コーヒー豆の種類と選び方|浅煎り・深煎りの違いをやさしく解説

コーヒー豆の種類と選び方|浅煎り・深煎りの違いをやさしく解説

棚の前で決められないときのために、どの情報から見ていけばいいかを順番で整理しました。

コーヒー豆の袋には、産地も焙煎度も精製方法も並んでいて、どこから読めばいいのか迷ってしまいます。
結論から書くと、最初に見るのは産地ではなく焙煎度のほうです。
焙煎度は味の方向をいちばん大きく決めていて、しかも浅いか深いかという1本の軸で表せます。
産地による違いが分かるようになるのは、自分がどのあたりの焙煎度を好むかが見えてからでしょう。
ですからこの記事も、焙煎度から順に見ていく形で並べました。

袋を見る順番

情報が多いときは、見る順番を決めておくと迷いが減ります。
次の順で追っていけば、だいたい2分で1袋を判断できるようになるはずです。

  1. 焙煎度 ── 浅いか深いか。味の方向がここで決まります
  2. どう飲むか ── ブラックかミルクを入れるかで、合う焙煎度が変わります
  3. 産地 ── 好みの焙煎度が決まってから、その中で選び分けます
  4. 精製方法 ── 同じ産地でも味が変わる、隠れた変数です
  5. 焙煎日と内容量 ── ここが合っていないと、ほかがどれだけ良くても台無しになります

産地から入ってしまうと、なかなか決まりません。
国の数だけ選択肢があるうえに、同じ国のなかでも味の幅がかなり広いからです。
一方で焙煎度なら、浅いか深いかを試すだけで自分の好みの位置がつかめてきます。
絞ってから細かく見ていくほうが、結果的に早く自分の一杯にたどり着けると思います。

焙煎度で決まること

焙煎とは、生の豆に熱を加えて味と香りを引き出す工程を指しています。
加熱が浅いほど豆そのものの個性が残り、深いほど焙煎によって生まれる香ばしさが前に出てきます。
つまり浅煎りは素材寄り、深煎りは調理寄りだと考えると分かりやすいでしょう。
焙煎度は全日本コーヒー協会の区分では8段階に分かれていて、店ごとの呼び方はそのどこかに当てはまります。

焙煎度味の傾向香りの傾向向いている飲み方
浅煎り酸味がはっきりし、軽やか果実や花のような香りブラックで香りを楽しむ
中煎り酸味と苦みのつり合いが取れる穏やかで飲みやすい毎日の1杯、迷ったときの基準
中深煎り苦みが前に出て、こくが増すナッツやカラメルのような香り食後、ミルクを少し入れても崩れない
深煎りしっかりした苦みと重さ焦がしたような香ばしさミルク、アイス、食後の一杯

どこから試すか迷うなら、中煎りを基準に置いてみてください。
そこから浅い方向と深い方向へ1段ずつ動かすと、自分がどちら寄りかがはっきりします。
酸味という言葉に身構える方もいますが、浅煎りの酸味は果物に近いもので、劣化した酸っぱさとは別物なんです。
古い豆の酸っぱさと混同されがちなので、そこだけは分けて考えてください。

コーヒー豆の種類と選び方|浅煎り・深煎りの違いをやさしく解説

どう飲むかで、合う焙煎度が変わる

同じ豆でも、飲み方によって印象はかなり動きます。
ですから焙煎度を選ぶときは、自分がふだんどう飲んでいるかを先に思い出してください。

  • ブラックでゆっくり飲む ── 浅煎りから中煎り。香りの違いを感じ取りやすくなります
  • ミルクを入れる ── 中深煎りから深煎り。浅い豆はミルクに負けてしまいます
  • 砂糖も入れる ── 深煎り。苦みが残るほうが甘さと釣り合います
  • アイスで飲む ── 中深煎りから深煎り。冷えると酸味が立ちやすいためです
  • 食後に少量 ── 中深煎り以上。軽い豆だと物足りなく感じます

牛乳を入れる前提なのに浅煎りを買ってしまうと、香りがほとんど残りません。
このずれは、豆そのものの善し悪しではなく組み合わせの問題です。
おいしくないと感じた豆でも、飲み方を変えると印象が変わることはよくあります。

産地から読み取れる傾向

焙煎度の好みが見えてきたら、次は産地です。
あくまで大まかな傾向ですが、地域ごとに味の方向はある程度そろっています。

地域代表的な産地味の傾向
中南米ブラジル、コロンビア、グアテマラつり合いが取れていて飲みやすく、基準にしやすい
アフリカエチオピア、ケニア華やかな香りと明るい酸味が出やすい
アジア、太平洋インドネシア、パプアニューギニアこくが強く、どっしりした印象になりやすい
カリブ、中米の高地ジャマイカ、コスタリカすっきりして上品な傾向

ただ、この分類はあくまで入口だと考えてください。
同じ国のなかでも農園や標高で味は変わりますし、焙煎度が違えばもっと大きく変わります。
産地の名前を覚えるより、気に入った1袋の焙煎度と産地を記録しておくほうが実用的でしょう。

見落とされやすい精製方法

袋の隅に小さく書かれていることが多いのが、精製方法です。
収穫した実から豆を取り出すやり方のことで、ここでも味は動きます。

精製方法やり方味の傾向
ウォッシュト果肉を取り除いてから水で洗うすっきりして、輪郭がはっきりする
ナチュラル実がついたまま乾燥させる甘みと果実のような風味が出やすい
ハニー、パルプドナチュラル果肉を一部残して乾燥させる上の2つの中間で、まろやかになりやすい

