20代後半から未経験の仕事へ移るのは厳しいのか
20代後半から未経験の仕事へ移るのは厳しいのか
年収の下限を先に決めると、ぐっと動きやすくなります。
27歳、28歳あたりで別の仕事に移りたくなったとき、「もう遅いのでは…」と迷っている人も多いのではないでしょうか。
ネットで調べると、「20代後半の未経験は厳しい」という話ばかり目に入ってきますよね。
私は、20代後半から未経験の仕事へ移ることは、まだ十分に現実的だと思います。
ただ、何も手放さずに移れるかというと、そうとも限りません。
厳しいと言われる理由の多くは、年収や待遇を今と同じ水準に保ったまま職種を変えようとしたときに出てくるものです。
今回は、何が厳しくなって何が変わらないのかを分けたうえで、どう動けばいいかを考えていこうと思います。
20代後半で厳しくなるもの・変わらないもの
「27歳で未経験はもう遅い」という話を見かけると、どの業界でもどの職種でも同じように厳しいと受け取ってしまいがちです。
でも実際には、厳しくなるものと、20代前半からほとんど変わらないものがあります。
まずはそこを分けてみると、評判に振り回されにくくなるはずです。
| 観点 | 20代前半 | 20代後半 |
|---|---|---|
| ポテンシャル採用の枠 | 経験を問わない採用の対象に入りやすい | 枠は残るが、前職で何をしてきたかも合わせて見られる |
| 年収の維持 | もともとの年収が低めで、下がる幅も小さくなりやすい | 今の年収が上がっている分、下がる幅が大きく感じやすい |
| 教育を受けられる環境 | 未経験者向けの研修がある求人に応募できる | 同じ求人に応募できる |
| 社会人としての基本 | まだ身についていないと見られることもある | 身についている前提で見られ、強みにもなる |
こうして並べてみると、教育を受けられる環境そのものは、20代後半になっても閉じていないのが分かると思います。
ここは安心していいところです。
変わるのは、「ポテンシャルだけ」で見てもらえる範囲が狭まることと、年収の下がり方が大きく感じられることの2点でしょう。
採用する側は、20代後半の未経験者を、新卒や第二新卒とは少し違う期待で見ているはずです。
仕事の基本はもう身についていて、教えるのは職種の中身だけで済むかもしれない、という期待です。
その期待に応えられる材料を前職から出せるかどうかが、20代前半との違いになってきます。
実績は特別でなくて大丈夫です。
たとえば「期限を守って仕事を回してきた」「後輩に仕事を教えてきた」「取引先や顧客とのやり取りを任されてきた」といった経験です。
数年働いてきた人なら、どれかには心当たりがあるのではないでしょうか。
こうした経験は職種が変わっても使える土台で、20代前半の応募者にはまだ出しにくい強みでもあります。
年齢は不利な条件として語られがちですが、出せる材料が増えた時期、と考えることもできるのではないでしょうか。
職種による受け入れやすさの違い
未経験者を受け入れやすいかどうかは、年齢よりも職種によって大きく変わります。
入社後に一から教える仕組みが整っている職種もあれば、経験者を前提にしている職種もあるからです。
見分けるヒントは、求人票の書き方にあります。
● 研修の期間と中身が書かれている ── 「研修あり」だけでなく、期間や内容まで具体的に書かれているか
● 未経験で入った人の例がある ── 前職がまったく違う人が働いている事例が載っているか
● 応募資格に経験年数がない ── 「〇年以上の実務経験」が必須条件に入っていないか
● 最初の担当業務が限定されている ── 入社直後に任される範囲が絞られているか
反対に、仕事内容の欄に専門用語が並び、応募資格に実務経験の年数が書かれている求人は、未経験者を想定していないことが多いでしょう。
「未経験歓迎」の一言にも注意が必要です。
教育の中身がまったく書かれていない場合は、とくにそうです。
人の入れ替わりが激しく、現場で覚えてもらう前提で採用を続けているケースもあるからです。
気になったら、面接の場で、最近入った未経験の人がいまどんな仕事をしているかを聞いてみてください。
教育の実態が、わりと見えてきますよ。
もう一つ見落としやすいのが、受け入れやすい職種と、自分に合う職種は別だという点です。
未経験者を多く採っているという理由だけで選ぶと、入ってから仕事の中身が合わず、また次を探すことになりかねません。
20代後半でそれをくり返すと、今度こそ選択肢が狭まってしまいます。
受け入れやすさは応募先を絞る条件の一つにとどめて、仕事そのものに納得できるかを先に確かめておくのがおすすめです。

年収が下がる可能性と判断のしかた
未経験の職種へ移ると、年収は一時的に下がる可能性があります。
新しい職種では経験ゼロからの扱いになるので、今の仕事で積み上げた評価がそのまま引き継がれるわけではないんですよね。
どれくらい下がるかは、業界や職種、前職の経験がどこまで活かせるかで変わるので、一概には言えません。
なので大切なのは、下がったときに受け入れられるかどうかを、先に決めておくことだと思います。
確かめたいのは次の3つです。
| 確かめること | 考え方 |
|---|---|
