コーヒーの淹れ方の基本|ハンドドリップで美味しく淹れるコツ

コーヒーの淹れ方の基本|ハンドドリップで美味しく淹れるコツ

味を動かす3つの数字を先に押さえたうえで、手順と、うまくいかないときの原因の探し方をまとめました。

ハンドドリップで自分が動かせるものは、実はそれほど多くありません。
お湯の温度、粉の量、そして抽出にかける時間の3つが、味のほとんどを決めています。
手順を追っても味が安定しないのは、毎回この数字がずれているからなんです。
逆に言えば、この3つを固定してしまえば味は驚くほど安定してきます。

動かせる数字は3つだけ

コーヒーの淹れ方には流儀がたくさんあるので、調べれば調べるほど迷ってしまいます。
ただ、家庭で味が変わる要因を絞っていくと、この3つに行き着くでしょう。
それぞれ、どちらに動かすと味がどう振れるかを覚えておけば十分です。

数字基本の目安増やすと減らすと
お湯の温度90度前後苦みと濃さが出ます酸味が立ち、軽くなります
粉の量1杯あたり10gから12g濃くなります薄く、水っぽくなります
抽出時間2分半から3分えぐみが出やすくなります薄く、物足りなくなります

たとえば苦すぎると感じたなら、温度を少し下げるか、時間を短くします。
薄いと感じたなら、粉を1gか2g増やしてみてください。
このとき大事なのは、一度に1つしか変えないことでしょう。
2つ同時に動かすと、どちらが効いたのか分からなくなってしまいます。

そろえておきたい道具

道具は、最初から高価なものをそろえる必要はありません。
ただ、次の3つがないと数字を管理できないので、そこだけは用意してください。

  • はかり ── 粉の量とお湯の量を同じにするために使います。キッチン用で十分です
  • 細口のポット ── 注ぐ勢いが安定します。ここは味への影響が大きい道具です
  • ドリッパーとペーパー ── 形によって味は変わりますが、まずは手に入るもので構いません

温度計については、あれば便利という程度に考えておいて大丈夫です。
沸かしたお湯を1分ほど置くとおよそ90度前後に落ち着くので、最初はそれで代用できます。
ミルについては、あると大きく変わりますが、優先順位としてはもう少し後で構いません。

買い足していく順番を決めておくと、無駄が出にくくなると思います。
まずはかりと細口のポットをそろえて、味が安定してきたころにミルを検討する。
ドリッパーを買い替えるのはそのあとで、器具の形による違いが分かるようになってからでも遅くありません。

基本の手順

2杯ぶん、粉20gで淹れる場合の流れです。
同じ手順を毎回なぞること自体が、そのまま練習になっていきます。

  1. お湯を沸かして1分ほど置く ── 沸騰したてはお湯が熱すぎます
  2. ペーパーを湯通ししてカップを温める ── 紙のにおいが落ち、温度も下がりにくくなります
  3. 粉を入れて表面を平らにする ── ドリッパーを軽く揺すると整います
  4. 中心から40gほど注いで30秒待つ ── これが蒸らしです。粉全体が湿ればうまくいっています
  5. 3回に分けて注ぐ ── 中心から小さく円を描き、縁には直接かけません
  6. 落ちきる前にドリッパーを外す ── 最後まで落とすと、雑味が混ざります

全体で2分半から3分に収まっていれば、まず失敗しません。
時間が大きく外れているときは、粉の細かさか、注ぐ勢いのどちらかを疑ってください。

コーヒーの淹れ方の基本|ハンドドリップで美味しく淹れるコツ

挽き目の粗さで変わること

粉の細かさも、実は味を大きく動かす要素のひとつです。
細かいほどお湯が触れる面積が増えるので、同じ時間でも成分がよく出てきます。
ですから細かく挽けば濃く重い方向へ、粗く挽けば軽くすっきりした方向へ振れていくわけです。

挽き目見た目の目安味の傾向向いている場面
中細挽きグラニュー糖より少し粗いくらいハンドドリップの標準まずここから始めます
細挽き上白糖に近い細かさ濃く、苦みが出やすい薄いと感じるときに寄せます
粗挽きざらめに近い粒軽く、あっさり苦すぎるときに寄せます

粉で買う場合は、店で「ハンドドリップ用」と伝えれば中細挽きにしてもらえます。
器具によって適した粗さは変わるので、使っているドリッパーの名前まで伝えると確実でしょう。
なお挽き目を変えるときも、ほかの数字は動かさないでください。
粗さと温度を同時に変えてしまうと、また原因が分からなくなってしまいます。

うまくいかないときの原因の探し方

味に不満が出たとき、原因はだいたい決まった場所に潜んでいます。
感じ方から逆にたどれるように、対応を並べておきます。

感じたこと考えられる原因まず試すこと
苦い、重い温度が高い、時間が長い、挽きが細かい温度を5度下げるか、落ちきる前に外します
酸っぱい、薄い温度が低い、粉が少ない、時間が短い粉を2g増やしてみます
水っぽい注ぐ勢いが強く、湯が素通りしている細く、中心だけに注ぎます
えぐみが残る最後まで落としきっている落ちきる前にドリッパーを外します
香りがしない豆が古い保存や淹れ方ではなく、買い方の問題です

