上京にかかる費用と、転職・引っ越しの順番の考え方
上京にかかる費用と、転職・引っ越しの順番の考え方
費用の内訳、いつ何が出ていくのか、そして転職と引っ越しをどの順で進めるかをまとめました。
上京の費用でいちばん大きく効いてくるのは、物件でも引っ越し業者でもなく、収入が止まっている期間の長さです。
総額を心配する方は多いのですが、実際の家計を左右するのはそちらのほうなんです。
仕事を辞めてから次が決まるまでのあいだも、家賃と生活費は変わらず出ていきます。
これが数か月続けば、節約でどうにかなる金額ではなくなってしまうでしょう。
ですから費用の話は、金額の一覧より先に、順番の話から始めたほうが役に立ちます。
上京にかかる費用の内訳
金額は地域や物件によって大きく変わるので、ここでは構造だけを押さえます。
自分の場合の金額は、この枠に当てはめて計算してみてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件の初期費用 | 敷金、礼金、前家賃、仲介手数料、火災保険料、保証会社の費用など |
| 引っ越し費用 | 荷物の量と距離、時期で変わります。3月から4月は上がりやすい時期です |
| 家具・家電 | 実家から出る場合はまとまった額になります。持っていける物を先に確認してください |
| 転職活動の費用 | 面接のための交通費と宿泊費。企業が負担する場合もあります |
| 当面の生活費 | 給与の初回支給までの生活費。入社月の給与が翌月払いのこともあります |
物件の初期費用は、一般に家賃の4〜6か月分が目安として挙げられることが多い項目です。
ただし、礼金なしの物件や、仲介手数料を抑えた契約もあるんです。
目安はあくまで枠として持っておいて、実際は物件ごとに確認してください。
移ったあとの生活費のほうは、総務省統計局の家計調査が都市別に集計しているので、そちらで当たれます。

入社してすぐ給与が振り込まれるわけではありません。
締め日と支給日の関係で、初回の支給が翌月になることがあります。
つまり入社から1か月以上、貯えで生活する期間が生まれる可能性があります。
ここを計算に入れずに引っ越し費用ぎりぎりで動くと、入社した直後にいちばん苦しくなります。
いちばん効くのは、無収入の期間をつくらないこと
費用の話でもっとも金額が動くのは、実のところ物件でも引っ越し業者でもありません。
現職を辞めてから次が決まるまでの期間なんです。
このあいだは収入がないうえに、家賃と生活費は変わらず出ていきます。
仮に3か月かかれば、それだけで初期費用に匹敵する金額が消えてしまうでしょう。
ですから、可能であれば在職中に転職活動を進めるほうが安全です。
面接の日程調整は難しくなりますが、金額の面では圧倒的に有利なんです。
どうしても先に辞める必要があるなら、活動期間を長めに見積もって、生活費を別に確保しておいてください。
ここを楽観的に見積もると、活動そのものが焦って条件を下げる方向へ動いてしまいます。
転職と引っ越し、どちらを先にするか
結論から書くと、内定が出てから引っ越すのが基本です。
理由は2つあるんです。
ひとつは、勤務地が決まる前に部屋を決めると通勤で失敗するからです。
同じ東京でも、路線が違えば所要時間はまったく変わってきます。
もうひとつは、先に引っ越すと無収入の期間に家賃が発生してしまうからでしょう。
この2つが重なると、金額と生活の両面で不利になってしまいます。
例外は、家族の事情などで転居先が先に決まっている場合です。
そのときは、転居先を前提に求人を探すことになるはずです。
いずれにしても、勤務地が決まっていない状態で長期の賃貸契約を結ぶのは避けたほうが無難でしょう。
在職中に応募と面接を進める。
内定を受け、勤務地と入社日を確定させる。
その勤務地を前提に住まいを探す。
退職手続きと引っ越しを並行し、入社日までに転居を終える。
この形が、費用と生活の両面でいちばん無理がありません。
資金計画は、金額ではなく時期で立てる
必要な総額だけを出しても、それは計画にはなりません。
いつ、いくら出ていくのかを、時期で並べてください。
