髪のダメージケア|正しいシャンプー・ドライの手順
髪のダメージケア|正しいシャンプー・ドライの手順
守りたいのは、濡れているあいだの髪です。
シャンプーも乾かし方も、手順の背骨になっている考え方はひとつで、髪がいちばん弱くなるのは濡れているあいだなので、その時間をどう扱うかで仕上がりが変わってくる、ということです。
洗う順番も乾かす順番も、そこから逆算すると理由がつながってくるでしょう。
前提がもうひとつ。
すでに傷んでしまった部分は、ケアで元どおりにはならないんです。
ですから手を入れる先は、まだ傷んでいない部分のほうになるでしょう。
傷んだ髪が元に戻らない理由
髪の毛は、頭皮から外に出た時点で細胞としての活動を終えています。
皮膚のように新しく作り替わることがないので、いちど受けた傷みはそのまま残り続けるわけです。
すり傷なら数日で塞がりますが、髪にはその仕組みがなく、ここが肌のケアと髪のケアで話がずれてくるところなんです。
ケアの目的も変わります。
傷んだところを戻すのではなく、これ以上の傷みを増やさないことが本筋になるからです。
そして傷みが集中しているのは、いつも毛先のほうでしょう。
毛先は根元より長く生きてきた部分なので、受けてきた回数がそもそも違うんですね。
髪が伸びる速さは、ひと月におよそ1cmが目安として挙げられることが多いようです。
● 計算式 ── 根元からの長さ(cm)÷ 1cm = その部分が生えてからの月数
● 肩につく長さ(およそ25cm) ── 毛先はおよそ2年前の髪
● 胸のあたり(およそ40cm) ── 毛先はおよそ3年前の髪
つまり毛先は、その年月ぶんのシャンプー・乾燥・摩擦・紫外線をすべて受けてきた部分です。
根元と毛先に同じケアを均等に配ると合わなくなるのは、ここに理由があります。
このあと出てくる手順は、どれも毛先の負担を減らす方向に寄っていて、地肌を洗うのも根元から乾かすのも、結果として毛先を触る回数が減るからです。
髪がいちばん弱いのは濡れているあいだ
髪の表面は、うろこ状に重なった層で覆われていて、この層が水を含むと開いた状態になるので、濡れているときは外からの力に弱くなります。
さらに濡れた髪同士は絡みやすく、その状態でこすれば削れる場所が増えていきます。
自然乾燥がすすめられない理由も、突き詰めればここでしょう。
弱い時間を、わざわざ延ばしているわけです。
| 場面 | 髪の状態 | やりがちなこと | 代わりにすること |
|---|---|---|---|
| 洗っているあいだ | 水を含んで最も弱い | 頭の上で泡立てて髪同士をこする | 泡を手で作ってから地肌に置く |
| タオルで拭くとき | 摩擦の影響が最も出やすい | ごしごしこすって水気を取る | タオルではさんで押さえる |
| 拭いたあと | 弱い時間が延びていく | スマホを見ながら自然乾燥 | 先に乾かしてから休む |
| 乾かしているあいだ | 熱と乾かしすぎの負担 | 一か所に当て続ける | 手を動かしながら根元から |
表にすると、傷みが増える場面がだいたい濡れている時間に集まっていると分かります。
洗い方や商品より先に、この時間をどう短くするかを考えたほうが早いかもしれません。
抜け方や地肌そのものに変化が出ているなら、日本皮膚科学会の情報で受診の目安を確かめておいてください。
シャンプーの手順
まずは順番です。
迷いやすい2つの工程は、そのあとで補足します。
- お湯だけで1〜2分流す ── 汚れの多くはここで落ちるので、洗剤の量も摩擦も減らせます
- シャンプーは手のひらで泡立ててから ── 原液を頭に置くと、その一点だけ濃くなってしまいます
- 指の腹で地肌を動かすように洗う ── 爪を立てず、髪をこすり合わせないようにします
- すすぎは洗った時間より長く ── 生え際・耳のうしろ・襟足はとくに残りやすい場所です
