産後の「よくあること」と、相談していいサイン|どこへ持って行くか

産後の「よくあること」と、相談していいサイン|どこへ持って行くか

産後の不調は「よくあること」で片づけられがちです。ただ、よくあることと、放っておいていいことは違います。相談していいサインはどれか。そして、どこへ持って行けばいいのか。

産後に起きる変化の多くは、たしかに珍しいものではありません。
それでも、頻度が高いという事実は、我慢していい理由にはならないんです。
相談してよいかどうかで迷ったときは、相談していい。ここは断言してしまってよいと考えています。
問題になるのは、どこへ持って行けばいいのかが分かりにくいことのほうでしょう。

産後の体調について相談するイメージ

この記事でできることと、できないこと

ここに並べるのは、何の病気かを判定するための材料ではありません。
「これは相談の対象になるのか」という一点を分けるための材料です。
診断は受診した先でしてもらうものなので、こちらで持つのは相談していいという判断だけで十分でしょう。

産後は、体の変化と生活の変化が同時に来る時期です。
そのうえ、自分のことを後回しにする理由がいくらでも見つかってしまいますよね。
だから「これは相談していい」と外から言われる形にしておくと、動きやすくなると思っています。

相談していいサイン

次のような変化があるなら、産婦人科に連絡してよい範囲です。

出血・痛み・熱

  • いったん減った出血が、また増えた。鮮やかな赤い出血が続いている
  • レバー状のかたまりが出る
  • 熱がある。悪寒がある
  • お腹や下腹部に強い痛みがある
  • 帝王切開や会陰の傷が、赤い、腫れている、膿が出ている

尿や便のこと

  • くしゃみや咳でもれる。急に我慢できなくなる
  • 下のほうに何かが下りてくる感じがある
  • 排便のときに痛みが強い、出血がある
  • 便が出にくい状態が続いている

骨盤まわりの痛み

  • 恥骨のあたりが痛くて、歩幅を広げられない
  • 尾てい骨が痛くて、座り続けられない
  • 寝返りのときに、足の付け根に強い痛みが走る

お腹の形と、気分のこと

  • お腹の真ん中が縦に開いていて、力を入れると指が沈む
  • 気分の落ち込みや涙が2週間以上続いている
  • 子どもをかわいいと思えない感覚が続いてつらい
  • 眠れる時間があるのに眠れない

最後の4つは、体の検査では数値に出にくい領域です。
それでも相談の対象であることに変わりはありません。
産婦健診では、気分の状態を確かめるための質問票が使われることもあります。

どこへ持って行くか

内容によって、話が早く進む窓口は変わってきます。

気になっていることまず相談する先補足
出血、傷、熱、腹痛出産した産婦人科夜間や休日は、退院時に案内された連絡先へ
尿もれ、下りてくる感じ産婦人科(必要に応じて泌尿器科)産後しばらく続く場合は相談してよい
恥骨や尾骨の痛み産婦人科、または整形外科歩けないほどなら早めに
気分の落ち込み産婦人科、心療内科、地域の保健師健診を待たずに連絡してよい
育児の負担そのもの自治体の子育て世代包括支援の窓口産後ケア事業を案内されることがある
授乳の悩み助産師(母乳外来)出産した施設で相談できる場合が多い

表の下2つは、医療の話ではないから相談できないと思われがちなところです。
実際には、自治体の窓口は育児の負担そのものを扱う場所として置かれています。
産後ケア事業では、宿泊や日帰りで休める仕組みを用意している自治体もあるので、住んでいる市区町村の名前と合わせて調べてみてください。

産後に用意されている健診の種類

産後の健診は、母親のためのものと赤ちゃんのためのものが別に置かれています。
ここが混ざっていると、自分の相談をどこで出せばいいのか分からなくなってしまいます。

健診の種類見ているもの時期の目安
産婦健診(産後2週間)母親の体と気分の状態退院から2週間ほど
産婦健診(産後1か月)母親の回復と、生活の立ち上がり産後1か月ごろ
乳児健診赤ちゃんの発育1か月、その後も自治体の案内で

自治体によっては、産婦健診の費用に助成が付くことがあります。
母子健康手帳と一緒に受診票が入っていることが多いので、手元を確認してみてください。
受けそびれた場合でも相談自体はできますから、期限が過ぎたことを理由にあきらめないほうがいいでしょう。
産後ケア事業として何が用意されているかは、こども家庭庁の母子保健のページにまとまっています。

健診で聞くことを、先に書き出す

産後の健診は、赤ちゃんのことで時間が過ぎてしまいがちです。
聞きたいことがあっても、その場では思い出せないという話をよく聞きます。

  1. いちばん困っていることを1つだけ、最初に書く
  2. いつから、どのくらいの頻度で起きているかを添える
  3. すでに試したことがあれば、それも1行で書く
  4. 運動や外出をいつから始めていいかを、確認事項として入れる
  5. 次に相談するタイミングを、その場で決めてもらう