たとえば契約時に初期費用がまとまって出ていき、その数週間後に引っ越し費用と家具の購入が来ます。
そして入社してから初回の給与までに、生活費が1か月分以上必要になるわけです。
総額は足りていても、出ていく時期が重なれば資金はショートします。
月ごとに並べて、いちばん厳しい月がいつなのかを先に把握しておきましょう。
不安から選びがちな判断
費用の不安が強いと、次のような判断をしてしまうことがあります。
● 貯金が目標額に届くまで動かない ── 在職中の活動に必要なのは面接の交通費であって、引っ越し資金ではありません。応募だけなら費用はかかりません。
● 家賃を下げるために勤務地から遠い場所を選ぶ ── 通勤時間と交通費で相殺されることがあります。定期代の支給範囲もあわせて確認してください。
● 初期費用を抑えるために内見せずに決める ── 通勤経路と周辺環境は、写真では分かりません。
家賃をいくらに設定するか
家賃は毎月固定で出ていくので、ここの設定を誤ると、あとからの調整が本当に難しくなります。
一般には手取りの3分の1以内という目安がよく挙げられますが、これは前提が抜けた数字だと思います。
都市部では、通勤の定期代を会社が負担するかどうか、その上限がいくらかで、住める範囲が変わってきます。
それに実家から出るなら、光熱費と食費が新たに発生してきます。
目安の割合だけで決めず、家賃に加えて毎月出ていく金額を一度すべて書き出してください。
そのうえで手取りから引いて、月に何が残るのかを見てから決めたほうが確実です。
なお、家賃を下げるために勤務地から遠い場所を選ぶ判断には注意が要ります。
定期代が会社負担であっても、通勤の時間だけは自分の側から引かれるからです。
片道が30分延びれば、往復で月に20時間以上が消えていきます。
その時間をどう評価するかは人それぞれですが、金額だけで決めない要素ではあるでしょう。
初期費用を抑える現実的な手段
物件の初期費用は、条件を変えることで下げられる余地があるんです。
ただし、それぞれに引き換えがあるので、そこも含めて判断してください。
| 手段 | 引き換えになること |
|---|---|
| 礼金なしの物件を選ぶ | 選べる物件の数は減ります。エリアや築年数で妥協が必要になることがあります |
| 一定期間の家賃が無料になる条件の物件 | 短期解約時に違約金が設定されていることがあります。契約書の確認が必要です |
| 繁忙期を避けて契約する | 1月から3月は物件が動く時期です。可能なら時期をずらすと交渉の余地が出ます |
| 家具・家電付きの物件 | 月々の家賃は上がる傾向があります。住む期間が短いほど有利になります |
どれを選ぶにしても、契約の前に総額を出してから判断してください。
初期費用が安く見えても、月々や解約時に戻ってくることがあるからです。
退職のときに、入ってくるお金と出ていくお金
上京の資金計画で見落とされやすいのが、退職にともなうお金の出入りです。
ここを知らないでいると、想定より手元が減ってしまいます。
まず、最終の給与が振り込まれる時期は、通常の支給日と同じとはかぎりません。
退職月の給与がいつ入るのかは、辞める前に確認しておいてください。
未消化の有給を買い取る制度がある会社もありますが、義務ではないので、期待して計算に入れないほうが安全です。
一方で、出ていくものもあります。
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職したあとも支払いが続きます。
退職の時期によっては、残りをまとめて納める形になることもあるでしょう。
健康保険も、次の会社に入るまでのあいだは自分で手続きと支払いが必要です。
この2つは、無収入の期間が長いほど重くのしかかってきます。
物件の初期費用と引っ越し費用を払い、家具や家電をそろえた直後に、給与はまだ入っていません。
そこへ住民税や健康保険の支払いが重なることがあります。
総額が足りていても、この時期に集中して出ていくと立ち行かなくなります。
月ごとに並べて、いちばん厳しい月がいくら不足するのかを先に出しておいてください。
