未経験の業界を志望する理由を、面接でどう話すか
未経験の業界を志望する理由を、面接でどう話すか
「自分で確かめたこと」を一つ添えてみてください。
未経験の業界を受けるとき、いちばん困るのが「なぜこの業界なんですか?」という質問ではないでしょうか。
経験で裏づけられない分、つい熱意を盛った言葉を用意したくなるかもしれません。
でも、志望の理由は興味から始まっていて構いません。
未経験の人のきっかけが興味や憧れだということは、面接官も分かっているはずです。
物足りなく感じるとしたら、興味のあとに「自分で何を確かめたか」が続いていないからかもしれません。
経験がなくても筋の通る志望動機の作り方を、順番にお話ししますね。
未経験者の志望動機で確かめられていること
経験者の志望動機なら、前職の実績とこれからの仕事がどうつながるかが中心になります。
未経験の場合、そのつながりはまだありません。
なので面接官は、別のところを見ているはずです。
採用する側の立場で考えると、確かめたいことはおおむね次の2つではないでしょうか。
| 確かめていること | 面接官の心配 | 答えになるもの |
|---|---|---|
| すでに自分で動いたか | 入ってから「思っていた仕事と違う」と辞めないか | 業界や仕事について自分で調べた・試した具体的な行動 |
| 前職の何が使えるか | 一から教えるのに時間がかかりすぎないか | 今の仕事で身につけた、職種をまたいで使える力 |
1つ目はミスマッチの心配です。
採用する側がいちばん避けたいのは、おそらくこれでしょう。
未経験で入った人が仕事の実態を知って戸惑い、そのまま辞めてしまうケースです。
だからこそ、入る前にどこまで確かめたかが、「この人は続けられそうか」の判断材料になるんですよね。
2つ目は育てる時間の心配です。
まったくのゼロから育てるのか、土台の一部はもうあるのかで、面接官が思い描く入社後の姿もかなり変わってくるはずです。
志望理由を3段階に分ける
「なぜこの業界なのか」と聞かれて言葉に詰まるのは、業界・職種・会社の理由がひとかたまりになっているからかもしれません。
面接では、この3つが別々の質問として来ることもよくあります。
先に分けておくと、どこを聞かれても答えがぶれにくくなるはずです。
■ 業界の理由
その業界のどこに引かれたのかを、きっかけと一緒に話す段です。
ここは興味から始まっていて自然なので、無理に立派な理由へ書き換えなくて大丈夫です。
ただ、「成長している業界だから」だけだと、誰でも言えてしまいますよね。
自分がその業界に触れた具体的な場面を一つ添えると、借り物ではない理由として聞こえるはずです。
■ 職種の理由
業界の中で、なぜその仕事なのかを話す段です。
同じIT業界でも、営業とエンジニアとサポートでは毎日の仕事がまったく違います。
その職種の一日をどこまで思い描けているかは、話を聞けば意外と伝わってしまうものです。
仕事内容を調べたうえで、自分の得意なことや続けられそうな理由と結びつけておくのがおすすめです。
■ 会社の理由
最後は、同じ業界・職種の中で、なぜその会社なのかです。
未経験の人にとっては、教育の仕組みや、未経験で入った人がどう働いているかが大きな理由になるでしょう。
それを正直に伝えていいと思います。
ただ、「未経験から育ててもらえるから」だけで終わると、少し受け身に聞こえてしまうかもしれません。
その環境で自分がどう力をつけていきたいかまで、一言添えてみてください。

自分で確かめたことの作り方
志望動機の真ん中に置きたいのは、興味を持ったあとに自分で取った行動です。
大げさなものでなくてOKです。
たとえば「その業界の人が書いた本や記事を読んだ」「関連する資格の勉強を始めた」「実際にサービスを使って、気づいたことをメモしている」といった行動です。
こうした行動は、面接官から見ると「入る前に実態を確かめようとしている人」の証拠になるはずです。
まだ何もしていないなら、面接までに一つでも始めておくのがおすすめです。
始めたばかりでも大丈夫です。
何をやってみて、何が分かって、何がまだ分からないかを話せれば十分ですよ。
分からないことを正直に伝えられると、入社後に学ぶ姿勢として受け取ってもらえることも多いでしょう。
● きっかけ ── その業界や仕事に興味を持った具体的な場面
● 自分で確かめたこと ── 調べた・学び始めた・試したことと、そこで分かったこと
● 前職から持っていけるもの ── 今の仕事で身につけた力が、新しい仕事のどこで使えるか
販売の仕事から人事の仕事を目指す場合なら、たとえばこんな流れです。
「店舗で新人の教育を任されたとき、同じ説明をしても伝わる人と伝わらない人がいることに気づき、人が育つ仕組みに関心を持ちました。採用や研修についての本を読み、関連する資格の勉強を始めたところ、教える前の採用の段階で決まることが多いと分かりました。」
「販売で身につけた、相手の話を聞いて要望をくみ取る力は、応募者との面談でも活かせると考えています。」
いかがでしょうか。
きっかけ、確かめたこと、持っていけるものの3つがそろっていれば、思いつきで志望しているわけではないことは十分に伝わると思います。
話す長さは、全体で1分から1分半ほどが目安です。
3つを全部くわしく話そうとすると、どうしても長くなります。
いちばん具体的に話せるところを厚くして、残りは一文ずつにしておくと、ぐっと聞きやすくなりますよ。
