転職のタイミングを、時期で考える|求人が動く月と、自分の期限

転職のタイミングを、時期で考える|求人が動く月と、自分の期限

まずは、自分の締切を決めてみませんか?

「転職するなら何月がいいんだろう」と、求人が増える時期を調べている人も多いのではないでしょうか。

増える時期はあります。
でも、そこには応募する人も同じように集まってくるので、月を狙って動いたからといって、ほかの人より有利になるとは限らないんです。

転職に向いた時期があるとすれば、それは求人が増える月より、自分が動ける期間のほうだと私は考えています。
先に決めたいのは、「いつまでに次を決めるか」という自分の締切です。
ただし例外が一つだけあって、賞与と退職金は、辞める日付そのもので金額が変わります。
ここだけは、カレンダーを見て判断する価値があるでしょう。

求人が動く時期の、仕組みのほう

求人の数には季節の波があるといわれますが、暦の都合で増えているわけではありません。
会社の側にいくつか事情が重なって、結果として同じ時期に募集が並ぶ、というだけです。
仕組みを知っておけば、いつ動いても慌てずに済みます。

  • 期初に向けた増員/新しい期の計画が固まると、必要な人数が確定して募集が出ます
  • 異動の発令後に確定する欠員/社内で埋められなかった枠が、外部の募集に回ってきます
  • 賞与の支給後に出る退職/受け取ってから辞める人が多いため、その補充が動きます
  • 年度の予算が決まるタイミング/採用にかけられる金額が確定して、初めて求人を出せる会社もあります

この4つが重なるので、年明けから春先と、夏の終わりから秋にかけて求人が増えやすいといわれています。
ただ、傾向の話です。
業界によってずれますし、欠員の補充はいつでも突然出てくるものです。
自分の業種で本当に波があるのかは、厚生労働省が毎月出している職業安定業務統計で確かめられます。

転職の時期を考える

増える時期は、応募する人も増える

求人が増える時期を狙う考え方には、見落とされやすい裏側があるんです。
同じ情報を見て動く人も増えるので、一つの求人に集まる応募者の数も一緒に増えるんです。

選考にかかる期間も、この時期は面接の枠が埋まりやすく、社内で候補者を比べる時間も必要になるので、ふだんより長くなりがちです。
早く決めたい人には、かえって不利に働くこともあるかもしれません。

逆に、募集が少ない時期は、選択肢が減るかわりに競争相手も減るので、一人ひとりの書類を丁寧に読んでもらえる可能性は、むしろこちらのほうが高いかもしれません。
有利な面と不利な面がおおむね打ち消し合うので、時期そのもので勝負を決めようとしないほうがいいと思います。

賞与と退職金だけは、日付で決まる

例外はここです。

金額が制度で決まっているものは、辞める日をずらすだけで、手元に残る額が変わってきます。

制度日付が効く理由確認する場所
賞与支給日に在籍していることを条件にしている会社が多い就業規則の賞与に関する規定
退職金勤続年数の区切りで支給率が変わる仕組みが一般的退職金規程の勤続年数の表
年次有給休暇付与日を過ぎると、その年の日数が増える入社日から数えた付与のタイミング
住宅手当などの補助月の途中で退職すると日割りや不支給になることがある給与規程の支給条件

大事なのは、一般論ではなく自分の会社の規定を見ることで、支給日在籍の条件がない会社もありますし、退職金の区切りが何年目にあるかも会社ごとに違います。
調べるのに30分もかからないので、退職日を決める前に一度開いてみてください。

▶ 退職日を決める前に開く、就業規則の3か所
賞与の規定。支給日に在籍していることが条件になっているかどうか。
退職金規程。勤続何年で支給率が変わるのか、いま自分は何年目か。
有給休暇の付与日。次の付与まで何か月あって、残っている日数は何日か。
この3つを見てから、退職を切り出す月を決めると損をしにくくなります。

自分の締切の決め方

締切がないと、ペースが決まりません。
「いつまでに決めるか」を先に置くと、何社に出すかも、いつ辞めると伝えるかも、自然と決まってきます。

締切の起点になるものは、だいたい次の3つです。
このうち、自分にとっていちばん動かせないものを基準にしてみてください。

起点締切の置き方向いている人
いまの職場で我慢できる限界その時期から逆算して、応募の開始を決める現職の負担が理由で動く人
制度の区切り賞与や有給の付与日を過ぎた直後に退職日を置く金額の損得を抑えたい人
生活の予定引っ越しや家族の予定に合わせて入社日を決める転居や同居の予定がある人

締切さえ決まれば、逆算はそれほど難しくありません。
入社したい月から、退職の申し出に必要な期間と、選考にかかる期間を引いていけば、応募を始める時期が出てきます。
退職の申し出の期限は就業規則で決められていることが多く、1か月から2か月前を求める会社が目立ちます。
選考のほうは、書類選考から内定まで1社あたり数週間を見ておけば、大きくは外れないでしょう。