| 最低限必要な生活費 | 家賃や固定費を払ったうえで、毎月いくら残れば暮らせるか |
| 下がった状態が続く期間 | 応募先で経験を積んだあと、どのくらいで評価が上がる仕組みか |
| 今の職種に残った場合 | このまま続けた場合の年収の伸び方と、仕事への納得感 |
3つ目を入れているのは、比べる相手を「今の年収」にしないためです。
本当に比べたいのは、今の職種に残り続けた数年後の自分ではないでしょうか。
年収の伸びと引き換えに仕事への納得感が下がっていくなら、一時的に下がっても移るほうを選ぶ人もいますし、その逆もあります。
正解はありません。
自分の条件で、一度書き出してみてください。
2つ目の「下がった状態が続く期間」は、求人票だけでは分からないことが多いでしょう。
面接の終わりに質問の時間があれば、未経験で入った人が評価される時期や、昇給の決まり方を聞いておくと安心です。
聞きにくいと感じるかもしれませんが、入社後の働き方を真剣に考えている質問として受け取ってもらえることが多いはずです。
● 下がらない求人だけを探す ── 未経験で今の年収を保てる求人は限られ、選択肢を自分で狭めてしまいます。
● 生活費を計算しないまま決める ── 内定が出てから足りないと気づくと、条件の交渉も判断もぶれてしまいます。
年収を下げることがどうしても受け入れられないなら、今の職種のまま会社を変える転職のほうが合っているかもしれません。
それも立派な答えですよね。
30歳を前に動く場合の順番
年齢が気になっていると、とにかく早く応募しなければと焦ってしまいがちです。
ただ、順番を間違えると、かえって時間を使ってしまうことになりかねません。
おすすめの順番は次の3つです。
■ 1. 年収の下限を決める
最初にやるのは、受け入れられる年収の下限を決めることです。
ここが決まっていないと、どの求人に応募するかの判断がいつまでもつかなくなってしまいます。
■ 2. 移りたい職種を絞る
次は、職種を一つか二つに絞ります。
ここは欲張らないのがコツです。
候補が多すぎると志望動機が浅くなり、どの面接でも同じ話をしてしまいがちです。
絞ったあとは、その職種について自分で調べたり、学び始めたりしておくと、面接で話せる材料が増えていきます。
志望理由の組み立て方は未経験の業界を志望する理由を、面接でどう話すかで詳しく書いています。
■ 3. 在職中に応募を始める
応募は在職中に始めるのが安全です。
収入が途切れない状態なら、年収の判断を焦って妥協してしまう心配も減るでしょう。
時期の決め方は、転職のタイミングを、時期で考えるも参考になるはずです。
転職エージェントを使う場合は、職業紹介の事業には国の許可が必要だということも知っておくと安心です。
仕組みについては、厚生労働省の職業紹介事業についてのページで確認できます。

よくある質問
■ 29歳でも未経験の職種へ移れますか
可能性は十分にありますよ。
年齢だけで決まるわけではないので、研修の仕組みがある求人に絞り、前職から持っていける力を言葉にしておけば、応募できる先は残っているはずです。
■ 資格を取ってから応募したほうがいいですか
これは職種しだいです。
職種によっては、資格が応募の条件になっていることもあります。
条件になっていないなら、取り終えるのを待つより、勉強を始めた段階で応募したほうが時間を使わずに済むでしょう。
学び始めていること自体が、面接では十分な材料になります。
■ 今の職場で異動を願い出るのとどちらがいいですか
どちらもありだと思います。
社内に移りたい職種があるなら、異動のほうが年収を保ちやすい場合もあります。
ただ、希望が通るかどうかは会社の都合にも左右されるので、転職と並べて検討してみてください。
■ 今の仕事が嫌で辞めたいだけなのか、自分でも分かりません
迷って当然だと思います。
その迷いがあるうちは、移りたい職種について調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。
調べるほど興味が深まるなら移る理由がありますし、何も引っかからないなら、今の職種のまま環境を変える転職のほうが合っているのかもしれません。
■ 30代に入ってからだと、もう無理ですか
無理ということはないと思います。
ただ、前職の経験をどう活かすかが、いっそう問われるようになるはずです。
迷っているなら、30歳になる前に一度情報を集めておくほうが、選べる道を広く保てるでしょう。
まとめ
20代後半から未経験の仕事へ移ることは、まだ十分に現実的だと思います。
厳しくなるのは、ポテンシャルだけで見てもらえる範囲が狭まることと、年収を保ったまま移るのが難しくなることの2点でしょう。
教育を受けられる環境は閉じていないので、求人票から受け入れやすい職種を見分けていけば、道はちゃんとあります。
まずは受け入れられる年収の下限を決めて、そこから職種を絞り、在職中に動き始めてみてください。
一時的に年収が下がることを受け入れたうえで動きたい20代の方は、未経験からの転職に強いエージェントを紹介するサービスを使う方法もあります。都市部の求人が中心で、求人の紹介や面接対策は紹介先のエージェントが担当します。年収を下げたくない方には向かないとサービス側も明記しているので、先に下限を決めてから検討するのがいいでしょう。