転職と引っ越しの時期をどう組むかまで含めて相談したいなら、こちらの記事で紹介しているサービスも参考になります。
実家を出る場合と、すでに一人暮らしの場合の違い
同じ上京でも、いまどこに住んでいるかで必要な金額はかなり違います。
自分がどちらなのかで、見積もりの前提そのものが変わってくるんです。
実家から出るなら、家具と家電を一式そろえる必要が出てきます。
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、カーテン、寝具まで含めると、まとまった金額になるでしょう。
その代わり荷物が少ないので、引っ越し費用のほうは抑えられます。
それと、これまで家賃を払っていなかったなら、毎月の固定費が新たに増えることになるんです。
この「増える月額」を見落とすと、入居したあとの生活が想定より苦しくなってしまいます。
すでに一人暮らしをしているなら、家具と家電はそのまま持っていけます。
そのぶん引っ越し費用は上がりますし、いまの部屋の解約手続きも出てきます。
解約は通常1か月前までの申し出を求められるので、退去日と入居日が重なると家賃が二重になってしまうんです。
重なる期間を短くできるかどうかで、数万円単位の差が出ます。
引っ越し費用そのものを抑える
引っ越し費用は、時期と荷物の量でほとんど決まってしまいます。
どちらも、ある程度は自分で動かせる要素です。
- 時期をずらす/3月から4月はもっとも高くなる時期です。可能なら避けると差が出ます
- 平日・時間帯を指定しない契約にする/業者の都合に合わせるぶん、安くなることがあります
- 荷物を減らす/家電は買い替えたほうが安いこともあります。運ぶ費用と買い替え費用を比べてください
- 複数社から見積もりを取る/同じ条件でも金額に幅が出ます
ただし遠方からの引っ越しでは、見積もりのために立ち会うのが難しい場合もあるでしょう。
写真や荷物リストで見積もりを取れる業者もあるので、訪問が必須かどうかを先に確認しておきましょう。
よくある質問
■ 貯金がいくらあれば動き出せますか
在職中に活動するなら、まず必要なのは面接に行くための交通費だけです。
引っ越しの資金は、内定が出てから勤務地に合わせて具体化していけば間に合います。
金額が足りないことより、無収入の期間が延びることのほうが家計には効いてきます。
■ 内定が出てから入社まで、どのくらい必要ですか
退職の手続きと引っ越しを重ねるなら、1か月半から2か月は見ておきたいところです。
就業規則で退職の申し出時期が決まっている会社も多く、そこに引き継ぎが乗ってきます。
内定の連絡を受けた時点で、入社日の希望を具体的に伝えてください。
■ 会社が引っ越し費用を出してくれることはありますか
転居をともなう採用では、支度金や引っ越し費用の補助を用意している会社もあるんです。
求人票に書かれていないこともあるので、内定後の条件確認のときに聞いてみてください。
制度がある場合は、支給の時期と対象になる費用の範囲までそろえて確かめておきましょう。
■ 家具・家電は上京前と後、どちらで買うべきですか
部屋の寸法が分からないうちに大きなものを買うのは避けてください。
冷蔵庫や洗濯機は、置き場所の幅と搬入経路で入らないことがあるんです。
契約が済んで採寸できてから発注しても、初期の生活には十分間に合います。
まとめ
上京の費用は、物件の初期費用、引っ越し費用、家具・家電、転職活動の費用、当面の生活費に分かれます。
物件の初期費用は家賃の4〜6か月分が目安として挙げられることが多いものの、実際は物件ごとに変わります。
そして、いちばん金額が動くのは無収入の期間なんです。
可能なら、在職中に活動を進めてください。
順番は、内定を得て勤務地と入社日を確定させてから住まいを探すのが基本でしょう。
資金計画は総額ではなく月ごとに並べて、いちばん厳しい月を先に把握しておきましょう。
その月を越えられる見通しが立てば、あとは実務を進めるだけです。
転居後に毎月いくら残るのかは東京へ移ると、収入と生活費はどう変わるかに、選考そのものの難易度は地方から東京への転職は難しいのかにまとめました。
活動そのものをどの順で進めるかは地方から東京へ転職する進め方で扱っています。


