自宅コーヒーをカフェの味にする方法|挽き方・お湯の温度・蒸らし

自宅コーヒーをカフェの味にする方法|挽き方・お湯の温度・蒸らし

店との差がどこで生まれているかを分解して、効き目の大きい順に手を入れていく形でまとめました。

自宅の一杯が店に届かないとき、原因を道具に求めたくなるものです。
ただ、家庭と店のあいだにある差をひとつずつ並べてみると、いちばん大きいのは器具ではありません。
差を作っているのは、豆の鮮度と、挽いてから淹れるまでの時間のほうなんです。
この2つは、お金をかけなくても今日から変えられるところなんです。
ですから道具を買い足すのは、いちばん最後で構いません。

店との差を分解する

まず、何がどれくらい効いているのかを見てみましょう。
家庭でよく起きていることと、店でふつうに行われていることを並べると、差の正体がはっきりします。

要素家庭で起きがちなこと店でふつうに行われていること味への効き目
豆の鮮度焙煎から数週間たっている数日以内のものを回しているとても大きい
挽くタイミング買ったときに挽いてもらった粉抽出の直前に挽く大きい
お湯の温度沸騰したてを注いでいる一定の温度に落としている中くらい
蒸らし省略するか、時間がばらつく必ず一定の時間を取る中くらい
器具家庭用のドリッパー業務用の設備小さい

この表でいちばん伝えたいのは、いちばん下の行です。
器具の差は、上の4つに比べればずっと小さいと考えていいでしょう。
高いドリッパーを買っても、焙煎から1か月たった豆を使っていれば届きません。
逆に言えば、上から順に手を入れていくほうが、少ない出費で差を詰められるということです。

いちばん効くのは鮮度

コーヒーの香りは、焙煎した瞬間から少しずつ抜けていきます。
密閉して冷暗所に置いても、その流れそのものを止めることはできません。
ですから「保存を工夫する」より「新しいものを少しずつ買う」ほうが、結果はずっと素直です。

▶ 買う量を決める計算
2週間で飲み切る量 = 1日に飲む杯数 × 14 × 12g
1日1杯なら ── およそ170g。200gの袋がちょうどよい計算になります。
1日2杯なら ── およそ340g。それでも500gの袋は多すぎます。
週末だけ飲むなら ── 100gの小さい袋を選んでください。
安いからと大袋を買うと、後半の数杯は香りが落ちた状態で飲むことになってしまいます。

買う量と同じくらい、買う場所も一度見直してみる価値があります。
焙煎日を書いている店なら、いつ焼かれた豆かがその場で分かるからです。
書かれていない袋は、何か月前のものかを判断する手がかりがありません。
ここを変えるだけで、器具をひとつ買い足すより大きな変化が出ることがあるんです。
豆そのものがどう作られてくるかは、全日本コーヒー協会の基礎知識にまとまっています。

▶ 焙煎したての豆を試したい方へ
在宅の合間に飲む人向けのお試しセットはこちらの記事 で紹介しています。
自宅コーヒーをカフェの味にする方法|挽き方・お湯の温度・蒸らし

挽いてからの時間を短くする

粉にすると表面積が一気に増えるので、香りが抜ける速さも変わります。
豆のままなら2週間ほど楽しめるものが、粉だと数日で印象が変わってしまうんです。
店で挽いてもらった粉を1か月かけて飲んでいるなら、まずここが差の正体でしょう。

ミルを買うかどうかを決めるのは、そのあとで構いません。
買う量を減らして、粉のまま1週間で使い切る形にするだけでも効果はあります。
それでも物足りなくなったときに、手回しのミルから始めてみてください。
電動でなくても、飲む直前に挽くという条件さえ満たせば香りは十分に立ちます。

お湯の温度を一定にする

沸騰したてのお湯をそのまま注ぐと、苦みやえぐみが出やすくなります。
90度前後まで落とすのが目安ですが、温度計がなくても方法はあります。

  • 沸かしてから1分置く ── 室温にもよりますが、だいたいこのくらいで落ち着きます
  • 別のポットに移し替える ── 移すあいだに数度下がります
  • カップとドリッパーを温めておく ── 注いだあとの温度低下を防げます
  • 毎回同じ手順にする ── 測るより、そろえるほうが再現しやすくなります

ただし温度を下げすぎると、今度は成分が出きらずに薄い一杯になってしまいます。
湯冷ましのつもりで5分も置いてしまうと、物足りない一杯になってしまうでしょう。
待ち時間を決めて、それを毎回守るのがいちばん簡単な管理方法です。

蒸らしの30秒が変えるもの

粉全体にお湯を含ませて少し待つ工程が、蒸らしです。
ここで豆のなかに残っているガスが抜けて、そのあとのお湯が粉の内側まで届くようになります。
蒸らしを省くと、お湯が表面だけを通り抜けて、味の出方にむらが生まれてしまいます。

注ぐ量は、粉の重さと同じくらいを目安にしてください。
粉20gなら40gほどのお湯を、中心から静かに置くように注ぎます。
そこから30秒待って、粉全体が湿っていれば成功です。
この30秒を毎回入れるだけで、同じ豆でも輪郭がはっきりしてくると思います。