- トリートメントは中間から毛先へ ── 地肌につける必要はありません
- 浴室を出る前に水気を切る ── 手で軽く絞るだけでも、あとの時間が短くなります
洗うのは髪ではなく地肌
シャンプーは、髪の汚れを落とすためというより、頭皮の皮脂を落とすためのものです。
毛のほうは、泡が通れば足ります。
髪を泡でごしごし洗う動きは、汚れを落とす効果より摩擦の害のほうが大きくなりがちでしょう。
量を増やしても泡立たないときは、量ではなく予洗いが足りていない場合が多いんです。
いちばん時間をかけるのはすすぎ
洗う時間とすすぐ時間を比べると、後者が短くなっている方は多いと思います。
ただ、すすぎ残しは頭皮のかゆみやべたつきにつながりやすいところです。
洗った時間の倍を目安に、指を入れながら流してみてください。
このとき熱すぎるお湯を使うと必要な皮脂まで落ちるので、ぬるめで構いません。

乾かし方で差がつく3つの分岐
ドライヤーの当て方には細かい流儀がいろいろありますが、結果に効くのはこの3つでしょう。
- タオルは「こする」ではなく「はさむ」 ── 髪をタオルで包み、上から押さえて水を移します
- 乾かす順番は根元から ── 根元が乾くころには、毛先は自然に半分ほど乾いています
- 8割乾いたら冷風へ切り替える ── 最後まで温風で追うと、乾かしすぎの側に振れてしまいます
毛先から乾かすと、根元が乾き終わるころには毛先だけ乾きすぎた状態になるので、順番を逆にするだけで熱が当たる時間が変わり、道具を買い替えるより先に試す価値は十分あると思います。
距離はおおよそ手のひら1枚半、20cmほど離すとちょうどいい具合になるでしょう。
そして同じ場所に留めず、ドライヤーのほうを小刻みに振り続けるのがコツです。
● 途中でやめてしまう ── 半乾きは、弱い状態のまま夜を過ごすことになります。
● 風だけ強くする ── 風量は味方ですが、髪が絡まる向きに当たると逆効果です。
● 下から上へ当て続ける ── 表面の層が逆立つ向きなので、上から下へ流すほうが手触りは整います。
● 乾かす前に何もつけない ── 熱から表面を守る目的の商品は、ここで使うのが本来の出番です。
摩擦が起きている場所
手順を整えても、生活のなかで削られていれば追いつかないものです。
思い当たるものがないか、一度並べて確かめてみてください。
- 濡れたまま寝る ── 弱い状態のまま、枕の上で何時間もこすれ続けます
- 寝返りと枕 ── 起きたとき毛先だけ広がるなら、寝ているあいだの摩擦が疑われます
- ブラッシングの向き ── 根元から一気に通すと絡んだ部分を引きちぎることになります
- 結ぶ位置がいつも同じ ── ゴムの当たる一点に負担が集中していきます
- リュック・襟・マフラー ── 背中の長さで切れている場合、原因はケアの外にあります
ブラッシングは、毛先を少しずつほぐしてから上へ移っていく順番が基本です。
絡まりは下で起きているので、上から力をかけると結び目を締めるだけの動きになりかねません。
この順番はドライヤーの前後どちらでも同じで、濡れているときはとくに慎重に扱ってください。
ヘアアイロンと熱の付き合い方
アイロンは仕上がりが一瞬で変わります。
そのぶん、負担も一瞬でかかる道具です。
とくに気をつけたいのが、濡れた髪や半乾きの髪に当ててしまうことでしょう。
内側に残った水が急に熱せられるので、乾いた髪に当てるのとは別のことが起きてしまいます。
温度は、高いほどきれいに決まるわけではなく、低めの温度でゆっくり通すほうが、高温で何度も往復するより結果的に負担は軽くなるものです。
同じ場所を繰り返し挟むのは避けて、一度で決まらなければ翌日に回すくらいで構いません。
毎日使っている方は、使わない日を週に一日でも作ってみてはいかがでしょうか。
商品にできることと、できないこと
