取れる量も人によって違うからです。
目安を数字で決めるより、喉が渇く前に手が届く場所に置いておくという環境側の工夫のほうが確実でしょう。
間食についても、悪と決めつける必要はないと思います。
食事の枠が埋まっていない状態で間食だけを我慢すると、次の食事で反動が出てしまいますからね。
順番としては枠を埋めるのが先で、間食の見直しは後です。
そのうえで見直すなら、量ではなく時間帯から手をつけてください。
寝る直前を避けるだけでも、翌朝の食欲が変わることがあります。

よくある質問

■ サプリメントで補ってもよいですか

補助として使う分には選択肢になります。
ただし食事の枠が空いたままサプリメントだけを足すと、何が足りていないのかが見えなくなってしまいます。
まず枠を数えて、どうしても埋まらないところが残ったときに検討してください。
なお、複数の製品を同時に使う場合は、成分が重複していないかも確認しておくといいでしょう。

■ 間食は美容によくないのですか

そう単純な話ではありません。
食事の枠が埋まっていない状態では、間食を我慢しても次の食事で戻ってきます。
順番としては枠を埋めるのが先ですし、見直すときも量より時間帯のほうが手をつけやすい部分です。

■ 自炊する時間がない場合はどうすればいいですか

自炊は手段であって、目的ではありません。
枠が埋まればいいので、総菜でも冷凍でも構わないんです。
時間がない方ほど、完璧な自炊を目標にすると全部やめてしまいます。
買うものの内訳だけを決めておいて、主食が1つ、主菜が1つ、副菜が1つという組み合わせで選ぶと決めておけば、店で迷う時間も減りますよ。

■ 「肌にいい」と紹介される食品は、食べたほうがいいですか

食べて悪いということはありませんが、それを理由に食事全体の設計を変える必要はありません。
空いている枠を埋める食品であれば、取り入れる価値があります。
すでに埋まっている枠に重ねるだけなら、優先度は下がるでしょう。

まとめ

美容のための食事は、足す作業ではなく、空いた枠を埋める作業です。
主食・主菜・副菜の3つで、昨日の9枠のうちいくつ埋まっていたかを数えるところから始めてください。
多くの方は、副菜と朝の主菜が空いています。
そして埋め方は、完璧な自炊ではなく崩れない方法を選んで、一食ごとではなく数日単位で帳尻を合わせるほうが長く続きます。
特定の食品に大きな期待をかけるのは、やめておいたほうがいいと思います。
期待をかけるほど、うまくいかなかったときに食事全体の設計まで投げ出してしまいますからね。
続いている設計こそが、いちばん効いている設計なんです。

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食事は土台ですが、土台だけで完結する話ではありません。