道具を買い足す順番

ここまでやって、それでも物足りないなら道具の出番です。
ただし順番があって、上から順に効き目が大きくなっています。

  1. はかり ── 粉とお湯の量をそろえる土台になります。これがないと再現できません
  2. 細口のポット ── 注ぐ勢いが安定して、狙った場所に落とせるようになります
  3. ミル ── 挽きたての香りが手に入ります。手回しでも構いません
  4. 温度が設定できるケトル ── 管理は楽になりますが、なくても代用できます
  5. ドリッパーの買い替え ── 形による違いが分かるようになってからで十分です

下の2つは、上の3つがそろってから考えてください。
違いが分からない段階で高い器具を買っても、その差を受け取れないからです。
順番を守れば、少ない出費で店との距離をかなり縮められると思います。

器具を変えずにできる、あと2つの調整

ここまでの4つを守ってもまだ物足りないなら、費用のかからない調整があと2つあります。
どちらも道具ではなく、注ぎ方と量の話です。

ひとつめは、注ぐ回数を増やすことです。
お湯を一度に全部落とすと、粉の層が崩れて味の出方にむらが生まれてしまいます。
3回に分けて、そのつど落ちきるのを待ってから次を注ぐと、輪郭がはっきりしてくるはずです。

もうひとつは、出来上がりの量を決めておくことです。
カップに入る量ではなく、サーバーの目盛りで止めるという意味になります。
最後まで落としきると雑味が混ざるので、狙った量に届いた時点でドリッパーを外してください。
この2つは器具を買い替えるより先に試せて、しかも毎回の再現性まで上がります。

日によって味が違う理由

同じ豆を同じように淹れているのに、日によって印象が変わることがあります。
これは腕の問題ではなく、条件のほうが動いているせいです。

  • 焙煎からの日数 ── 買った直後と2週間後では、同じ豆でも別の顔になります
  • ── 地域や浄水器の有無で味は変わります。同じ水を使うと比べやすくなります
  • 器具の温度 ── 冬の朝と夏の昼では、注いだあとの温度が違います
  • 粉の量のばらつき ── 目分量だと2gから3gは動いてしまいます
  • 体調 ── 味の感じ方そのものが変わる日もあります

このうち自分で管理できるのは、上から4つ目までです。
とくに水と粉の量は、意識するだけでそろえられます。
条件をそろえたうえでまだ変わるなら、それは豆が変化している証拠でしょう。

▶ 手順そのものを固めたい方へ
温度と粉の量と時間の合わせ方はコーヒーの淹れ方の基本|ハンドドリップで美味しく淹れるコツ にまとめました。

それでも届かないと感じたら

条件をひととおりそろえても、記憶のなかの一杯に届かないことはあります。
そういうときは、味そのものではなく、比べている相手のほうを疑ってみてください。

店で飲む一杯には、そのときの空気や休憩している時間まで含まれています。
同じ液体を家で飲んでも、条件が違うぶん印象が変わるのは自然なことでしょう。
ですから完全に同じ味を目指すより、自分の家で気持ちよく飲める一杯を作るほうが現実的だと思います。

それでも近づけたいなら、豆の種類を店に合わせてみるという手があります。
気に入った店で豆を買えるなら、それがいちばん確実な近道になるはずです。
焙煎度と産地を控えておいて、同じ条件の豆をほかの店で探すという進め方もできます。

よくある質問

カフェの味に近づけるには何から始めればいいですか

買う量を減らして、焙煎日の近い豆を選ぶところからです。
道具を買い足すより先に、ここを変えるほうが変化を感じやすいと思います。
それでも足りなければ、挽きたてにする方向へ進んでください。

手動のミルでも十分ですか

飲む直前に挽くという条件を満たせるなら、手動でも十分です。
1杯ぶんなら1分ほどで挽き終わりますし、粒の粗さも調整できます。
毎日何杯も淹れる方や、時間に追われる朝が中心の方は、電動のほうが続くでしょう。

ドリップの挽き目はどのくらいがいいですか

ハンドドリップなら、中細挽きが基準になると考えてください。
グラニュー糖より少し粗いくらいを思い浮かべてください。
苦すぎるなら粗く、薄いなら細かくというように、そこから寄せていきます。

道具にお金をかけないと無理ですか

お金をかけないと無理ということは、まったくありません。
この記事で効き目が大きいと書いた2つは、どちらも買い物ではなく買い方の話でした。
はかりだけは用意してほしいところですが、それ以外は後回しでも構いません。

同じように淹れているのに日によって味が違います

焙煎からの日数と、水と、器具の温度が動いていることが多いところです。
条件をそろえると、変化の理由が豆にあるのかどうかが分かってきます。
買ってから何日目かを意識しておくと、変化そのものを楽しめるようになります。

水は浄水を使ったほうがいいですか

水道水でも構いませんが、味の印象は水で変わります。
比べるときに条件をそろえたいなら、同じ水を使い続けるのがいちばん確実でしょう。
においが気になる地域では、浄水を通すだけでも変化を感じることがあります。

まとめ

店との差の大半は、器具ではなく豆の鮮度と挽いてからの時間から来ています。
ですから最初にやることは、買う量を減らして、焙煎日の近いものを選ぶこと。
ここを変えないまま道具を足しても、届く距離は限られてしまいます。

そのうえで、お湯の温度をそろえて、蒸らしの30秒を毎回入れる。
道具を買い足すのは、この4つをやりきってからで遅くありません。