気になったところは、面接官があとから質問してくれるはずです。
前職から持っていけるものの見つけ方
業界を変える転職だと、今の仕事の経験は役に立たないと思い込んでしまう人も多いのではないでしょうか。
たしかに、業界ならではの知識はそのまま持っていけないことが多いでしょう。
それでも、仕事の進め方や人との関わり方のように、職種をまたいで使える力は意外と残っているものです。
| 今の仕事でやっていること | 持っていける力 | 使える場面の例 |
|---|---|---|
| 接客・販売 | 相手の要望を聞き取って提案する力 | 営業、カスタマーサポート |
| 事務 | 正確に処理して期限を守る力 | 経理、品質管理 |
| 製造・現場作業 | 手順を守って改善点を見つける力 | 工程管理、IT系の運用・保守 |
| 飲食店の店舗運営 | 人と時間を回す段取りの力 | 営業事務、プロジェクトの進行管理 |
表はあくまで一例です。
自分の仕事に置きかえて考えてみてください。
見つけるときは、仕事の名前よりも、毎日くり返している動作に目を向けてみるのがコツです。
たとえば、問い合わせに答える、数字をそろえる、段取りを組む、ミスを見つけて直す、といった単位です。
ここまで分けていくと、志望先の求人票に書かれた仕事内容と重なるところが見えてくるはずです。
ただ、重なりを見つけたからといって「すぐに戦力になれます」と言い切るのは、避けたほうが無難です。
経験者と同じようには働けないことは、面接官も分かっているはずです。
使える土台がある、と控えめに伝えるくらいがちょうどいいと思います。
書類で同じ内容を伝えるときは、ハローワークの履歴書・職務経歴書の書き方も参考になります。

避けたい答え方
言葉を盛ろうとすると、かえって評価を落とす答え方になりやすいものです。
よく見かける形を挙げておくので、準備した答えと見比べてみてください。
● 憧れだけで終わる ── 「昔から興味がありました」で止まると、確かめた形跡が伝わりません。
● 今の仕事を否定する ── 前職への不満が中心だと、同じ理由でまた辞めるのではと思われてしまいます。
● 学ばせてほしいが前に出る ── 教育を受けたい気持ちだけでは、会社にとっての利点が見えません。
● 知識を盛る ── 少し調べただけの業界知識を語ると、深掘りの質問ですぐに分かってしまいます。
なかでも気をつけたいのは、2つ目の「今の仕事を否定する」形です。
転職したい理由に今の仕事への不満が混じっているのは、自然なことですよね。
ただ、志望動機の真ん中に不満を置くと、話が「逃げたい理由」に聞こえてしまうかもしれません。
不満は事実として短く触れる程度にして、そこから何に気づき、何を確かめ始めたかへ話を進めてみてください。
4つ目も要注意です。
少し調べただけの知識は、面接の場では意外と目立ってしまいます。
面接官はその業界で働いている当事者なので、借りてきた言葉には気づきやすいはずです。
知っている範囲を正直に話して、分からないところは入社後に学びたいと伝えるほうが、ずっと信頼につながると思います。
よくある質問
■ 興味を持ったきっかけが小さなことでも大丈夫ですか
もちろん問題ありません!
きっかけの大きさより、そのあと自分で何を確かめたかのほうが見られていると思います。
小さなきっかけから行動につながった流れを話せれば、十分に説得力のある志望動機になるでしょう。
■ 職種は決まっているけれど、業界はまだ迷っています
問題ありません。
職種の理由を軸にして、業界は応募先ごとに理由を考えれば十分です。
同じ職種でも業界によって仕事の中身は少しずつ違うので、その違いを調べること自体が「自分で確かめたこと」になります。
■ 在職中で、自分で確かめる時間がなかなか取れません
通勤時間に業界の記事を読む、休日にその業界のサービスを使ってみる、といった小さな行動でも、続けていれば話せる材料になります。
大切なのは時間の長さより、何を確かめようとして何が分かったかを言葉にできるかどうかだと思います。
■ 年齢的に未経験の転職がまだ間に合うか不安です
年齢による違いは、志望動機とは別に整理しておくほうが判断しやすくなります。
20代後半から未経験の仕事へ移るのは厳しいのかで、何が厳しくなって何が変わらないのかを分けて説明しています。
■ 志望動機以外の質問への準備はどうすればいいですか
転職の面接でよく聞かれる質問は、ある程度決まっています。
転職面接でよくある質問と回答のポイントに一通りまとめているので、あわせて準備しておくと安心です。
まとめ
未経験の業界を志望する理由は、興味から始まっていていいんです。
面接官が確かめたいのは、おそらく「すでに自分で動いたか」と「前職の何が使えるか」の2つでしょう。
業界・職種・会社の理由を分けて、それぞれに自分で確かめたことを添えれば、熱意を盛らなくても筋の通った話になります。
今の仕事から持っていける力は、毎日くり返している動作の中から探してみてください。
経験がなくても、伝わる志望動機はちゃんと作れると思います。
今の経験から持っていける強みを言葉にする段階から相談したい20代の方は、未経験からの転職に強いエージェントを紹介するサービスがあります。都市部の求人が中心で、求人の紹介や面接対策は紹介先のエージェントが行う仕組みです。未経験からの転職では年収が一時的に下がることもあるので、その点も含めて検討してみてください。


