酸味の強い飲み物を毎日続けるとき|歯と胃で気をつけること
酸味の強い飲み物を毎日続けるとき|歯と胃で気をつけること
何を飲むかより、どう飲むかで決まります。
お酢の飲料や柑橘のジュースを毎日の習慣にするなら、押さえておきたいのは歯と胃の2か所です。
歯に効いてくるのは酸の強さより、口の中に酸がある時間のほうで、同じ1杯でも、一気に飲むのと机に置いて2時間かけて飲むのとでは、条件がまるで違うんです。
胃は時間帯しだいです。

習慣にする前に、相談したほうがいい場合
次のどれかに当てはまる方は、始める前に、歯科か内科で相談してみてください。
- 胸やけや、酸っぱいものが上がってくる感じが、ときどきある
- 胃の手術を受けたことがある、あるいは胃薬を継続して飲んでいる
- 冷たいものや甘いもので歯がしみる
- 歯の先が薄くなってきた、色が変わってきたと感じる
- 矯正装置を付けている、または詰め物が多い
当てはまるからやめたほうがいい、という話ではなく、飲み方の条件を先に決めておいたほうが安全だ、という意味です。
すでに歯がしみている場合は、原因が酸とはかぎらないので、そちらを先に見てもらったほうが早いでしょう。
酸に触れたとき、歯の表面で起きていること
歯の表面をおおうエナメル質は、酸に触れると一時的にやわらかくなり、そのあと唾液が時間をかけて元の硬さへ戻していく、という往復を毎日くり返しているんです。
つまり酸に触れること自体が問題なのではなく、戻る前に次の酸が来ることのほうが問題でしょう。
食事にも酸味のあるものは含まれますし、それで歯が削れていくわけではありません。
差がつくのは、時間の合計です。
ここが分かると、気をつけるべき場面がかなり絞れてきますよ。
歯の表面で起きている脱灰と再石灰化そのものは、厚生労働省の歯・口腔の健康に基本が置かれています。
口の中に酸がある時間を短くする
避けたいのは、ちびちび飲みです。
机の上に置いて、作業しながら少しずつ口に運ぶ形がいちばん条件が悪くなります。
量としては1杯でも、口の中は何時間も酸性のままです。
逆に、同じ1杯を数分で飲み切るなら、唾液が戻す時間のほうが長く取れるでしょう。
▶ 決めた量を、10分以内に飲み切る形にする
▶ 机の上に置いたまま作業しない(飲む場面を分ける)
▶ 飲んだあとに水を口に含んで、そのまま飲み込む
▶ 回数を増やしたいときは、量を分けずに日を分ける
3つめの「水を含む」は、うがいのように強くゆすがなくて構いません。
口の中に残っている酸を薄めるのが目的なので、ひと口の水があれば足りるはずです。
外出先でも、水筒の水があればできる範囲ですよね。
飲んだ直後の歯みがきが裏目に出る理由
よかれと思ってすぐ磨く方も多いでしょう。
ただ、表面がやわらかくなっている最中にブラシを当てると、その分だけ削れやすくなるんです。
歯みがき自体は必要な習慣ですが、順番とタイミングのほうを少しずらしたいところです。
すぐに強い力で歯を磨く(やわらかくなっている時間帯に当たる)
マウスウォッシュで長くゆすぐ(製品によってはそれ自体が酸性)
口の中に残った酸味を、舌で転がして味わい続ける
飲んだあとは水をひと口含み、そのうえで磨くのは30分ほど置いてから、という2段構えにしておくと、ほとんどの場面は足ります。
朝の支度で時間が読めないなら、飲む順番を歯みがきの前に持ってくるという解き方もあるでしょう。
たとえば起きてすぐ飲み、着替えや朝食を済ませてから磨くようにすれば、とくに意識しなくても30分ほどの間があきます。
待つための時間を、わざわざ作らなくて済むわけです。
夜に飲む場合も同じで、飲むのを夕食の時間にそろえ、寝る前の歯みがきまで間をあけておけば足ります。
虫歯と酸蝕は、原因が別のもの
酸の出どころが違います。
虫歯のほうは口の中の細菌が糖から作る酸なので、歯と歯のあいだや溝といった、決まった場所から進んでいきます。
一方、飲み物に含まれる酸は口の中いっぱいに広がるため、前歯の先や噛む面のように、ブラシがよく当たっている場所にも及ぶんです。
つまり「しっかり磨いているから平気」という理屈は、こちらには当てはまりません。
磨くことで防げるのは細菌の側であって、外から入ってくる酸のほうは別の手当てが要ります。
そして糖と酸の両方を含む飲み物は、2つの経路が同時に働く形になってしまいます。
甘みのある果実飲料をだらだら飲む形がいちばん条件が悪いのは、このためでしょう。
逆にいえば、甘みの少ない酸っぱい飲み物を短時間で飲み切り、そのあと水を含む形にしておけば、2つの経路のうち片方はほぼ閉じられます。
もう片方も、時間の短さで抑えられるはずです。
磨き方を工夫するより、飲み方の形を決めておくほうが、こちらには効いてくるわけです。
薄め方と、割るものの選び方
薄めることには、酸の濃さを下げるという意味があるので、原液のまま飲む形が想定されていない製品なら、表示された倍率は守ったほうが無難です。
そのうえで、何で割るかによって口当たりも条件も変わってくるでしょう。