たとえば10月1日に入社したいなら、退職の申し出に1か月、選考に2か月ほど見ておくとして、応募を始めるのは6月ごろになります。
ここに書類を準備する時間を足すと、5月には職務経歴書に手をつけておきたい、という計算ですね。

在職中と退職後で、時期の意味が変わる

同じ「タイミング」という言葉でも、在職中と退職後では指しているものが違います。
ここを混ぜて考えると、判断がぶれてしまうんです。

在職中は選べます。
収入が続いているので、納得できる会社が出てくるまで待てるのが強みです。
そのかわり、面接の時間を作りにくいので、活動そのものは長引きがちです。

退職後は逆ですね。
時間はいくらでも取れますが、締切は貯金のほうからやってきます。
自分で決めた締切ではないぶん、焦りが判断に混ざりやすいんですよね。
退職してから動くと決めているなら、生活費の何か月分を活動に充てられるかを、先に数えておくと安心です。

締切から逆算して計画を立てる

動き出さないほうがいい時期

時期を選ぶ意味がある場面も、少しだけ存在します。
次のような状況なら、少し待ってからのほうがうまくいきやすいでしょう。

■ いま始めると、途中で止まりやすいとき
● 現職の繁忙期のただ中 ── 引き継ぎの計画が立てられず、退職日が希望より後ろへずれ込みます。
● 担当している案件の終盤 ── 辞めると決めても抜けられず、面接の日程が組めなくなります。
● 評価や昇給の結果が出る直前 ── 結果を見てからでも遅くありませんし、条件の交渉材料にもなります。

ただ、この話が当てはまらない場面もあります。
心身の消耗です。

そういうときは、時期を待つ判断のほうが危ないと思います。
疲れきった状態では、転職先を選ぶ基準までゆがみやすいものです。
先に休むか、辞めるかを決めてしまって構いません。
順番としては、体を戻すのが先で、次を決めるのはそのあとでいいはずです。

時期だけが過ぎていくとき

転職したい気持ちはあるのに、1年たっても動けていない人も多いのではないでしょうか。
この場合、待っているのは時期というより、決めるための材料のほうかもしれません。

動けない理由は、だいたい3つのどれかです。
条件を言葉にできていないか、平日に時間を作れないか、決めること自体を先送りしているか。
どれなのかが分かれば、次の一手も見えてきます。

■ 応募しなくても、いま進められること
● 職務経歴書を1本書き上げる ── 応募の直前に書くと、時間がなくて雑になります。
● 譲れない条件を3つに絞る ── 全部を満たす求人は出てこないので、優先順位が必要です。
● 就業規則を読む ── 退職の申し出の期限と、賞与や退職金の条件を先に把握しておきます。
● 面接に出せる曜日と時間帯を数える ── ここが月に2日しかないなら、応募のペースはそれで決まります。
▶ 年齢とライフイベントから考える場合
カレンダーではなく年齢や結婚・出産の予定から迷っているなら20代女性の転職、いつ動く?タイミングとキャリアの考え方のほうが近い話をしています。

よくある質問

■ 賞与をもらってから辞めるのは、印象が悪くなりませんか

受け取ってから退職を申し出る人は珍しくないので、それだけで角が立つことはあまりないと思います。
気になるなら、引き継ぎの計画を先に用意してから切り出してみてください。
お金の話ではなく段取りの話として持っていくと、受け取られ方がずいぶん変わります。

■ 年度末に退職を切り出すのは、避けたほうがよいですか

避ける理由があるとすれば、印象より引き継ぎの都合のほうでしょう。
期末は職場が忙しく、後任を立てる余裕もないので、退職日が延びやすいでしょう。
どうしてもその時期になるなら、申し出をいつもより早めにしておくと調整がききます。

■ 転職活動には、どれくらいの期間がかかりますか

人によって差が大きいので、月数で覚えるより段階で見たほうが役に立ちます。
書類の準備、応募から書類選考、2〜3回の面接、内定後の条件確認と、それぞれに数週間ずつかかります。
在職中で面接の枠を月に数回しか作れないなら、そのぶん全体が延びると考えておきましょう。

■ 「いまは時期が悪い」と言われたら、待つべきですか

相手によります。
いまの職場の上司なら、引き止めの一つである可能性も考えておくのが自然です。
紹介会社の担当者なら、扱っている求人の状況のことを言っている場合が多いので、具体的に何がどう悪いのかを聞いてみてください。

まとめ

求人が増える時期は、たしかに存在します。
でも、そこには応募する人も集まってくるので、月を狙う意味はそれほど大きくありません。

先に決めたいのは、いつまでに次を決めるかという自分の締切です。
締切が決まれば、応募を始める時期も、退職を切り出す月も逆算で出てきます。
例外は賞与と退職金と有給の付与日で、ここだけは日付そのもので手元に残る額が変わるので、退職日を決める前に就業規則の3か所を開いてみてください。

動けないまま時間が過ぎているなら、待っているのは時期より、決める材料のほうかもしれません。

▶ 退職を切り出すときの順番
誰に何をどの順で伝えるか、引き止めにどう対応するかは退職の伝え方・円満退職のマナーとタイミングにまとめてあります。