いちばん下の行だけは、淹れ方でどうにもなりません。
焙煎から時間がたった豆は、何をしても香りが戻らないんです。
これについては、この記事の終わりのほうであらためて触れます。

蒸らしで粉が膨らまない理由

蒸らしのときに粉が盛り上がるのは、豆に含まれるガスが抜けているからです。
焙煎したてほどよく膨らみ、時間がたつほど反応が鈍くなります。
つまり膨らみ方が示しているのは、淹れ手の腕前ではなく豆の状態のほうなんです。

まったく膨らまないなら、豆が古い可能性が高いでしょう。
反対に、膨らみすぎて崩れるときは、焙煎から日が浅すぎることもあります。
どちらも淹れ方の失敗ではないので、そこで落ち込まないでください。

いちばん効くのは、毎回そろえること

上達したいのであれば、いろいろ試すより先にやっておきたいことがあるんです。
2週間ほど、同じ豆を同じ数字で淹れ続けてみることです。

▶ 固定する5項目
── 同じ銘柄、できれば同じ焙煎日のものを使います。
粉の量 ── はかりで毎回そろえます。目分量では2gから3gずれます。
お湯の量 ── 出来上がりの量を決めておきます。
温度 ── 沸かしてから注ぐまでの待ち時間を一定にします。
時間 ── 蒸らし30秒、全体で3分以内という枠を守ります。
この状態で、変えるのは1回にひとつだけ。そうすると味の変化が誰の仕業か分かります。

毎回違うやり方を試していると、おいしく淹れられた日があっても再現できません。
同じにしてから1つずつ動かすほうが、遠回りに見えて早いんです。
記録を残す必要まではありませんが、変えた点だけは覚えておいてください。

一度に何杯まで淹れるか

同じやり方でも、杯数が増えるほど味はそろえにくくなります。
粉の層が厚くなって、お湯が通る道が均一でなくなるためです。
家庭のドリッパーなら、3杯までにしておくと安定させやすいでしょう。

それ以上を淹れたいときは、2回に分けるほうが結果は良くなります。
多めに淹れて置いておくくらいなら、飲む直前にもう一度淹れたほうが香りが立ちます。
来客のときなど、どうしてもまとめて必要な場面では、粉をやや粗めにして時間を延ばす調整が効きます。

淹れ方より前に効いてくるもの

ここまで書いておいて逆のことを言うようですが、味の土台は豆の状態で決まります。
焙煎から日がたった豆は、どんな淹れ方をしても香りが立ちません。
技術で埋められる差より、鮮度で生まれる差のほうが大きいことは知っておいてください。
豆そのものの成り立ちは全日本コーヒー協会の基礎知識にまとまっています。

買うときは、袋に焙煎日が書かれているかを見てみましょう。
書かれていない場合、いつのものか分からないまま買っていることになります。
2週間ほどで飲み切れる量を、焙煎日の近いものから選ぶ。
これだけで、淹れ方をいくら工夫するより手応えが出ることがあります。

▶ 焙煎したての豆を試してみたい方へ
インスタントから切り替える人向けのお試しセットはこちらの記事 で紹介しています。
▶ 豆の選び方から知りたい方へ
焙煎度や産地の見方はコーヒー豆の種類と選び方|浅煎り・深煎りの違いをやさしく解説 にまとめました。

よくある質問

1杯に必要な豆の量はどのくらいですか

10gから12gが目安として広く使われています。
濃いめが好きなら12g、軽く飲みたいなら10gから始めてみてください。
大事なのは量そのものより、毎回同じ量にすることのほうです。

ミルがなくてもハンドドリップはできますか

手挽きのミルがなくても、ハンドドリップ自体は問題なくできます。
粉で買った場合も、密閉して早めに使い切れば十分おいしく淹れられます。
ただ挽きたての香りは別物なので、続けるつもりならいずれ検討する価値はあるでしょう。

お湯の温度は必ず測らないといけませんか

温度計で測らなくても、味をそろえること自体はできます。
沸かしてから1分置く、という手順を毎回そろえれば、温度もだいたいそろいます。
細かく管理するより、同じ手順を繰り返すほうが再現性は上がります。

淹れたコーヒーが薄くなってしまいます

粉が少ないか、注ぐ勢いが強すぎることが多いと思います。
まず粉を2g増やして、それでも変わらなければ注ぎ方を細くしてみてください。
落ちるのが早すぎる場合は、挽きが粗すぎる可能性もあります。

ペーパーの湯通しは必要ですか

紙のにおいが気になるなら、やっておいて損はありません。
器具とカップが温まるという効果もあって、温度が下がりにくくなります。
手間だと感じるなら省いても構いませんが、そのぶん味は毎回そろえにくくなります。

同じように淹れているのに味が違う日があります

豆は日を追うごとに変わっていくので、そこが出ていることが多いところです。
買ってから何日目かを意識すると、変化の理由が見えてきます。
水や器具の温度も影響するので、条件を1つずつ確かめてみてください。

まとめ

ハンドドリップで動かせるのは、温度と粉の量と時間の3つです。
手順を覚えたら、あとはその3つを毎回そろえるだけで味は安定してきます。
そして変えるときは、いつでも必ず1つずつにしてください。

そして、どれだけ丁寧に淹れても豆の鮮度は超えられません。
2週間で飲み切る量を、焙煎日の近いものから買う。
器具を買い足す前に、まずここを変えてみてください。