シャンプーやトリートメントは化粧品なので、できることの範囲があらかじめ決まっているんです。
この線が分かっていると、商品を選び直すべき場面かどうかも判断しやすくなるでしょう。
| 期待できること | 期待できないこと |
|---|---|
| 表面を覆って手触りを整える | 傷んだ部分が元の状態に戻る |
| 指通りがよくなり絡まりにくくなる | 枝毛や切れ毛がくっつく |
| 乾燥や摩擦から表面を守る | 髪そのものが太くなる |
| 広がりが収まって見える | 使い続けるほど髪が強くなる |
左の列は、どれも「見え方と手触りを整える」方向にそろっていますが、これは商品の力不足ではなく、化粧品という枠がそういう設計になっているためです。
ですから、値段の高いものに変えても傷みが戻ることはありません。
選ぶときの基準は効果の強さではなく、自分の髪質と洗い上がりが合うかどうかになります。
それでも切れ毛や抜け毛が急に増えた、地肌に痛みやかゆみが続くという場合は、話が別です。
頭皮側のトラブルや体調が背景にあることもあるので、皮膚科で相談したほうが確実でしょう。
髪を作っているのは体の内側
ここまでは、すでに生えている髪をどう守るかという話でしたが、これから生えてくる髪の材料のほうは、毎日の食事から来ています。
極端な食事制限をしている時期に髪の調子が落ちるのは、材料が足りていないからでしょう。
外側のケアと内側の話は、担当している範囲がそもそも違うわけです。
髪も肌も同じ材料から作られています。栄養の考え方は美容と食事|栄養バランスの基礎知識 で詳しく扱っています。
よくある質問
シャンプーは毎日したほうがいいですか
皮脂の量や汗のかき方によるので、一律の正解はありません。
夕方に地肌がべたつく、汗をかく仕事という方は毎日で構わないでしょう。
乾燥やかゆみが出るなら、回数より洗い方とお湯の温度を先に見直してみてください。
自然乾燥はやはり悪いですか
乾かしたほうがいい場面が多いです。
濡れている時間が長いほど摩擦に弱い状態が続きますし、地肌が蒸れた時間も長引きます。
ドライヤーの熱を心配される方もいますが、半乾きで過ごす時間のほうが負担は大きくなりがちです。
トリートメントは地肌にもつけたほうがいいですか
一般的なトリートメントは、髪の表面に働くよう設計されたものです。
地肌につけてもそのぶんの効果があるわけではなく、すすぎ残しの原因になりやすいところです。
頭皮向けの商品はそれ用に作られているので、用途に合わせて使い分けてください。
枝毛はケアで元に戻りますか
裂けた部分はくっつきません。
商品によって一時的にまとまって見えることはありますが、状態が戻ったわけではないんです。
裂け目は上へ進んでいくことがあるので、気になる部分は切ってしまうほうが早いでしょう。
高いシャンプーほど効果がありますか
価格と相性は別です。
洗浄力の強さも、地肌の状態によっては強すぎることがあります。
いくつか試すなら、変えたあと2週間ほどは同じものを使って、洗い上がりを比べてみてください。
濡れたまま寝てしまった翌朝はどうしますか
いちど根元を軽く濡らしてから、乾かし直すと形が戻りやすくなります。
乾いた状態のまま無理にブラシを通すと、寝ているあいだの絡まりを引きちぎることになってしまいます。
そのうえで、翌日から乾かしてから寝る側に戻していけば十分です。
まとめ
髪のケアは、傷んだ部分を戻す作業というより、まだ傷んでいない部分をどれだけ長く守れるかという話で、そのために効くのが、濡れている時間を短く静かに扱うことでした。
手順として持ち帰るなら、3つで足りるはずです。
泡は手で作って地肌を洗う、すすぎを長く取る、根元から乾かして8割で冷風に切り替える、の3つです。
商品を替えるのは、そのあとでも遅くありません。
肌のほうの手順を確認したい方は正しいスキンケアの手順とありがちな間違い もどうぞ。


