上京転職を親に反対されたとき|説得より先に、決めておくこと

上京転職を親に反対されたとき|説得より先に、決めておくこと

親の心配は、分けてみると答えやすくなります。

上京して働きたいと切り出したら、親に思った以上に反対されてしまった…という人も多いと思います。
行きたい気持ちはあるけれど、親を押し切ってまで行っていいのか、迷ってしまいますよね。

無理もないことだと思います。

ただ、ここで説得の言葉を重ねても、話はなかなか前に進まないのではないでしょうか。
親の「心配だから」には、いくつかの不安がまとめて詰まっているはずです。
それを分けないまま話すと、何を伝えても「でも心配」で返されてしまいますし、計画が固まらないうちに話し合いを重ねると、かえって心配の種を増やしてしまうこともあります。

今回はそんな親の「心配」を一つずつほどいて、それぞれにどう答えていくかを考えてみましょう。

「心配」の中に入っている4つの懸念

上京転職への反対は、だいたい次の4つのどれかか、その組み合わせではないでしょうか。
親自身もはっきり言葉にできていないことが多いので、こちらから分けて聞いてみると、話はぐっと進みやすくなります。

懸念親が思い浮かべていそうな場面
生活費家賃が高くて、給料だけでは暮らしていけなくなるのではないか
孤立知り合いのいない土地で体調を崩しても、誰も気づかないのではないか
将来の帰郷このまま向こうで暮らして、もう戻ってこないのではないか
家業や介護家の仕事や、いずれ必要になる親の世話はどうするのか

同じ「反対」でも、この4つは性質がかなり違います。
生活費と孤立は、計画を見せれば小さくできる心配ですが、将来の帰郷は、子どもの側も先のことまでは決めきれないので、約束より考え方で答える話になります。
少しややこしいですよね。
家業や介護となると、家族全体の事情が関わってきます。

まずは、親の反対がこのどれに当たるのかを確かめてみてください。

反対が強いと、つい強さのほうに気を取られてしまいますよね。
でも、どれだけ強く反対されていても、中身は生活費の心配だけということもあって、それなら資金計画を一枚見せるだけで話がまとまるかもしれません。
「何がいちばん心配?」と一度聞いてみるだけでも、話の向きはずいぶん変わってくるはずです。

懸念ごとに出せる材料

心配の種類が分かったら、それぞれに合った材料を用意していきます。
コツは「紙に書けるもの」です。
気持ちを伝える言葉より、そのほうが親には届きやすいはずです。

■ 生活費への心配には、資金計画を見せる

お金の心配には、引っ越しの費用と、毎月の収支の見込みを一枚にまとめて見せるのが効果的です。
見込みは、応募している求人や内定の給与条件から出せます。
貯金で何か月くらいまかなえるのかまで書いておくと、さらに安心してもらえるはずです。
漠然とした不安が、数字で話せる問題に変わるからです。

費用の内訳は上京にかかる費用と、転職・引っ越しの順番の考え方にまとめてあります。
収入と生活費の差額の出し方は東京へ移ると、収入と生活費はどう変わるかが参考になるはずです。

数字は、少し厳しめに見積もったほうを見せるのがおすすめです。
意外かもしれませんね。
都合のいい数字ばかり並んでいると、親のほうがかえって「本当に大丈夫なのか」と身構えてしまうかもしれません。

■ 孤立への心配には、連絡と相談の手段を見せる

ひとりになることへの心配には、連絡の取り方を先に決めて伝えておくのがおすすめです。

約束は簡単なもので構いません。
「週に一度は電話する」「体調を崩したら必ず知らせる」くらいでも、親にとってはかなりの安心材料になるのではないでしょうか。

それと、行き詰まったときの相談先を知っていることも、伝えておいて損はないと思います。
たとえば厚生労働省のこころの耳には、働く人向けの相談窓口がまとめられています。

■ 帰郷への心配には、考え方で答える

「もう戻ってこないのでは」という心配に、いまの時点で確かな答えを返すのは難しいですよね。
ここで「戻らない」と言い切ってしまうのは、あまりおすすめしません。
正直に話して大丈夫です。
先のことは分からないと伝えたうえで、戻るとしたらどんなときかを添えておけば、親の気持ちも少しは落ち着くはずです。

■ 家業や介護への心配には、時間軸を共有する

家の事情が絡むなら、自分ひとりで答えを出そうとしなくていいと思います。
いま何が必要で、何年後にどんなことが起きそうなのかを、家族で一度書き出してみてください。
すぐに手が必要なのか、何年か先の話なのかが見えてくれば、上京の時期をずらすかどうかも含めて落ち着いて話し合えるでしょう。

上京の計画を紙にまとめて家族と話す

もう一度話すタイミングは内定の承諾前

次にいつ話そうか、迷っている人も多いのではないでしょうか。
目安は、内定の承諾前です。
材料がいちばんそろうのは内定が出た段階で、勤務地も給与も入社日も、ここで初めて数字で示せるようになります。

ただ、内定を承諾して退職の手続きまで進めてから話すと、親から見れば相談ではなく事後報告になってしまいます。
中身より、「黙って決めた」ことのほうが引っかかってしまうかもしれません。

