鉄分が足りているかを確かめる方法|健診で見ている項目と、見ていない項目

鉄分が足りているかを確かめる方法|健診で見ている項目と、見ていない項目

鉄が足りているかどうかは、体調を振り返るだけでは決められないものです。健診の結果でどこまで分かって、どこからが分からないのか。その線を引いていきます。

一般的な健診で分かるのは「いま貧血になっているか」までで、体に鉄がどれだけ蓄えられているかまでは分かりません。
蓄えのほうを見るには、フェリチンという別の項目が必要になってきます。
そしてこの項目は、標準的な健診のセットに入っていないことが多いんです。
つまり「貧血なし」と言われた経験は、鉄が十分だという確認にはなっていません。

鉄を含む食品を選ぶイメージ

食事を見直すより先に、相談したほうがいい変化

次のような変化があるなら、鉄が足りているかを考えるより先に医療機関で相談してください。

  • 階段や坂道で以前より息が上がる、動悸がする
  • 立ちくらみやめまいの回数が増えた
  • 経血の量が明らかに増えた、あるいは期間が長引いている
  • 黒っぽい便が出た、便に血が混じった
  • だるさが1か月以上続いていて、休んでも戻らない

鉄が減っているとき、本当の問題は「減っていること」ではなく「なぜ減ったか」のほうにあります。
とくに消化管からの出血は、本人が気づかないまま続くことがあるんです。
市販のもので数値だけを埋めてしまうと、そちらの発見が遅れてしまうかもしれません。
順番としては、原因を確かめるのが先でしょう。

健診の「貧血なし」が指している範囲

一般的な健診の血液検査に入っているのは、ヘモグロビンの濃度や赤血球の数です。
これらは、酸素を運ぶ仕事がいま足りているかどうかを見るための項目なんです。
言いかえると「いま困っているか」を測っているわけで、蓄えがどれだけ残っているかという話はここに含まれていないんです。
健診の目的が病気の早期発見にある以上、これは不足ではなく設計だと言えます。
標準の健診に何が入っているのかは、厚生労働省の特定健康診査の検査項目に一覧があります。

働いている鉄と、しまってある鉄

体の中の鉄は、大きく2つの置き場に分かれています。
ひとつは赤血球のヘモグロビンとして実際に働いている鉄で、もうひとつは肝臓などにしまってある鉄です。
しまってあるほうの量は、フェリチンという値からおおよその見当をつけます。
そして減るときには、しまってあるほうから先に取り崩されていきます。

▶ 鉄が減っていく順番
1. しまってある鉄が減りはじめる(この段階では健診に出てこない)
2. 血液を作るための材料が細りはじめる
3. ヘモグロビンの値が下がり、はじめて「貧血」と呼ばれる
※ 3にたどり着いた時点では、1はかなり前から進んでいる

この順番が、健診の結果と体感がずれる理由になっています。
蓄えが目減りしている段階でも、ヘモグロビンはまだ基準の範囲に収まっていることが多いからです。
逆に言えば、基準の中にあるという事実だけでは、蓄えの状況までは読み取れないでしょう。

食事の内容より先に見たほうがいい場面

鉄が減る理由は、食べているものの中身だけとはかぎりません。
出ていく量が多い、あるいは必要な量そのものが増えている。そういう場面のほうが、食事の偏りより大きく効くことがあります。

  • 月経がある場合は、毎月まとまった量が体の外へ出ていく
  • 妊娠中や授乳中は、必要な量そのものが増える
  • 成長期は、体が大きくなる分だけ使う量が増える
  • 献血を短い間隔で続けている
  • 走る競技を長く続けている(汗や衝撃による損失が重なる)
  • 胃腸の手術を受けた、または胃酸を抑える薬を長く飲んでいる

こうして並べてみると、献立を組み替える前に確かめておくべきことがあると分かります。
とくに上の3つは、本人が意識していなくても毎月・毎日そこにある条件です。
同じ食事を続けていても、条件のほうが変われば足りるかどうかは変わってきます。
心当たりが複数あるなら、そこを伝えたうえで検査を相談したほうが早いと思います。

症状の当てはまりで決められない理由

だるさ、立ちくらみ、冷え、集中しにくさ。
たしかにどれも鉄が足りないときに出てくる変化ですが、鉄以外の理由でも同じように出てきます。
睡眠の不足、甲状腺の働き、気分の落ち込み、水分の不足、ほかの栄養素の不足。
表に出る形が似ているので、症状の一致だけで原因までは絞り込めないんです。

■ チェックリストの当てはまりを結論にする
「3つ以上当てはまったら鉄不足」という形の見出しは、当てはまる人が多くなるように作られていることがあります
当てはまったという事実は、鉄という話題にたどり着いた入口にすぎません
入口と結論を同じものとして扱わないほうが、遠回りになりにくいと思います

食事から摂るときの考え方

食品に含まれる鉄は、取り込まれ方の違いで2つに分けられます。
肉や魚に多いヘム鉄は、そのままの形で取り込まれやすいと言われています。
一方、野菜や豆、海藻に多い非ヘム鉄は、一緒に何を食べたかに左右されます。