書き出すのはスマートフォンのメモで構いません。
順番を付けておくと、時間が足りなくなっても優先度の高いものから話せます。
1つに絞るのが難しければ、上から3つまでと決めておくといいでしょう。

「様子を見ましょう」と言われたあと

相談した結果、その場では経過を見ることになる場合もあります。
それ自体はよくある判断ですが、そのまま終わらせないための一手を足しておきたいところです。

▶ その場で聞いておきたい3つ
1. どのくらいの期間、様子を見るのか
2. 何が起きたら、待たずに来ればいいのか
3. 次に見せるとしたら、いつ頃がよいか

この3つを聞いておくと、自分で判断する場面が減ります。
とくに2つめは、夜間や休日に迷わないための材料になってくれるはずです。
期間を区切ったのに変わらないなら、それは同じ相手にもう一度伝えていい状況でしょう。

■ 相談したあとにやりがちなこと
「様子を見て」と言われたので、次に相談する時期を決めないまま過ごす
症状が続いているのに、前回言われた内容だけを根拠に我慢する
調べた情報のほうを信じて、受診の予定を先延ばしにする

一人で抱えないための置き方

産後の相談は、体のことだけに限りません。
眠れていない、頼れる人がいない、上の子の対応で手が回らない。こうした状況も、窓口では相談の対象として扱われます。

家族に伝えるときは、状態そのものより「してほしいこと」を言うほうが伝わりやすいと思います。
「つらい」だけだと受け取り方が人によって変わってしまいますが、「午前中の2時間、代わってほしい」なら動作になりますよね。
伝わらないのは伝え方のせいだ、という話ではありません。ただ、動作に落とすと結果が変わりやすいという話です。

▶ 体の変化そのものを整理したい方へ
何が戻って何が戻らないのかは、産後の体は、何が戻って何が戻らないのか|時間の目安と受診の目安で扱いました。

家族が読む場合に見てほしいところ

この記事は、産んだ本人だけに向けたものではありません。
そばにいる人が変化に気づいて、受診をうながす場面のほうが多いからです。

  • 出血や熱、傷の変化は、本人が動けないこともあるので代わりに連絡してよい
  • 「元気そうに見える」は判断材料にならない。夜の状態のほうを見る
  • 気分の落ち込みは、本人からは言い出しにくい。こちらから聞いてよい
  • 受診をすすめるより、予約と移動を引き受けるほうが動きやすい

4つめは、実際にいちばん効く支援だと思います。
行ったほうがいいと分かっていても、予約の電話をかける手間そのものが壁になっている場面があるためです。
そこを代わりに越えてしまうと、受診までの距離はぐっと縮まりますよ。

よくある質問

産後健診が終わったあとでも相談していいですか

構いません。
健診は決まった時期に置かれているだけで、そこを過ぎたら相談できなくなるという仕組みではありません。

大したことがなかったら申し訳ない気がします

その心配は、相談を遅らせる理由としてよく出てくるものです。
ただ、受け取る側は「大したことがなかった」という結果を確かめるために見ています。
空振りだったという結果そのものが、こちらにとっては必要な情報になりますよ。

子どもを連れて行っても大丈夫ですか

施設によって対応が違うので、予約のときに聞いてしまうのが確実です。
同伴できるところも多く、難しい場合は一時預かりを案内してもらえることもあります。

尿もれは時間がたてば落ち着きますか

落ち着いていく方もいますが、続く場合もあります。
産後しばらくたっても変わらないなら、それは相談してよいサインとして扱ってください。

気分の落ち込みは、誰に話せばいいですか

産婦人科でも、地域の保健師でも構いません。
どちらに話しても、必要なら次の窓口へつないでもらえます。
話す相手を探すこと自体に消耗するくらいなら、つながりやすいほうへ先に連絡してください。

夜間に迷ったときはどうしますか

退院のときに渡された案内に、連絡先が書かれていることが多いところです。
見当たらない場合は、出産した施設の代表番号にかければ案内してもらえます。

里帰り中で、出産した施設が遠いのですが

滞在している地域の産婦人科でも相談できます。
出産した施設の情報が必要になることもあるので、母子健康手帳と退院時の書類を持って行ってください。

相談したいことが複数あって、まとまりません

まとめてから行く必要はありません。
困っている順に3つ並べておけば、優先度は向こうで判断してもらえます。

上の子がいると、時間が取れません

自治体の窓口に、その事情も含めて相談してみてください。
一時預かりや産後ケアの仕組みを使えることがあります。

まとめ

産後の不調は珍しくありませんが、珍しくないことと我慢していいことは別です。
出血や熱、傷の変化はすぐに産婦人科へ。尿もれや痛み、気分の落ち込みも相談の対象になります。
そして「様子を見ましょう」と言われたら、期間と、待たずに行く条件をその場で聞いておく。
グッズや工夫で蓋をする前に、まず持って行く先を決めてしまってください。

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