同じ産地でも、ここが違うと別の豆のように感じることがあります。
「産地は好きなのに、この袋は思っていたのと違う」というときは、精製方法を見比べてみてください。
そこに答えが書かれていることが少なくありません。

ブレンドとシングルオリジン

ブレンドは複数の豆を混ぜたもので、シングルオリジンは産地を絞ったものを指します。
どちらが上ということはなく、目的が違うだけなんです。

ブレンドは味を設計してつくられているので、毎日飲む1杯として安定しています。
季節や年によって仕入れが変わっても、同じ味に寄せてあるという利点もあります。
一方のシングルオリジンは、その産地の個性がそのまま出るので、違いを知りたい時期には向いているでしょう。
自分の好みを探している段階なら、シングルオリジンを何種類か試すほうが手がかりを得やすいと思います。

豆で買うか、粉で買うか

挽いた瞬間から香りは飛び始めるので、可能なら豆のまま買うほうが有利です。
ミルがない場合でも、店で挽いてもらったぶんを2週間ほどで飲み切れば、大きな差にはなりません。

粉で買うときは、使っている器具を店に伝えてください。
ハンドドリップ用と伝えるだけで、合った粗さにしてもらえます。
そして買う量は、少なめにしておいたほうが安全です。
まとめ買いで単価を下げても、後半の一杯が落ちてしまえば元が取れません。

▶ 淹れ方のほうを整えたい方へ
温度と粉の量と時間の合わせ方はコーヒーの淹れ方の基本|ハンドドリップで美味しく淹れるコツ にまとめました。

パッケージで確かめる5項目

ここまでの話を、袋を手に取ったときの確認項目に落としておきます。

▶ 買う前に見るところ
焙煎日 ── 書かれていない袋は、いつのものか判断できません。
焙煎度 ── 浅煎りから深煎りのどこか。表記がなければ店員に聞きます。
産地 ── 好みが決まってから効いてくる情報です。
精製方法 ── 同じ産地で印象が違う理由が、ここにあります。
内容量 ── 2週間で飲み切れる量かどうかで判断します。
この5つのうち、焙煎日と内容量の2つは味の土台に関わるところです。

賞味期限は書かれていても、焙煎日が書かれていない袋はあります。
その場合、いつ焼かれたものかが分からないまま買うことになってしまいます。
焙煎日を明記している店を選ぶだけで、豆選びの失敗はかなり減るでしょう。

少量ずつ試して、記録を残す

好みを見つけるいちばん確実な方法は、100gを2種類ずつ買って飲み比べることです。
焙煎度だけを変えた2袋にすると、違いがどこから来ているのかがはっきりします。

気に入った袋が出てきたら、焙煎度と産地と精製方法を控えておいてください。
3袋も記録がたまれば、自分の好みの位置がだいたい見えてきます。
そこまで来ると、はじめての店でも袋を見ただけで見当がつくようになるはずです。

▶ 選んでもらう形から始めたい方へ
焙煎士が選んだ豆のお試しセットはこちらの記事 で紹介しています。

よくある質問

初心者はどの焙煎度から試すのがいいですか

中煎りを基準にして、そこから浅い方向と深い方向へ動かすやり方をおすすめします。
いきなり両端から試すと、どちらも極端に感じてしまうことがあるためです。
ミルクを入れて飲む習慣があるなら、最初から中深煎りを選んでも構いません。

ブレンドとシングルオリジンはどう違いますか

ブレンドは複数の豆を混ぜて味を設計したもの、シングルオリジンは産地を絞ったものです。
安定して同じ味を飲みたいならブレンド、産地ごとの違いを知りたいならシングルオリジンでしょう。
好みを探している時期には、後者のほうが手がかりを得やすいと思います。

袋のどこを見れば味が分かりますか

まず焙煎度、次に精製方法を見てください。
この2つで味の方向はかなり絞れますし、産地はそのあとで効いてくる情報です。
焙煎日が書かれているかどうかも、忘れずに確かめておきましょう。

同じ豆なのに味が変わるのはなぜですか

焙煎からの日数が進むと、香りも味も少しずつ動いていきます。
買った直後といちばん最後では別物に感じることもあり、これは自然な変化です。
淹れ方の条件をそろえているのに変わるなら、そこを疑ってみてください。

スーパーの豆ではだめですか

だめということはありません。
ただ、焙煎日が書かれていない商品が多く、いつのものかを判断しにくいという弱点はあります。
味に手応えを感じられないときは、焙煎日を明記している店で1袋試してみると差が分かりやすいでしょう。

高い豆ほどおいしいのですか

価格は希少性や手間を反映していて、自分の口に合うかどうかとは別の話です。
手頃な中煎りが毎日の1杯にいちばん合う、ということはよくあります。
値段より、焙煎度と鮮度を先に合わせるほうが満足度は上がると思います。

まとめ

豆を選ぶときは、焙煎度から見ていくと迷いません。
そのうえで自分の飲み方に合わせ、産地と精製方法で細かく寄せていく。
この順番なら、袋に並んだ情報に振り回されずに済みます。

そして最後に、焙煎日と内容量だけは必ず確かめてください。
どれだけ良い豆でも、飲み切れない量を買った時点で後半の一杯は落ちてしまうからです。