| 割るもの | 味の変わり方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 水 | 素材の味がそのまま出る | いちばん扱いやすい |
| 炭酸水 | さっぱりして飲みやすくなる | 炭酸自体も酸性なので、だらだら飲まない |
| 牛乳・豆乳 | 酸味がまろやかになる | 分離することがあるので少しずつ混ぜる |
| 果汁飲料 | 甘みが乗って飲みやすい | 糖と酸が重なるため、飲む時間はとくに短く |
牛乳や豆乳で割ると角が取れるのは、乳成分が酸味を包むためだと言われています。
酸っぱさが苦手で続かなかった方には、この方向が向いているかもしれません。
一方で、朝は水や炭酸水のほうがすっきりするという方も多いので、ここは好みで決めていいところです。
胃のほうで気をつけること
胃は、量より時間帯です。
空っぽの胃に酸味の強いものを入れると、人によってはむかつきが出ることがあります。
朝いちばんに飲む習慣にしたいなら、何かを少し口に入れてからのほうが穏やかでしょう。
もうひとつは、寝る直前です。
横になると胃の内容物が上がりやすくなるため、就寝の2〜3時間前までに済ませておくと違ってきます。
胸やけが出やすい方は、この一点だけでも守る価値があるでしょう。
朝食といっしょ、または朝食の直後に固定する
昼食後に回す(食後は唾液が出ているので条件がよい)
夜に飲むなら、寝る2〜3時間前までに切り上げる
酸っぱさで続かなかったときの立て直し方
味が理由で止まってしまった場合、量を減らすより、割り方のほうを変えるほうが戻りやすいと思います。
量を減らすと今度は「これで足りているのか」が気になって、結局やめてしまう形になりがちだからです。
- まず倍率を、表示された範囲のいちばん薄いほうに寄せる
- それでも酸味が立つなら、牛乳や豆乳に替えて角を落とす
- 冷やす。温度が低いほど酸味は感じにくくなる
- 飲む時刻を朝から食後に移して、口の中の条件を変える
この順で試すと、たいていはどこかで落ち着きます。
それでも受け付けないようなら、味の系統そのものが合っていないという結論でいいと思いますよ。
合わないものを我慢して続けるのは、習慣としていちばん残りにくい形ですから。
毎日続けるための置き場所
習慣として残るかどうかは、意志より置き場所で決まる部分が大きく、冷蔵庫の奥にしまうと、それだけで数日後には忘れてしまいますよね。
扉のいちばん手前に置いて、コップと計量の道具を同じ場所にそろえておくと、動作の数が減ります。
計る手間も、侮れません。
計量カップが付いている製品なら本体のそばに置いて、毎回探さずに済むようにしておくと楽です。
決まった時刻の決まった動作にひもづけると、考えなくても手が動くようになってきます。
よくある質問
毎日飲んでも歯は大丈夫ですか
飲み方しだいです。
短時間で飲み切って、そのあと水をひと口含む形にできていれば、毎日でも過度に心配する場面ではないでしょう。
ストローを使ったほうがいいですか
前歯に触れる量を減らせるので、使うこと自体は理にかなっています。
ただ、ストローがあっても口の中に長く留めていれば同じことなので、飲み切る速さのほうが優先です。
寝る前に飲みたいのですが
胸やけの心当たりがないなら、就寝の2〜3時間前までにしておくといいと思います。
どうしても直前になる日は、量を減らすか、その日は水にしておくという判断もありでしょう。
空腹のときは避けたほうがいいですか
人によります。
むかつきが出ないなら避ける必要はありませんが、出るようなら食事といっしょに回すほうが続きます。
子どもに飲ませても構いませんか
製品ごとに想定している対象が違うので、まずは表示を見てみましょう。
年齢の記載がある場合はそれに従い、迷うようなら小児科で聞いてしまうのが早いと思います。
歯がしみるようになったら、やめるべきでしょうか
まずは歯科です。
原因が酸とはかぎらず、知覚過敏や別の理由のこともあります。
自己判断でやめるより、何が起きているかを確かめたほうが次の手を決めやすいはずです。
食後に飲むのと食前に飲むのでは違いますか
口の中の条件でいえば、食後のほうが唾液が出ているぶん有利になります。
胃のほうでも、空っぽの状態を避けられるので穏やかでしょう。
とくに理由がないなら、食後に寄せておくのが無難だと思います。
冷蔵庫に入れ忘れた分は飲めますか
製品ごとに保存の条件が違うので、開封後の扱いは表示どおりにするのが基本です。
とくに開封したあとのものは、常温で長く置くと風味の変わり方が早くなります。
水で薄めると効き目が落ちませんか
表示された倍率の範囲であれば、入っている量そのものは変わりません。
濃く飲むほど良いという考え方は、この種のものには当てはまらないんです。
まとめ
酸味のあるものを毎日続けるなら、見るところは2か所です。
歯については、口の中に酸がある時間を短くして、飲んだ直後には磨かないようにし、胃については、空腹と就寝直前を外しておけば、あとは味の好みで選んでいいと思いますよ。
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