話す時期出せる材料気をつけたいこと
応募前どんな仕事を探すか、いつ頃動くか計画が粗いと、心配だけが増えやすい
選考中応募先の仕事内容と給与の幅結果が出る前なので、条件はまだ仮の数字になる
内定後・承諾前勤務地・給与・入社日・住む場所の目安承諾の期限を確かめ、その前に話す
承諾後すべて決まった内容相談ではなく報告になり、反発を招きやすい

私のおすすめは、二回に分けて話す進め方です。

まず応募前か選考中に、「上京して働くつもりで動いている」とだけ伝えておきます。
最初の一言は、予告くらいのつもりで大丈夫です。
そして内定が出たら、承諾の返事をする前に、条件を持ってもう一度話します。
本格的な話し合いは、材料がそろってからという順番ですね。

ひとつだけ、気をつけておきたいことがあります。
承諾の返事には期限があるので、内定の連絡を受けたら、まずその日付を確かめておいてください。

帰る選択肢を残しておくこと

帰る選択肢を残すと、決意が弱いと思われそう…と心配になるかもしれません。
でも親の立場で考えてみると、「二度と戻らない」と言われても、あまり安心はできないのではないでしょうか。
うまくいかなかったときの道が用意されているほうが、親としては落ち着いて送り出しやすいはずです。

帰る可能性を口にしても、逃げていることにはならないと私は思います。
親の心配のひとつに、正面から答えているだけですよね。

■ 帰る選択肢の伝え方
● 見直す時期を決めておく ── 何年か働いた時点で、続けるか戻るかを考え直すつもりだと伝えておきます。
● 戻る条件を言葉にしておく ── 体調を崩したときや家の事情が変わったときは戻る、と先に話しておきます。
● 戻ったあとの仕事も考えている ── 東京で積んだ経験が地元でどう生きるかを、一言添えておきます。

ひとつ気をつけたいのは、親に伝える話と、転職先の面接で話す内容を分けておくことです。
面接で「何年かしたら帰るかもしれない」と伝える必要はありませんし、伝えれば採用する側を不安にさせてしまうでしょう。
家族には帰る道を残しつつ、会社には腰を据えて働くつもりを伝える、という使い分けですね。

それでも折り合わないときの考え方

材料をそろえて話しても、親が納得してくれないこともあります。
それ自体は、決して珍しいことではないと思います。
成人して働いている以上、最終的にどこで働くかを決めるのは自分自身ですが、関係を断ち切るような形で家を出るのは、私はおすすめしません。
困ったときに頼れる先を、自分で減らしてしまうからです。

■ 折り合わないときに避けたい動き方
● 黙って話を進める ── 後から知られたときに、上京そのものより隠したことが問題になりがちです。
● 感情だけで押し切る ── 言い合いのまま家を出ると、困ったときに連絡しづらくなってしまいます。
● 反対を理由に計画ごとやめる ── 懸念を分けずにやめると、同じ迷いが後から何度も戻ってきます。

本当に時期を動かせない事情があるなら、上京の時期をずらすのも十分ありだと思います。
その場合も、いつなら動けるのかを家族と決めておくのがおすすめです。
それだけでも、自分の中の迷いはずいぶん小さくなるのではないでしょうか。

待っているあいだに、在職のまま資格を取ったり、東京の求人を眺めて相場をつかんだりしておけば、動ける時期が来たときにそのまま準備として生きてきます。

反対を押し切って行くと決めた場合でも、連絡の約束と帰る条件だけは、伝えてから出発してほしいと思います。
最後に話した内容は、離れて暮らしてからも親の支えになるはずですから。

家族と連絡を取り合いながら新しい生活を始める

よくある質問

■ 親に知らせずに上京転職を進めてもいいですか

進めること自体はできます。
手続きの上で親の同意が必要になる場面はそれほど多くありませんが、賃貸契約の保証人や緊急連絡先を頼むことになる場合はあります。
後から知られて関係がこじれるほうが負担は大きいので、少なくとも内定の承諾前には伝えておくのがおすすめです。

■「地元で探せばいいのに」と言われたら、どう返せばいいですか

これはよく言われますよね。
まずは、地元でも探したことを伝えてみてください。
そのうえで、やりたい仕事とどこが違ったのかを話せば、親も受け止めやすいと思います。
地元を下げる言い方だけは、避けたほうが無難です。

■ 片方の親だけが反対しているときは、どうすればいいですか

片方だけなら、むしろ話は進めやすいかもしれません。
賛成している側に、反対している側の心配を聞いてもらうのも一つの手です。
心配の中身が分かれば、用意する材料も絞り込めるはずです。

■ 反対されたまま上京して、うまくいかなかったら帰りにくくなりませんか

その心配、よく分かります。
だからこそ、出ていく前に帰る条件を伝えておく意味があるんです。
先に伝えておけば、戻ることは失敗ではなく、最初から決めていた選択肢のひとつとして扱えるようになります。

まとめ

親の「心配」の中には、生活費・孤立・将来の帰郷・家業や介護といった、別々の不安が入っていることが多いはずです。
それを分けて、資金計画や連絡の約束といった材料を用意してから、もう一度話してみてください。
話し直すなら、条件を数字で示せる内定後、承諾の返事をする前がいちばん材料のそろう時期です。

説得の言葉を磨くより、計画を固めるほうが、結果的に話はずっと早く進むと思います!

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