種類多く含む食品取り込まれ方
ヘム鉄赤身の肉、レバー、かつお、まぐろまわりの条件の影響を受けにくい
非ヘム鉄大豆製品、小松菜、ひじき、卵同時に摂ったもので変わる

非ヘム鉄は、ビタミンCや果物の酸と一緒だと取り込まれやすくなるとされています。
食後のお茶で吸収が落ちるという話も広く知られていますが、ふだんの食事の範囲であれば影響は限られるという見方が一般的です。
お茶を控えることに気を取られるより、鉄を含む食品が毎日の食卓に出ているかを見たほうが早いでしょう。

▶ 献立を組むときの目安
▶ 主菜に肉か魚を置く日を、週の半分以上つくる
▶ 大豆製品や緑の濃い野菜を、副菜の枠に固定する
▶ 果物や野菜のビタミンCを、同じ食事のなかに入れる
▶ 朝食を抜く日が続いていないかを、まず確認する

サプリメントを足す前に確かめたいこと

鉄は、多く摂るほどよい栄養素ではありません。
摂りすぎれば胃のむかつきや便通の変化が出ることがありますし、体は余った鉄を捨てるのがあまり得意ではないんです。
足すという判断は、足りないと分かってから下すもので、疑った時点で下すものではないと考えています。

▶ 足す前の3つの確認
1. 直近の健診でヘモグロビンがどうだったか(手元の結果票で確認できる)
2. 減る原因に心当たりがあるか(月経、出血、食事量の減少、成長期、献血の頻度)
3. すでに飲んでいるものと重なっていないか(複数の製品で同じ栄養素が重複しやすい)

妊娠中や授乳中の方、持病があって薬を飲んでいる方は、自己判断で足さないでください。
鉄を含む製品には、飲み合わせで作用が変わるものもあるんです。
かかりつけがある場合は、店頭で選ぶ前にひと言相談したほうが早いと思います。

食品として摂るという選択肢

検査の結果を踏まえたうえで、日々の食事に何かを足したいと考える場合もあると思います。
その場合に見るのは、含まれる量と、続けられる形かどうかの2点でしょう。
種類の多さや宣伝の強さは、判断の材料にはならないと考えています。

続けられる形かどうか、というのは意外と大きな条件です。
錠剤が飲みにくい方もいれば、飲み物なら続くという方もいます。
味や手間が合わないものは、どれだけ中身がよくても3日で棚の奥へ行ってしまいますよね。
量の確認と同じくらい、自分の生活に置けるかどうかを見ておくといいと思います。

▶ 表示の読み方から確かめたい方へ
健康食品のラベルで、どこを見れば量が分かるのかは「◯種類の栄養素」表示の読み方|種類数は量を意味しないにまとめています。

よくある質問

健診で貧血と言われなければ、鉄の心配はいりませんか

その結果が示しているのは、いま酸素を運ぶ力が足りているという点までです。
蓄えの状況は別の項目になるので、心配がないと確定したわけではありません。

フェリチンはどうすれば測れますか

医療機関で相談すれば、必要と判断された場合に検査に加わります。
症状や経過を伝えたうえで、測るかどうかを決めてもらう形になるでしょう。

鉄のサプリメントは毎日飲んでも大丈夫ですか

製品ごとに含まれる量が違うので、一律には言えません。
表示された目安量を超えないこと、そして他の製品と重複させないこと。この2点は共通します。

食事だけで足りるものですか

必要な量は年齢や体の状況で変わるため、足りるかどうかは人によります。
ただ、食事の内容を見ずにサプリメントだけ足しても、土台のほうは動かないままです。

鉄剤を処方されたら、いつまで飲むものですか

期間は医師の指示に従ってください。
ヘモグロビンの値が戻っても、しまってある鉄が戻るまでには時間がかかるため、そこから先も続ける形になることがあります。

健診の結果票は、どのくらい取っておくといいですか

2〜3年分そろえておくと、値が動いている向きのほうが見えてきます。
1回の数値だけでは基準の内か外かしか分かりませんが、並べれば下がり続けているのかどうかが読めます。
相談に行くときも、この数枚があると話が早く進みますよ。

コーヒーや紅茶は控えたほうがいいですか

食事のたびに神経質になるほどの話ではないと思います。
気になるなら食事と少し時間をずらす程度で十分で、それより食卓の中身のほうが効いてきます。

鉄の鍋を使うと鉄が摂れると聞きました

調理中に鍋から溶け出す分はあるとされていますが、量は条件によって大きく振れます。
狙って計算できるものではないので、食材のほうを主に考えたほうが確実でしょう。

立ちくらみが続くときは、どこに行けばいいですか

まずは内科で構いません。
月経に関わる心当たりがあるなら婦人科でもよく、健診の結果票を持って行くと話が早くなります。

まとめ

鉄が足りているかどうかは、鏡でも体調の記憶でも判断できないものです。
健診で見ているのは「いま貧血か」までで、蓄えの残りまでは見ていないんです。
だから、疑った段階で足すのではなく、確かめてから足す。この順番だけは崩さないほうがいいと思います。
そして減っていた場合に本当に大事なのは、減った理由のほうです。

▶ 不調の切り分けから始めたい方へ
原因を鉄に絞りきれていない段階なら、「なんとなく不調」を4つに分ける|受診の線引きと2週間の記録から読むほうが近道です。
▶ 鉄を食品から足すことを考えている方へ
検査の結果を踏まえたうえで選ぶなら、鉄分が気になって豊潤サジーを見ている方へ|確かめる順番と、食品にできることに条件をまとめました。